「折原コーヒー」も登場する、珈琲をめぐるちょっと違った物語

ぺんぎん堂の飯島です。意見は、私個人のものです。

立冬 第五十七候『金盞花(きんせんか) 香(さく)』

 金盞花とは、水仙のことです。花を「金盞銀台」(黄金の杯と銀の台)と見立てて、呼びならわしたことによるそうです。
 旬の野菜は「カリフラワー」、私の好物です。
 今日は、東南の空の低いところを雲が流れていました。上空は晴れ渡っています。多分、前線は東の海上にあり、その分寒気が覆っているのでしょう。多分、冷え込みが厳しくなるのではないかと思っていますが、部屋の温度も一度くらい低いです。


21世紀のブランドを作り出せ!

 今日の珈琲は「インド」ですが、これは、「ドトールコーヒー」で買ったものです。「江古田珈琲焙煎所」の「インド」とは味は違います。
 最近のといっても、ここ数年をでないと思いますが、「ドトールコーヒー」は販売するコーヒー豆の種類を増やして、スペシャティーコーヒーを月替わりで取り上げています。そして、私の見るところ結構売れているようです。

 それで、今朝は、コーヒー関連の本を取り上げてみたいと思います。でも、これまで取り上げてきた、喫茶店やカフェの案内本ではありません。
 一冊は、この、ドトールコーヒー関連で大林豁史著『21世紀のブランドを創る 「星乃珈琲店」誕生物語---超積極策によるドトール日レスグループの復活劇』です。
 著者は、「ドトール・日レスホールディングス」会長として、知られた方です。


 本書のホシは、「星乃珈琲店」が誕生して一定の成功を収めるまでのサクセストーリーにあるというよりは(もちろん、そこもありますが)、なぜ成功を収めることができたのかという、スタート時点での問題認識にあると思いました。タイトルにある「21世紀のブランド」というのがポイントで、「日本マクドナルド」の凋落が単に鶏肉問題にあるのではなく、ある分野においては、20世紀のブランドに賞味期限が来ているという、いわば「見切り」があるということです。面白いのは、コーヒーにパンがつくのか、パンにコーヒーがつくのか、という「見極め」もあります。
 ここは、「リトルマーメード」の客層と、ファミレスの客層、そして、コーヒーファーストの店舗の客層、それぞれをみていくと、この、何を先とするかという見立ての勝負はまだついていないようにも感じますが、20世紀ブランドから21世紀ブランドの創造という流れは、確実という思いはします。
 私は、「お気に入りの場所」を、そのコストとの兼ね合いで、改めて、探し始めて人が動き出しているようにも思えます。それは、『コメダ珈琲店』が地元の「マルイ」にテナント出店して、連日、長蛇の列に近い盛況を眼にし、さっそく並んで、珈琲を飲んだ経験をベースに再確認してみたことにつながります。
 『コメダ珈琲店」は、名古屋が本拠、パンメニュー中心のフードメニューに人気が集まっているようで、客の年齢層は、高齢者を含む幅の広さを感じました。空間的にもゆとりがあるようにも思えます。この辺が、セルフサービス系の狭い空間とは違うようです。コーヒーの味には割り切りがあるようです。この辺の事情については、高井尚之著『カフェと日本人 (講談社現代新書)』が、面白くて参考になります。



コーヒー業界で一目置かれる名古屋地区、

 コーヒー業界では名古屋地区は、「一目おかれる存在」(高井)だそうで、私が並んだ店についても、「経営を支配する投資ファンドが交代しても、コメダの快進撃は続き、首都圏でも積極展開。主に郊外型店として人気だが、十四年夏にはJR中野駅に近い『中野マルイ』にも出店。ほとんどが直営店ではなくFC(フランチャイズ)店だが、店舗数は五八一店(二〇一四年八月末現在)と、すでにドトールスターバックスに次ぐ規模となった。」と触れられています。まあ、その意味でフレッシュな情報といえるでしょう。
 驚きは、名古屋市は飲酒よりも喫茶にお金を使うというデータです。詳しくは本書をお読みいただきたいのですが、一世帯当たりの喫茶にかける支出では断トツというのですが、始まりは遠く終り徳川藩に発するというのです。「当地の喫茶文化の礎を築いたのは、尾張藩の第七代藩主・徳川宗春(一六九六−一七六四年)といわれる。」ということですが、当時としては画期的な成長戦略論者?だったようで、八代将軍徳川吉宗の質素・倹約の均衡健全財政論?とは真っ向から対立する政策論の持ち主だったようです。このあたりを本書は「吉宗が増税と経費節減を唱え、収入を増やしながら支出を抑えることで財務体質を強化したのに対して、宗春は規制緩和で商業・サービス業を発展させたという構図だ。」としています。ところで、奈良時代にはじまるとされる喫茶の文化は鎌倉時代には茶屋を生み、江戸時代に休憩所としての「茶屋」の出現をみるようです。
 本書の白眉は、「カフェ好きが集まる聖地」と「『うちカフェ』という見えざる市場」の各章でしょう。全国各地にある地元であるいは観光客に愛される名店のリストと、コーヒーの六割以上は自宅で飲まれているというデータの流れです。ここでは、東京都中野区に店を構える「折原コーヒー」も出てきます。
 「カルディ」も出てくる本書を読むと、私がどっぷり漬かっている珈琲事情がリアルタイムで読めるような気がします。

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