『マルティナは海』(Son de mar)@Gyao

レオノール・ワトリングの胸をたくさん拝める一種のバカ映画。
ワニでホラー的結末を迎えるかと思いきや肩すかし。監禁映画と化してサスペンス寄りになるかと思いきやそれもなく。
古典の詩で口説かれても、ちょっと。声がエロだからむしろいいのでは(詩がよいのではなく)と思いました。Reino de ReineのSon de marについての記事で『アエネイス』や『オデュッセウス』を下敷きにしていることが分かって、元ネタ探しはやってみたいのだけども、そのためにもう一度見ようとは思わないなあ。なんだか生理的に気分が悪くなる映画だった。エロだって、圧倒されたり呆れたりしても気分が悪くなるものばかりではないのだけど、これはだめ。
オデュッセウス』読んだことがあるもののあまり記憶にない。あれは、父オデュッセウスを息子が探しに行くのではなかったか?
Son de marはManuel Vicentの同名小説(El Paisの記事あり)の映画化作品でした。小説が元にあると思うと、古典のほのめかしも納得がいく。以下、ユトレヒト大学の中のページによると、映画と小説は細かいところで違いがあるようで、映画では実在の街が舞台になっているのが、小説では架空の街Circeaが舞台になっている(このページに拠ればCirceaとは魔女の名前らしい、おそらく日本語でキルケ)。また、いきなり二人の死体が発見されるところから始まるようだ。『ユリシーズ』ではオデュッセウスの留守中、妻のペネロペは貞節を守り続けるが、マルティナは再婚してしまう、とも。
学生がレポート作成に使っていそうなサイトに小説のあらすじが載っていた。それによると、映画では帰還したのはウリセス本人だったが小説では最後になんと赤の他人だったことが発覚するようだ。
マラガの映画祭でのサイトには良い評価があったけど、宣伝のためのものかも知れない。
ワニは、原作には出てくるのだろうか。ワニの使い方はあの映画最大の謎だと思う。あと、「誰よりも早く君にマグロを食べさせてあげるよ」は小説でも大事なモチーフらしい。映画で、何年かぶりに再会した途端に「ほら、これがあの約束のマグロだよ」と冷蔵庫から出してくるのはコントのようだった。

マルティナは海 [DVD]

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