「くそったれ」


先週の日曜日、6日に坂口恭平・新政府展(http://www.timeout.jp/ja/tokyo/event/6055)に行ってきた。
そして翌週の日曜日、一昨日に再び行った。期間中何度でも入場できるというフリーパスなのだ(初めてワタリウム美術館だった、面白い形の建造物だね)。どうしても忘れられなかったし、もう一度見なくてはと。



私は彼のことをほとんど知らなかったのだけれど、彼が話している映像を見て一発で好きだなと思った。信頼出来るひとだなと思った。目が離せなかった。3分ほどの短い映像だと思う。彼が川辺で椅子に腰掛けて話しているだけの映像を10周近く見た。素敵な物言いをする。


展示の方法も面白くて、ラフスケッチやドローイングなどの横には彼の手書きの解説が添えられていた。
知識が浅いままに雑に紹介すると、坂口恭平は「路上生活者の家の必要充分さに胸を打たれた、家を建てない建築家」。ダンボールハウスは充分に人間が暮らすための巣として機能している、あれをどうしてホームレスと呼べるだろうか、立派なホームじゃないか。普段通りすぎてしまうような、掘っ立て小屋のような路上の家を研究している建築家。目から鱗、とても驚いたよ。


展示の片隅、腰を落とさないと読めないような場所にラフスケッチがあり、そこにあった解説もまた手書きだった。
ずっと粒の揃った文字で綴られていた解説ばかりのなか、
「このへんの家はすべて撤去された くそったれ」
その「くそったれ」の殴り書きが印象的で脳裏に焼き付いている。



世界が変わるかもしれないと思わせてくれるひとに出会えた喜びを、こんな風に味わったのは初めてかもしれない。そんなひとに出会ったことがなかった。
新政府展は2月3日までだそうだ。在廊しているとのことだったので一度本人にお会いしてみたかったけれど、具合を悪くしてしまってもう在廊はできない・イベントも中止とのことでとても残念。


薦められて読んだこの著書、とても面白かったよ。1時間半ほどで読めた。

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

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村上春樹は好きだけれど、ノルウェイの森は好きじゃない。なのに何度も何度もこの1年で読んでいる。チクショウと思いながらここが踏ん張りどころ。終わったら好きな方の村上春樹を思う存分読むんだ。