タワー 内藤多仲と三塔物語展

会場:INAX 銀座ショールーム 9F ギャラリー1
会期:2006年9月1日〜2006年11月18日(休館:日曜・祝日)
時間:10:00-18:00

重塔、ミナレット天守閣、観光塔・・・。人々は昔から高みにあこがれ、タワーを建てつづけてきました。街を見渡す場所として、あるいはそれ自体がランドマークとして、タワーは、時にその街の個性を浮かび上がらせる建築です。東京、名古屋、大阪。これらの都市には、東京タワー、名古屋テレビ塔通天閣というそれぞれに個性豊かなタワーが立っています。三つの塔は今から約50年前に、一人の人物によって設計されました。設計者の名は内藤多仲(たちゅう)。地震の多い日本の耐震構造理論を躍進させた人物で、建築の中でも構造が主役となる鉄塔を数多く設計した『塔博士』でした。本展では、まだ都市が混み合っていなかったころ雲を突く様な姿で出現した三つの鉄塔が、半世紀の歩みのうちに都市に育まれそれぞれの地域性を身にまとってきた変遷に加え、これまであまり知られてこなかった三塔の設計者・内藤多仲の功績や人となりをご覧いただきます。タワービルの林立、デジタル放送の開始などの影響で、現代に新たなあり方を問われている三つの塔は、一方で地元にあっては、街を見守ってきた存在として人々の心の拠り所となってきました。本展がその魅力を発見するきっかけとなれば幸いです。(INAX

内藤多仲アメリカ留学中に荷物が増えたので自身が愛用していたスーツケースの中の仕切り板を外して使用していたらすぐに壊れてしまったそうだ。そのときに中の仕切り版がスーツケースの強度を高めていることに気付き、「耐震壁」の理論を思いついたそうだ。そんなニュートン万有引力の発見のような夢のあるエピソードに触れることができただけでも幸せな展示だった。
彼の耐震壁の理論は当初学会等では受け入れられなかったが、直後の関東大震災で彼が構造設計を手がけた建物がことごとく無傷だったことで日本の耐震構造の父となった。東京タワー、名古屋テレビ塔通天閣がすべて同じ人の手によるものだったとは驚きである。
INAXギャラリーhttp://www.inax.co.jp/gallery/