Therme Vals
設計:ピーター・ズントー(1996年)
所在地:Hotel Therme Vals, SWITZERLAND
ピーター・ズントーのまさに代表作。
アルプスの急斜面にひっそりと佇む。地元で切り出された石材のみを使用して、ただただ丁寧に丁寧に設計されている。それでいて土着感は感じさせず、何も足さず何も引かない純粋でストイックな空間は温泉施設ではなく教会のような神々しいオーラに満ちていた。
Vitra Hous
設計:ヘルツォーク&ド・ムーロン(2010年)
所在地:Charles-Eames-Str. 2, Weil am Rhein, GERMANY
家型アイコンの断面を持つチューブをランダムに積み重ねたようなフォルムだけど、内部空間は移動する毎にシーケンシャルに変化する景色がよく計算されているように感じて、予想以上によかった。ヴィトラの家具たちとその向こうに家型に切り取られて見える田園風景とのコントラストだけで勝負している。
Vitra Design Museum
設計:フランク・O・ゲーリー(1989年)
所在地:Charles-Eames-Str. 2, Weil am Rhein, GERMANY
フランク・O・ゲーリーの大ブレイク前の作品。ビルバオ・グッゲンハイムの8年前、パリのアメリカンセンターの4年前。
まだゲーリーに成りきれてないというか、ぎこちない感じ。この仕事にすべてを賭ける気合いのようなものが強すぎて、あれもやりたいこれもやりたいを詰め込み過ぎてて、まとまりと伸びやかさに欠ける。あと、やっぱりこういう建築は広大でフラットな芝生の上とかは向かないと思う。ビルバオのような川のほとりとか、ディズニーコンサートホールのような都市の中心とか、そういう場所にあったほうが映えると思う。
BIS/BIZ(国際決済銀行)
設計:マリオ・ボッタ(1995年)
所在地:Aeschenplatz 1, Basel, SWITZERLAND
日本では外苑前のワタリウムでおなじみのボッタの建築。予想以上にかっこよかった。
シグナルボックス(アウフ・デム・ヴォルフの信号所)
設計:ヘルツォーク&ド・ムーロン(1994年)
所在地:Münchensteiner Str., Basel, SWITZERLAND
H&dM初期の代表作。キューブがよじれていて、スリットもよじれていて、角度によって様々な表情を見せている。こういうスタディ的な作品をこなしながら巨匠になっていったのだな。
イタリア・スイス建築巡礼-9日目(ヴァルス→バーゼル)
7時にオープンするテルメに一番に入るために気合いの朝6時起床。ベランダからの眺めは本当に素晴らしい。うっかり持ってくるのを忘れた海パンも借りることができて、いざテルメへ。このズントーのテルメに入ることが、マテーラ、ロンシャンに続くこの旅の3大目的のひとつだった。
息を飲むほどに神秘的な空間でアルプスの山々を眺めながらプカプカと浮いていると、月並みな表現だけど本当に日本での仕事の嫌なこととか全部忘れてしまいそうになる。
1時間半くらいテルメを堪能して、昨日のRed Restaurantで朝食。パンもチーズも本当に美味しい。トムとジェリーに出てきそうな穴の空いたチーズとか。お腹も満たされたところでホテル内や周辺を散策。
ホテル内のショップでお土産の絵葉書など買ったあとは、しばらく部屋でゆっくりのんびり。日も高くなってきてベランダからの眺めもいっそう美しくなってきた。
12時過ぎにホテルをチェックアウトし、今日はバーゼルに向かう。チューリッヒまでは昨日と同じルート。イーランツまでバスに乗り、そこからクールとチューリッヒを経由してバーゼルへ。延べ4時間近い旅。ヴァルスでのんびりし過ぎたのでバーゼル到着が夕方になってしまった。16時半にバーゼル中央駅到着。スイスパスを持っているのでトラムやバスは乗り放題だけど、時間がないのでタクシーに飛び乗る。目指すはヴィトラキャンパス。バーゼルはフランスの国境とドイツの国境がすぐ目の前。ヴィトラはドイツ側にあるので国境越え。20分弱で到着。スイスのタクシーは高いのは知っていたけど本当に高い。たった20分の道のりで5500円も取られた。まあタイムイズマネーなので仕方ない。
敷地内の有名建築をすべて案内してくれているツアーもあるのだけどこれは時間が遅くてもう終了していることは知っていた。よってゲーリーのデザインミュージアムと、ヘルツォーク&ド・ムーロンのVitra Housのみ見学。右の写真は巨匠バックミンスター・フラーのドーム。
18時前のバスでバーゼル市内へ。現代建築がたくさんあるバーゼルだけどさすがに時間切れ。マリオ・ボッタのBIS/BIZとヘルツォーク&ド・ムーロンのシグナルボックスのみを見た。マリオ・ボッタのタンゲリー美術館やレンゾ・ピアノのバイエラー財団美術館、ヘルツォークのシャウラガー美術館、ディーナー&ディーナーのノバルティスビルディングなどすべて断念。まあ見なきゃ死ぬわけではない。それよりもヴァルスでのんびりする方が優先度が高かったということ。バーゼルは街並が美しいのでまたの機会にゆっくり訪れたい。
19時半の列車でバーゼルを発ち20時半にチューリッヒに戻る。ホテルについてすぐにホテルのレストランで食事。今日はお昼を食べていないので死ぬほどお腹がすいていた。今回の旅はずっとワインだったけど、今夜は初めてビールを飲んだ。空腹に沁み渡る美味さ。
これで旅の行程はほぼ終了。よく動いた。