いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「不思議系上司の攻略法 (3)」水沢あきと(メディアワークス文庫)

不思議系上司の攻略法〈3〉 (メディアワークス文庫)
不思議系上司の攻略法〈3〉 (メディアワークス文庫)

クリスマスも近づき始めた初冬。メイド喫茶メイプル・ホームに、くだけた物腰の男が現れた。真夜の実兄で、石峰家と袂を分かった男、裕。彼は自身が興したネット販売専門のベンチャー企業「ラムシーク」のサイトリニューアル作業を、ケーイージーの真夜たちのチームに依頼しているのだという。しかし肉親との仕事にも関わらず、真夜の表情は固い。彼女は以前、裕から共に家を出ようと持ちかけられた時、断ってしまったという負い目があったのだ。ぎこちない兄妹を心配する健二。さらに「ベンチャー」という独特の企業体系が生み出す波乱が、次々と振りかかり……!?


健二くん、こんなにも立派になって。
真夜の方が揺れる話だったというのもあるけど、これまででは想像できない安定感。
仕事では相手先に堂々と意見を言えている健二が頼もしく映り(相手のベンチャー企業のメンバーが子供っぽかったというのもあるが)、真夜に対しても自分の意見や気持ちを正面から言えるぶれない姿勢が頼もしい。近づかれるとヘタレるのは相変わらずだけど。
さて、この作品のメインである健二の苦労譚は、今回は板挟みというよりも難物のクライアントに対してどう接するかがメイン。SE関係の話は畑違いでよく分からないが、社内の意思統一だとかその仕事に対する責任感だとか、社会人として共感できる話が多い。
決着は良くも悪くもいつも通り。それまでは現実的で世知辛い話なのに、解決編になると急にアクションになるアクロバティックな展開も、3回目になると流石に慣れてきた。逆に何が出てくるか楽しみでもある。で、今回は……うん、そこまでいったら流石に警察呼ぼなきゃあかんでしょw
まあ、そんなことより二人の関係ですよ。
やっと、ここまで来たか! という感じ。
兄の登場でどうなるかと思ったけどそっち方面では空気。その分、二人の距離が近づく様子が邪魔なく読み取れる。健二がしっかりしたので真夜の健二への信頼感が上がっていくのが分かるのが良い。でも真夜さん、そのタイミングでの涙は反則です。ラストは「ご馳走さまでした」としか言いようが(リア充爆h(ry
健二の確かな成長が感じられて、待ちに待った甘いシーンもありで面白かった。どう考えても攻略完了なのだけど、続きもある?



表紙はともかく口絵はサキュバスかイルカのぬいぐるみを抱いているところがよかったなあ。