いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「あなたの街の都市伝鬼!」聴猫芝居(電撃文庫)

あなたの街の都市伝鬼! (電撃文庫)
あなたの街の都市伝鬼! (電撃文庫)

民俗学者を目指して都市伝説を調べている八坂出雲。「ムラサキカガミ」の研究をしながら誕生日を迎えた彼のもとに、伝説と同じ現象が発生! そして出現したのは『都市伝鬼(としでんき)』ムラサキカガミを名乗る少女だった。
都市伝説を愛する出雲は、彼女たち都市伝鬼を一冊の本に編纂することになるが……それを聞きつけた伝鬼たちが続々と出雲の前にやってきた! 愛らしくも血みどろの和装童女から凶暴な武器を構えたお姉さん、超高速で追いかける少女に生首まで……次々と怪奇現象に襲われて、恐がりな出雲はいったいどうなる!?
少し怖くて、とっても可愛い都市伝鬼たちが山盛りで贈る、ほんわか怪奇譚!

第18回電撃小説大賞〈金賞〉受賞作。



一応伝奇だけど、基本はのんびり&キャラいっぱいでワイワイ(もちろん女の子ばかり)
『お留守バンシー』(第12回大賞)や『ほうかご百物語』(第14回大賞)と似たタイプの電撃小説大賞らしい作品。
既存の妖怪も出てくるが、それよりも曖昧な都市伝説がメインで、編纂者である主人公と都市伝説の登場人物「伝鬼」とで、明確な形を自分たちで作っていくという点が新しい。
と、まあそんなのはどうでもよくて本質はラブコメ
ツッコミ気質の主人公・出雲とどんどん出てくる美少女伝鬼たちの掛け合いが楽しい。
それぞれに“いい性格”をしている女性陣が出雲を脅す様子は怖さ0で笑えて、それに対する出雲のビビりだったり強気だったり微妙なラインを行ったり来たりする反応がいい味を出している。
少々気になるのは、メインヒロインのサキが地味であまり目立ってないところくらいか。おかげで終盤に折角ラブっぽい雰囲気になったのに印象が薄い。いきなりキャラを出し過ぎたせいもあるかも。
その出しすぎの感のあるキャラの中でお気に入りはコトリ。能力がえげつないよw 次点で舞佳。
好きなタイプの作品で変な癖もなく楽しく読めた。続きが出たら普通に買う。