いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



4月の読書メーター

読んだ本の数:24冊
読んだページ数:7286ページ




今月のベスト3

「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン III」宇野朴人電撃文庫
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (3) (電撃文庫)



ベン・トー10 恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円」アサウラスーパーダッシュ文庫
ベン・トー 10 恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円 (ベン・トーシリーズ)



八百万の神に問う1 春」多崎礼C★NOVELSファンタジア)
八百万の神に問う1 - 春 (C・NOVELSファンタジア)




他に迷ったもの
「デスニードラウンド ラウンド1」
「マグダラで眠れ III」
魔法少女育成計画 episodes」


今月は豊作でした。

「八百万の神に問う1 春」多崎礼(C★NOVELSファンタジア)

八百万の神に問う1 - 春 (C・NOVELSファンタジア)
八百万の神に問う1 - 春 (C・NOVELSファンタジア)

楽土の門は天路ノ国の北の果てに開かれた。
かの地で人は、〈音導師〉に助けられ争うことなく穏やかに暮らす。
楽土へ至る神の約定はただひとつ――


多崎礼の新世界、ここに開幕。

作者曰く『なんちゃって和風世界』を舞台にした漢字を使ったファンタジー




死が傍にあるところが舞台なので軽いとまでは言えないが、大猫を大きな猫さんと呼ぶなど地の文にどこか茶目っ気あったり、ざっくばらんな村人たちの口調、主人公のイーオンに妙齢の女性でありながらいたずら小僧のような一面があるなど、重めの題材が多かったこれまでの多崎作品よりは明るい雰囲気。基本的には時代物風の世界観だが、カタカナ語が出てきたり一部には電気があったりと昭和の農村に近いイメージか。
そこで行われるのが〈音導師〉と呼ばれる言葉のスペシャリストたちによるディベート対決〈音討議〉。
普段の会話から漢字の「意味」と「音」を使った一種の言葉遊び的な会話がなされていて、これだけでも面白いのだが、〈音討議〉ではそこに言葉には魂が宿るという言霊の思想も加わって、言葉は悪いが詐欺師のように言葉巧みに聴衆を乗せ相手を打ち負かしていく様子が痛快。
そこに人の機微が緻密に描かれた人間ドラマが加わる。今回は初心な男女の恋模様が話の中心だったので、道中はニヤニヤ出来て終わりはほっこりと温かい。
思っていたよりコミカルで前作『夢の上』のように圧倒的な世界観に飲み込まれるような感覚はなかったが、物語への引き込み力は流石の一言。期待したとおりに面白かった。8月刊行予定の『夏』が待ち遠しい。