掃除機が壊れてしまったので、近所の量販店に買いにいく。 売り場には壮大な数の掃除機が並んでいて、どれを選んでよいのかまるで見当がつかない。 がしかし、掃除機に関しては、このサル的な人でも知っている魔法のキーワードがある。それは 「サイクロン」。
サイクロンって、何がどうサイクロンなのかが実はよくわからないのだが、要は、まるでリドリー・スコットの映画に出てくる宇宙船の内部構造のようなカッコいいメカがむき出しになっていて、漏斗状のパイプが何本かくっついていて、そこにワタボコリがグルグルと渦を巻いていれば、それがサイクロンということなのだろうね。 喩えて言うならば、dyson の掃除機のようなヤツね。 それを言っちゃおしまいだと自分でも思うが(笑)
家人と共にいろんな掃除機を触ってみた。 ダイ〇ンの掃除機は、噂に違わず、密着感あふれるすごい吸引力だ。 おおっ、これはすごいぞ! しかし、no free lunch。 「吸引力が強すぎて、掃除するのに疲れそうだなぁ」という印象を受けてしまった。 さらに、決定的なポイントは、値段の高さ。 ガラケーからスマホに乗り換える余裕すらない私にとっては、天文学的な価格である。
で、ダ〇ソンはあきらめ、次に日本が誇る家電メーカー HIT〇CHI と Panas〇nic のどちらかにするか、の選択となった。 どっちもダイソ〇を意識したデザインの(宇宙船の内部のような)かっちょいいラインアップをそろえている。 こっちは500Wで、あっちは360Wで、こっちは排気がきれいで、あっちは音が静かで、・・・ とかいろいろ売り文句があって、何がなんだかわからない。 しかし、いずれもやはり値段が結構高い。 5万円とかするんだよね、掃除機の分際で。
・・・ ふとまわりを見渡すと、特売品コーナーに 「サイクロン大安売り」ってのがある。 2万円台で。 確かに商品箱にはサイクロンって書いてある。 しかし、見た目がなんか全然サイクロンっぽくないぞ。 宇宙船の内部構造のようなのが、付いてない! っていうか、外から見えない。 これって、サイクロンなのか? いや、結局そもそもサイクロンってなんなんだ?
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我が家の一員となったサイクロン。 どのあたりをサイクロンと呼ぶべきなのだろうか・・・
迷いの断ち切れないサル的な人。 購入の決め手は、商品の説明をしてくれたお店のオバサンの一言であった。
「サイクロンかどうかの区別? あ、それはね、紙パックで捨てない掃除機はサイクロンなのよ」
オバはん、本当か、それ? 本質と30光年くらいかけ離れた説明のような気がするぞ。 が、どこか説得力がある。 この説得力はどこから来るのだろうか? オバはんの年輪と人生経験かもしれん。
幸か不幸か、我が家の家訓は 「金のわらじをはいてでも、安物買い」 である。 よし、この掃除機に決めた。 商品の箱にはサイクロンって書いてあるんだし、いいぢゃないか、それで。 サイクロンなんだよ、サイクロン。
買った掃除機をお持ち帰りした。 けっこう重い。 安くて良いモノを買ったはずなのに、なぜか納得がいかない。 買い物後のワクワク感が、いつもより少ない。 そもそも掃除機なんてホコリを吸えばよいのであって、宇宙船の内部構造と似てようが似てまいが、そんなことはどーでもいいはずなのだ。 が、どこか腑に落ちない。
帰宅後、早速開封して、部屋の掃除をしてみる。 確かに操作感は軽く、吸引力も悪くない。 掃除の後、パカっと本体を開けると、ティッシュにくるまれた形でホコリが大量にごぼっと出てくる。 気持ちイイぞ、これ。 やるじゃないか、こいつ。 素晴らしい! 見てくれは普通の掃除機だけど、やっぱりこいつはサイクロンなんだよ。 間違いないって。
・・・ どこか腑に落ちない。
腑に落ちないまま、商品の評判をインターネットで調べてみる。 と、掃除機の選び方のブログを発見。 それによると、今回ワシが買った掃除機は「偽サイクロン」と書いてある。 ニセ? 偽サイクロンだと? ムッキー(怒)
日立製サイクロン掃除機の構造 【初心者の掃除機選び.com】
(以下、引用。 一部改変(笑))
一応、総合的な評価としては、とりあえずこれは普通に言うところのサイクロン掃除機ではありません。どうも、サイクロン掃除機の定義がはっきりしておらず、空気が中で回転していれば、サイクロンの名の使用を止めさせることが出来ないようで、こういう物でもサイクロン掃除機を名乗っています。良いものではないので、本当は売れないはずなんですが、インターネットで調べたりしない方は、「意外と安かったサイクロン(しかも1流メーカーの○○製!)」として買ってしまわれるので、家電量販店の実店舗では実は売れ筋商品です。こういうことをやっていれば、〇〇と○○にはいずれ天罰が下るでしょう。
しかし、である。 不思議なことに、そうやって「偽サイクロン」とはっきり書いてあるのを見たことで、モヤモヤした気分が一気に解消したのである。 コトの真贋を明らかにすることに、一体何の意味があろうか。 絵画の真贋にこだわりすぎるギャラリーフェイクのフジタに時々投げかけられていた言葉である。 結局のところ、「実の子供だろうと、そうでなかろうと、一緒に暮しているのが自分の子供。 それでいいじゃないの」っていう気持ちに変わりましたね。 なんか違うような気もするが、そんな感じ。
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