文体―第二十一章 ある奇妙な和解
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(2005-01-29 - caguirofie050129よりのつづきです。)
第二十一章 ある奇妙な和解
ファウストにおける文体行為の方程式
ファウストにおいて つぎの文章は 単純に かれの自己到来のすがた(過程)を現わしているといってよいであろう。
ファウスト:命の脈が 新たに生き生きと打ち始め 4679
大気のほの明りになごやかにあいさつする。
大地よ おまえは昨夜も変わることなく
新たによみがえったわしの足もとで呼吸し
早くも喜びをもってわしを取りかこみ始める。
そして力づよい決心を動かし かき立てる。
最高の存在に向かって絶えず努力せよと――
薄あかりの中にもう世界が開かれている。 4686
(ファウスト〈第2部〉 (ワイド版岩波文庫)〈第一幕 優美な地方〉)
これは 自己到来の動態を 観念的に確認するものではないと これまで読んできたのですが その文体にかんする過程のひとつの方程式だと思うのです。
ファウストにおける自己到来なる文体過程の方程式。
- 文体は 動態だ。
- 夜から始める。
- 日々死んでいる。
- 夜へは渡されない。
- 新しい朝をむかえる。
- 日々生きている。
- あるいは
- 引用のなかで《最高の存在》といっても 《なぞの自然 / 自然のなぞ のやはり過程》。
- その他としては
などなど などなど。