CFSI・CIC・モルガンスタンレー「金融サービスが行き渡っていない人々を対象とするフィンテックに対する投資活動」

フィンテック(FinTech: 金融技術)という言葉が流行しているようなので、アメリカの状況を取りあげたレポートを読んでみました。


Investment Activity in FinTech for the Financially Underserved(PDFファイル)


フィンテックとは、自社の重要な戦略として、金融サービスへのコストを減らしアクセスを高める技術をもちいる金融サービス企業を指します(p. 4)。

このレポートが特徴的なのは、フィンテックのなかでも、伝統的な金融サービスによってはニーズが完全には満たされず、金融サービスが行き渡っていない顧客にサービスを提供するプロダクトとビジネスモデルを開発する会社に焦点を当てているところです。



上の図は、フィンテックに対する投資のなかでも大きな部分を占めるspecialty creditの内訳をしめしたものです(p. 8)。プロダクトという点で、学生ローン・事業ローン・自動車ローンに加え、P2Pローンが加わっているのがアメリカらしいところだと感じました。



こちらの図は、支払い(payment)に対する投資の内訳を表わしたものです(p. 8)。日本でも共通する支払い手段の多様化という流れに、投資目的の資金が入ってきていることをみてとれます。


フィンテックのスタートアップに対するプライベートエクイティ投資は全取引の84%を占め、9.47億ドルに達しているそうです(p. 6)。

アメリカのベンチャーキャピタル業界にはあまり詳しくありませんが、12ページに記載されているアクティブな投資家のリストには、セコイアキャピタルGoogle Venturesなどが名を連ねています。

さらにレポートの後半では、買収とIPOというかたちでエグジットを果たしたFintechのリストが掲載されています。勉強になりますね。


技術にフォーカスした金融サービスを事業の軸とする点に加え、マイクロファイナンスに近しい理念をもつところも非常に興味深く感じました。

開発途上国で活動する企業もあるようであり、フィンテックについて、今後とも当ブログで取りあげていきたいと思います。