六時四十五分起床。近ごろ目覚めが悪いのはエアコンをかけたまま寝るせいか。三時三十分に自動でオフになるよう設定しているのだが、寝汗のひどさに辟易し、再度電源をオンすることがたまにある。夕べがそうだった。いや、正確に言うと、そうしようとしたのに、そうならなかった。四時ごろだろうか、暑さに息苦しくなって目覚め、日の出前の暗い部屋の中、手探りでリモコンを探し冷房のスイッチを入れたはずなのだが、どうやら違うボタンを押したらしく、まったく作動していない。五時ごろに三度暑さに苦しみ目覚め、エアコン効かねえ、と今度は先ほどよりずいぶん明るくなった部屋の中でエアコンのほうを見上げてみると、動いていない。しばらくはなぜこのような状況になっているのかが理解できず、リモコンを手に茫然としていた。ようやく誤操作をしてしまったと察しがついたものの、なんだか機械をいじるのがわずらわしくなり、エアコンを使う気にはなれない。窓を開け、四度床についた。
午前中は虎ノ門へ。某住宅メーカーにてプレゼン。おおむね好評。
霞が関経由で帰社/帰宅。荻窪「インド風カリー すぱいす」で昼食。
午後からは某ITメーカーのパンフレットに集中。
荻窪「インド風カリー すぱいす」
荻窪駅西改札を出て、南側。すずらん通り。
無農薬や天然の食材にとことんこだわった、インド風とあるが無国籍な感じのカレー。スパイスの調合は複雑で、どうやらフェンネルの使い方がカギのようだがよくわからん。爽やかさと刺激、香り、辛さが、最初の一口は弱いのだが、食べつづけているとどんどん美味しく感じられてくる。こういう味はヤミツキになりがちなので恐ろしい。スパイスのバランスだけでなく、コクもある。これまた、一口目よりは二口目、二口目よりは三口目のほうが濃厚に感じられるというヤミツキ系の味。強い個性はないのに、妙に惹き付けられる。技巧を凝らし新鮮な感覚が強い西荻の「HUGE」とは、おなじ方向を向きながらも、違う方向へ歩いているような、そんな共通点と差異がある。
伊藤比呂美『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』
園芸についてを、ニンゲンの死とおなじ感覚で語っている。おなじイノチある生物であるが、死への向き会い方が違う。だから、とつなげるべきか、しかし、とつなげるべきかよくわからないのだが、伊藤は植物に対し「殺す」というコトバを何のためらいもなく、ごく普通に、自然に使う。その使いっぷりが衝撃的。引用。
手で切って殺すことはないんですか、とわたしはききました。
死ぬにまかせるんですよ、と園芸家はいいました。
あら、あたしはいたしますよ、どんどん切り戻してやるうちに、やっぱりだめだなとわかってきてますでしょ、もうどうやっても元には戻らないと、そうしたらひと思いに、剪定ばさみで、ばっちんと根本から切り落としてやる。
いやぼくは、そこまではしないけど、といいながら園芸家は、奇妙な、心当たりのあるような顔をしました。枯らす、枯らす、枯らして殺す、死屍累々、死のことは考え詰めているという顔をしました。
(中略)
植物にとっての「死ぬ」は「死なない」で「死なない」は「生きる」なんですもの、とわたしはさらにいいました。