涼宮ハルヒの消失


クリスマス前のある日、学校に向かったキョンはある異変に気付く。昨日までの世界とは全く違うことに。聞き覚えの無い話。いつの間にか流行っていた風邪。
そして後ろの席だった筈のハルヒが居らず、そこには過去にキョンを殺そうとした朝倉がいた。
自分以外は前の世界を知らない。キョンは果たして世界が変化した原因を突き止められるのか。

観賞日2月10日


【85点】



今回は『涼宮ハルヒの消失』…かつて一大ブームを起こしたアニメの続編の映画化です。






基本路線としては、全てが分かってしまっているのに周りの人間は気付いていない…
自分だけ世界が変化したことに気付いているというSF展開です。







この作品150分以上。これはアニメ映画としては異常な長さです。
最近の映画でもここまでの長さのものはそうそうにはありません。

長ければ長いほど観客が作品への関心からの離れていく可能性もあり、
展開が冗長的になれば作品として締まりがなくなるという恐れもあるために無闇に長くすることは無いのだと思います。



つまり長さは自信の現れ。


しかし、今作はその長さに見合った質でした。









まず、いわゆる背景キャラ。




実写映画ではエキストラも普通に喋り、移動しますが、アニメでは往々にして動きません。


しかし、今回はセリフ・動きがあり、映画の中の"世界"が確立されていました。細かい部分ですが、この配慮があることにより世界が生き生きとして、作品が洗練されました。


細かいと言えば、各キャラは非常に細かいを動きをします。表情もそこから感情を読み取ることが出来るレベルに。


学校内の教室などのざわめきは、よくよく聞くと個々の会話があることに気付いたときは鳥肌がたったものだ。そこまでやってくれるかと。









次にカメラ・演技。

カメラワークは絶妙です。アニメにしか出来ない表現を生かした、叙情的ともいえるようなキョンの絶望感や内面の葛藤などが印象的です。

前段階となるアニメではそこまでの激しさは無かったために、今作とのあまりにあるギャップが確立されていました。






声の演技に関しては、キョン役、長門役が素晴らしかった。キョンの変わった世界への絶望や長門の言葉の間など、この2人が主役の映画とも言えます。


長門というキャラは口数が少ないのですが、今回は大スクリーンで表情や行動がクローズアップされ、そのキャラの持つ「良さ」というものが良く出ていたのではないでしょうか?

このアニメが地上波で流行った当初は「長門萌え」という言葉や「長門俺の嫁」という言葉が流行るほど人気がでてましたが、それはここからきているのかと納得させられる”つくり”でした。

リエーターの力のすごさを実感。





作品全体のイメージは、どことなく漂う切なさでしょう。



舞い散る雪、背景、BGMやエンディングの歌がさらにそれを強めます。終わった後の劇場はシーンとしていました。余韻に浸る、という具合に。


昨年視聴者を裏切る2期を制作して、大バッシングを受けたとは思えないほど、良い作品に仕上がりました。アバターと同様に興味があるなら観てみるべきだと思います。