第二次世界大戦の中、スティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は何度も軍に志願していたが、小柄で病弱なせいで入隊できずにいた。しかし、彼の意思の強さに惹かれたアースキン博士と出会ったことで、スティーヴは変化するチャンスを得る。
観賞日
2011年10月21日
【68点】
ついに最初のヒーローにして、アメリカを体現する男、キャプテンアメリカが映画化された。
ストーリーは単純明快。難しい部分はない。
(ぶっちゃけ原作とほぼ同様)
ただ、多くの部分でリンクしているので、『アイアンマン』や『マイティ・ソー』を観ておかないと戸惑う可能性は否めない。
またキャプテンアメリカが広告塔として使われる部分には、実際にコミックスが戦時中の広告塔として使われていたことを皮肉っているようで面白い。
私「は」楽しめた映画。
相変わらずアメコミ映画は細かいところに小ネタがちりばめられていて思わずニヤリとさせられるが、どうもマニアックすぎるのかもしれない。
マーヴルvsカプコンシリーズでおなじみのシールドスラッシュがかくもみごとに映像化されているとは…そこだけでもおなかいっぱいに慣れそうな出来。
また、敵のレッドスカルもしっかりと再現されていて見事。
原作でキャップの相棒となったバッキーも形を変えて出ているのでそこも○。今後も「原作どおり」の展開ならなんらかの形で出てくる可能性はあるだろうし。
なので、いろいろな小ネタを知っている人には75点くらいの評価でお勧めできる。
私のようにアメコミにあかるい人間ならまだしも、この映画で初めてキャプテンアメリカに触れる人にとってはキャプテンアメリカというキャラがわかりにくかったようだ。
映画サイトのレビューを観ていても、人間性がよすぎるなどの記述があるがそれはしょうがない。
そもそもキャプテンアメリカは、第二次大戦中に本当に自国を鼓舞するために生み出されたコミックだ。(ちなみに作中で人々が呼んでいるキャプテンアメリカのアメコミは、実際のキャプテンアメリカ第一号)
つまり、彼の性格はヒーローの中のヒーローのようなものでなくてはいけない。生来のリーダーらしいリーダーでなくてはならない。
で、武器が基本盾のみで、能力もただの「超人兵士」である点も実は意味がある。一見すると地味で渋い能力だが、そのヒーローとしての普通さがポイントだ。
(「超人」の部分は、ウルヴァリンなどとの関りあいもあるが、おそらく映画で触れられることはないだろう)
原作でも言及されていたことだが、
ウルヴァリンやスパイダーマン、アイアンマンなど濃ゆーい面子をまとめる人間が、「特殊さをもたないヒーロー」であることこそが、キャプテンアメリカのカリスマ性の証明でもある。
誰もが彼の言葉に耳を傾ける。
まじめで、実直、諦めない。それがキャプテンアメリカだ。
いわゆる「強い」アメリカの象徴だ。
(9.11以降の最近はいろいろな形でキャップの立場・存在が揺らいだのも興味深い)
問題は、敵が弱い。
原作でもレッドスカルは武闘派ではなく策謀で迫るタイプだからしょうがないけど…
地味なキャップに、地味なレッドスカル。
(色の見た目は派手だけど(笑)
トミー・リー・ジョーンズ(缶コーヒーBOSSや『メン・イン・ブラック』)やヒューゴ・ウィービング(『マトリックス』のエージェントスミス)も出てるのに…
3Dの派手さもイマイチ生かしきれず。むしろ、エンドロールの戦争広告を3Dで表現しているところが一番「おお!」となった。
今作は、『インクレディブル・ハルク』、『アイアンマン』、『マイティ・ソー』が一同に交わるプロジェクト・『アベンジャーズ』の前段階の映画。壮大なプロジェクトの最後の予告編だといってもいい。
「だったら『アベンジャーズ』だけ観りゃいいじゃねーか」。
そういう意見もあるかもしれない。
だが、すべてのヒーローのバックボーンと、その性格を知っておくことで『アベンジャーズ』を楽しめる筈だ。たぶん各ヒーローに関しては、あんまり説明はなくトントン進むだろうし。
ここまですべてを観てきた人は間違いなくこの映画のエンドロール後に高揚感を覚えるはずだ。「ついにきたか」と。
予告編はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=Qe5OpwLgtFM
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