タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

レポーターのタンタン(ジェイミー・ベル)は、相棒の白い犬スノーウィとともに、今日もワクワクするようなネタを探して街を巡っていた。
ある日露店で、ガラスケースに入った船の模型に魅了されたタンタン。しかし購入した直後から謎の男たちに付け狙われるようになる。実は船の模型は、17世紀に消息を絶った伝説の船、「ユニコーン号」だった。
ユニコーン号の調査に乗り出したタンタンは、ユニコーン号の模型に秘密が隠されていたことに気付く。模型の中に宝とともに沈んだユニコーン号の在り処に関するヒントが隠されていたのだ…






観賞日

2011年12月21日




【75点】








今作の監督は、言わずと知れたスティーブン・スピルバーグ。今年はプロデュースという立場で『ヒアアフター』、『スーパーエイト』、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』、『リアル・スティール』などなど(他多数(笑)かかわってきたが自身が監督となるのは久しぶりだ。ちなみに製作は、『ロードオブザリング』シリーズのピーター・ジャクソン




『インディジョーンズ』シリーズでスピルバーグは、考古学者による大冒険活劇を作り上げ、今日に至るまで多くの影響を与え続けてきた。(遺跡の中での岩が転がってくるトラップ、遺跡の中のトロッコ、怪しい儀式、あの有名な冒険スタイルの服装などなど)

ジュラシックパーク』でスピルバーグがやってのけたのは、CGを駆使し恐竜を見事にスクリーン上に再現するという偉業だった。

いずれも私たちの好奇心を刺激し、興奮を与えてきた。




そしてこの『タンタンの冒険』では、フルデジタル3Dパフォーマンスキャプチャーと呼ばれる最新技術を得たことによって、アニメでも実写でもない、新たな興奮を私たちに届けてくれた。


新しい”オモチャ”を得たことで、また素晴らしいことをやってのけたわけだ。
これはまるで『インディジョーンズ』の冒険と、『ジュラシックパーク』の映像革命を合わせたような、ジェットコースターのような映画。





















今作はすべてが3DCGで作られている。役者の演技を直接モーションキャプチャーでとりこんで、それをアニメに反映させるという手法だ。

この取り込む手法によってリアリティが得られると同時に、実写では不可能なことが可能になる。
それはカメラ(視点)が自由にできること。



大規模な映像表現やありえないもの再現のためにCGを使用するということはよくあるが、それはCGの可能性をすべて駆使できているわけではないと、この映画が示してくれた。










特に必見なのは、動物の視点とカーチェイス(?)の2点。


新鮮さという意味で、動物の視点は面白い。
今までのカメラでは限界があるし、まだまだ発展途上の3Dカメラではサイズが大きすぎて撮るのも難しそうだ。
だが、3DCGならそんな心配はいらない。この手法によって賢いワンちゃんスノーウィの活躍を余すところなく描ききっている。


予告編でも流れているカーチェイスのシーンは、この映画のハイライトだ。

とんでもない長い時間、ノンストップでチェイスシーンが進行する。カメラ位置はことごとく切り替わり、人物たちもひたすら移動し続ける。一息に駆け抜けていく爽快感と細部まで作りこまれた映像美に圧倒された。
これはぜひ劇場で観てほしいシーンのひとつでもあるだろう。

カメラの面で言えば、丘の上から港まで一気に突っ走るシーンなのでどう考えてもこれだけのカメラをセットするのは不可能に近い。ここでも3DCGの良さを存分に発揮しているわけだ。







おそらくパフォーマンスキャプチャーの撮影技法のために、アンディ・サーキスがハドック船長役として抜擢された筈だ。
なにせ彼は『ロードオブザリング』シリーズであのゴラムを演じ、『猿の惑星:創世記』では主役の猿・シーザーをこの手法で演じたプロフェッショナルなのだから。
そして彼は、アニメでも実写でもない絶妙なバランスで成り立っているキャラクターに見事「命」を吹き込んでいる。
自然に、ハドック船長というキャラをスクリーン上に表現していた。














ストーリーもまさに王道冒険活劇といったところで、満足。とんでもない酔っ払いハドック船長やデュポンとデュボンの凸凹コンビ、さらには賢くて勇ましくてマジイケメンカワイイ犬スノーウィなど、登場人物たちも魅力的なのが素晴らしい。





ひとつ残念だったのは、上記のチェイスシーンが強すぎたゆえに、ラストの展開がすこし尻すぼみになってしまった点。ただ、この1作だけでみたら残念な点であっても、次回作を期待させる内容だったのでワクワクはさらにアップした。

今後シリーズ化しても安定した面白さは変わらないだろう。




明らかにタンタンじゃなくてTINTIN(ティンティン)てみんな発音しているけど…
やはり日本じゃその名前には出来なかったのか。



↓予告編あり↓
http://www.youtube.com/watch?v=C0eUaiRptqM