50/50 フィフティ・フィフティ

シアトルの公営ラジオ局で働くアダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、27歳の真面目なタイプの青年。
マイペースなガールフレンドのレイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)や、常に冗談や女性の話題ばかりしている同僚で親友のカイル(セス・ローゲン)など、彼の周りには正反対の人々がいた。

ある日、腰の痛みが治らないため検査をすると、ガンにかかっていたことが判明する。しかも5年後の生存率は50%(50/50)。
その日からアダムの生活は一変することになる…


観賞日

2011年12月28日




【75点】











脚本家の実体験を基にして描かれたこの作品は、「がん」という重いテーマにしっかり向き合いながらも笑い飛ばせる面もあるんだと教えてくれる映画になっていた。
















病気を笑いモノにするのはタブーだと思われているようで、日本映画で難病ものというととにかく重苦しく、息が詰まるような作品が多いイメージがある。あとは、悲恋物語

しかし、この作品は単純に笑いモノにするのではなくて、闘病していく過程の中にあるユーモアだったりを描き出している。
確かに闘病する際は辛く厳しい。感情の揺れ動きも大きい。
だが、感情の振れ幅があるからこそ精神的に安定していれば、闘病生活の中でも安らぎやユーモアが存在する。

それはこの作品が実体験を基にしているのも根拠だし、たとえば今年のドキュメンタリー作品『エンディングノート』でもそのユーモアはみられた。(もちろん、これは闘病する人の性格によりけりだろう)

結果として、この映画には真実味がある。
出てくる登場人物たちはみな完璧なところがなく、かといって「〜キャラ」で簡単に括ることはできない普通の人間。「がん」という病気を軸として、やたらとドラマチックに飾り立てるわけでもなくしっかりと人物たちを描ききっている。




















主人公のアダムは、最近流行り(だった?)の草食系男子。流行というか段々と男がそういう風になってしまっただけだと思うが。
車が通る様子がなくても赤なら横断歩道は渡らず、整理整頓はしっかりやる感じ。ガツガツはしてない。

一方で親友のカイルは、女性を見たらすぐ下ネタが出るようなタイプ。
とにかくゲーセワな話題が大好きで、お調子者。挙句の果てにはアダムをダシにしてナンパをしたり…

だが2人は共にいる。正反対に近い2人の友情もこの作品の見どころで、笑えてくるほど下世話なカイルとアダムのコンビはある種の温かみすら帯びてくる。親友というものの大事さも自然な流れの中でスルッと教えてくれる。

自然に思えるのは、やはりアダム役のジョセフ・ゴードン=レヴィット(『(500)日のサマー』、『インセプション』のディカプリオの相棒役)とカイル役のセス・ローゲン(『グリーン・ホーネット』、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』)の演技が光っているからだろう。




特にセスはさすがコメディ役者として名を馳せただけあって、下世話なカイルを見事に演じている。
セスは実際に脚本家と長年の友達で、闘病の際も親友としてそばにいただけに一番この映画を理解しているのだろう。



















ちなみにセラピストの役でアナ・ケンドリック(『マイレージ・マイライフ』、『トワイライト』シリーズ)が出てたり、アダムのガールフレンドにブレイス・ダラス・ハワード(『ヒアアフター』、『ターミネーター4』、『スパイダーマン3』)が出てたりと、脇を固める面々も面白い。

決して重くなりすぎることなく、「がん」というテーマに向き合える作品だけにぜひ多くの人に観てほしい作品だ。







↓予告編はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=48Q9wPAFXH4