『ミッシング』

cinemachouchou2005-05-22

ケイト・ブランシェットトミー・リー・ジョーンズの共演と知り観たのだけれど、とても感動した。大体、父と娘ものには弱く、ご贔屓女優さまであるケイト・ブランシェットが出演していてつまらないと思った事などないのだ。


19世紀末のアメリカ、コロラドを舞台に嘗て家族を捨てアパッチ族としての生活を選んだ父、その娘は今は女手一つで2人の娘を育てながら村で女医としての日々を送っていた。許せない父がその村へひょっこりと現れる。そんな中、長女が人買いインディアンに連れ去られてしまうところから救出までのインディアンとの闘いの中、蟠りのある父と娘、祖父と孫娘との関係、絆の強さが大袈裟でなくひしひしと伝わる、この滲み出る個々の心はとても美しいと思った。それは、彷徨う心のままに生きる父(トミー・リー・ジョーンズ)と、娘マギー(ケイト・ブランシェット)の演技力、表現力は大きいものだ。勇敢なマギーの姿は母としての愛の深さを感じたし、一緒に闘う中で次第に許せない父の心に歩み寄って行くかの様な複雑な心理を表情でよく感じる事が出来た。本当に素晴しい女優さまだと思えてならない。


また、マギーの娘のリリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)の美しさはますます光り輝きうっとりしてしまう。でも、末娘ドット(ジェナ・ボイド)がまた可愛くてしっかり者で微笑ましかった。撮影当時9歳か10歳なのだけれど、とてもしっかりしていてかつ、可愛い子供らしさが愛くるしい。(この作品後、ジェナ・ボイドは再度トミー・リー・ジョーンズと共演した作品がある様なのでまた観てみたいと思う。)


あまり西部劇を沢山観る方ではないのだけれど、往年の西部劇の快活さと勇敢さを感じ観ていてとても楽しく「どうなるのだろう〜」ってのめり込んでしまうのだ。魔術を使って呪いをかけるインディアンの総長は気持ち悪く怖かった。でも、最後は連れ去られた娘たちも助け出せ人買いインディアンもやっつけた。でも、死なないで欲しいと思いながら観ていたけれど嫌な想像通りに父はその村で死んでしまう。トッドはおじいちゃんにとてもなついていた。許せない父と一緒に闘う中で、その死と共に、やっとマギーの心は浄化され父と娘という断ち切れない絆、血縁の強さの様なものを痛感した。アメリカではあまり評判は良くなかったそうだけれど人それぞれ。私はとても感動した!トミー・リー・ジョーンズはお年と共に独特の渋さを醸し出している様に思う。今年のカンヌ映画祭でも男優賞を受賞された式を生放送で観ていたのだけれど、何故か思わず拍手をしていた私。良かった!


「ミッシング」:THE MISSING
2003年 アメリカ映画 ロン・ハワード監督
出演:トミー・リー・ジョーンズケイト・ブランシェットエヴァン・レイチェル・ウッド、ジェナ・ボイド、アーロン・エッカートヴァル・キルマー