『信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム』講演準備:http://d.hatena.ne.jp/contractio/20160516
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『信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム』講演準備:http://d.hatena.ne.jp/contractio/20160516
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- 序説
- 一 メタセオリー
- 心理学的接近
- 全体場の強調
- 体系的・対・歴史的因果性概念
- 「分類的」接近に対する「構成的」接近
- 力学的接近
- 数学と場の理論
- 二 個人心理学において展開された場理論の基礎的諸概念
- 生活空間
- 構造的諸概念
- 力学的諸概念
- 三 心理学的環境内の変容を扱う諸概念
- 四 アクション・リサーチとグループ・ダイナミックス
- アクション・リサーチ
- グループ・ダイナミックス
- 五 要約
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- 1 信頼論の興隆
- 2 四つの信頼論
- 2.1 信頼論の分類
- 2.2 心理的アプローチ
- 2.3 合理的アプローチ
- 2.4 文化的アプローチ
- 2.5 機能的アプローチ
- 3 帰責のロジックとしての信頼
- 3.1 責任実践と帰責のロジック
- 3.2 近代社会における帰責のロジック
- 4 不在の存在──「信頼」回復/喪失言説の円環
- 1. はじめに
- 2. 「信頼」概念の多様性と類型
- 3. 「信頼」関係の基本的構図
- (1) 信頼する当事者
- (2) 信頼される対象
- (3) 状況
- 4. 信頼の特質と効果
- 5. 信頼と社会秩序
「信頼」は従来、社会学ではしばしば言及されても決して正面から取り上げられることのない概念であった。例えば、日本はもちろん欧米の社会学辞典にも「trust」という項目は記載されていない。ただ、風向きは変わりつつあり、最近の辞典(Marshall ed., 1994)では取り上げられ始めている。わが国では、「信頼」を直接に扱った論考は皆無に等しいが、社会学や社会心理学のいくつかの理論潮流の中ですでに、この現象への部分的接近が、多様な視点からなされている。
秩序問題との関わりでいうと、前者が協力的秩序形成に寄与する行為者の信念を問題にしているのに対して、後者は当事者視点からみた日常的社会秩序一般の成立基盤にあるものに関心を向けているのである。