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2015-11-06

【マイナンバーQ&A】マイナンバーは具体的にどう使うのか〜公営住宅編〜

マイナンバーは官が主に使うと聞きましたが、具体的にはどう使われるのですか?


マイナンバーでなんでもわかってしまいそう」「マイナンバーを官が悪用しそう」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

マイナンバーの効能は、基本的には、同姓同名、氏名変更、住所変更、外字、異字体があっても、同一人物だとわかることです。

まずは、マイナンバーが具体的にどう使われるのかを見ていきましょう。具体的に見ていかないと、「こんなこともできるのでは」「あんなこともされるのでは」と思ってしまうこともあるかと思います。マイナンバーの利用範囲は、番号法上限定されていますので、具体的に見ていけば、実際にどのように使われるのかをわかることができます。


今日は、公営住宅を例にして、マイナンバーの使われ方を解説します。


都道府県又は市町村内部でのマイナンバーの利用・本人とのやりとり

1.入居の申し込み

  • 公営住宅に入居するには、申込みをします。そして申込者多数の場合は、選考が行われます(公営住宅法25条1項)。この申し込みや選考の際にマイナンバーを利用します。マイナンバー1番さんがA住宅に申し込みをしていて、マイナンバー5番さんがB住宅に、マイナンバー10番さんがA住宅に、マイナンバー25番さんがC住宅に申し込みをしているなどの管理をします。今でも入居申し込み・選考が行われていますが、その際、氏名などが用いられています。氏名だと同姓同名者などもいる可能性があるので、マイナンバーで同姓同名者の混同などをせずに、正確な管理を行います。
      • 公営住宅法第二十五条第一項の入居の申込みの受理、その申込みに係る事実についての審査又はその申込みに対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条5号)

2.家賃

  • 家賃決定のための収入把握
    • 公営住宅の毎月の家賃は、入居者の収入、公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数その他の事項に応じ、かつ、近傍同種の住宅の家賃以下で、定められます(公営住宅法18条1項)。この入居者の収入は、毎年度、入居者からの申告を受けることで把握します。この収入の申告の際に、マイナンバーを利用します。マイナンバー1番さんは収入が300万で、1番さんの公営住宅は新しいし駅から近いから近隣住宅の家賃も●万円なので、この1番さんの家賃は△万円と決定するなどします。今でも、公営住宅の入居者から収入の申告を受けていますが、その際は氏名などを使っています。水町は収入が300万です、などと申告しているわけです。この点、水町(マイナンバー1番)は収入が300万円ですと申告するとすると、同姓同名、氏名変更、外字、異字体にも対応でき、情報の正確化が図れます(同姓同名者との勘違いなどが起こらない)。
      • 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第十六条第一項若しくは第二十八条第二項の収入の申告の受理、その申告に係る事実についての審査又はその申告に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条1号)
    • 公営住宅の入居者は、三年以上入居している場合で一定の収入のあるときは、公営住宅を明け渡すように努めなければなりません。この「一定の収入がある」人で、明け渡さずに引き続き公営住宅に入居しているときは、家賃は、通常とは異なる可能性があります。家賃決定の際には、毎年度、入居者からの収入の申告を受けて、収入や近傍同種の住宅の家賃を踏まえて、家賃が定められます(公営住宅法28条1項2項)。この公営住宅の入居者から収入の申告の際にも、マイナンバーを利用します。
      • 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第十六条第一項若しくは第二十八条第二項の収入の申告の受理、その申告に係る事実についての審査又はその申告に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条1号)
    • 公営住宅の入居者は、五年以上入居している場合で引き続き二年以上高額収入のあるときには、家賃は、近傍同種の住宅の家賃と同じになります(公営住宅法29条5項)。また明渡請求を受けた者が明け渡さない場合には、毎月、近傍同種の住宅の家賃の二倍以下の金銭を徴収される場合があります(公営住宅法29条6項)。この家賃決定の際にも、マイナンバーを利用します。
      • 公営住宅法第二十九条第五項の家賃の決定又は同条第六項の金銭の徴収に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条8号)
  • 家賃の減額免除
    • 病気にかかつていることその他特別の事情がある場合は、家賃が減免される場合があります(公営住宅法16条4項)。この申請の際にもマイナンバーを利用します。マイナンバー1番さんの家賃は△万円だけれども、マイナンバー1番さんは病気で入院中で収入がかなり減りそうであるので、家賃を〇円に減額します、といった管理にマイナンバーを利用します。今でも、家賃の減免申請は行われていますが、その際は氏名などを使っています。これからはマイナンバーをつかえるので、同姓同名者との勘違いなどが起こらなくなります。
      • 公営住宅法第十六条第四項(同法第二十八条第三項及び第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の家賃若しくは金銭若しくは同法第十八条第二項の敷金の減免の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条2号)
  • 家賃の徴収猶予
    • 病気にかかつていることその他特別の事情がある場合は、家賃の徴収を猶予される場合があります(公営住宅法19条)。この申請の際にマイナンバーを利用します。
      • 営住宅法第十九条(同法第二十八条第三項及び第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の家賃、敷金若しくは金銭の徴収猶予の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条4号)

3.敷金

  • 敷金の管理
    • 敷金の徴収の際にマイナンバーを利用します。マイナンバー1番さんの敷金は□万円で、何月何日までに納付してもらう予定で、予定通り納付してもらった、などをマイナンバーで管理します。今でも、敷金の徴収は行われていますが、その際は氏名などを使っています。これからはマイナンバーをつかえるので、同姓同名者との勘違いなどが起こらなくなります。
  • 敷金の減額免除
    • 病気にかかつていることその他特別の事情がある場合は、敷金が減免される場合があります(公営住宅法18条2項)。この申請の際にもマイナンバーを利用します。
      • 公営住宅法第十六条第四項(同法第二十八条第三項及び第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の家賃若しくは金銭若しくは同法第十八条第二項の敷金の減免の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条2号)
  • 敷金の徴収猶予
    • 病気にかかつていることその他特別の事情がある場合は、敷金の徴収を猶予される場合があります(公営住宅法19条)。この申請の際にマイナンバーを利用します。
      • 営住宅法第十九条(同法第二十八条第三項及び第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の家賃、敷金若しくは金銭の徴収猶予の申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条4号)

4.入居者の異動

  • 公営住宅に入居した際に同居した親族以外の者と同居しようとするときは、承認を得なければなりません(公営住宅法27条5項)。この申請の際にマイナンバーを利用します。マイナンバー1番さんの同居親族は〇さん、△さんで、今度は×さんと同居しようとしているなどと管理します。
    • 公営住宅法第二十七条第五項若しくは第六項の事業主体の承認申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条6号)
  • 入居者が死亡又は退去した場合に、当該入居者と同居していた者は、承認を受ければ、引き続き、当該公営住宅に居住することができます(公営住宅法27条6項)。この申請の際にもマイナンバーを利用します。
    • 公営住宅法第二十七条第五項若しくは第六項の事業主体の承認申請の受理、その申請に係る事実についての審査又はその申請に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条6号)

5.明け渡し

  • 入居者が五年以上入居している場合で、最近二年間高額収入があるときは、明渡しを請求されることがあります(公営住宅法29条1項)。マイナンバー1番さんは5年以上A住宅に入居していて、最近2年間の収入はいくらで、といったことをマイナンバーで管理できます。
    • 公営住宅法第二十九条第一項又は第三十二条第一項の明渡しの請求に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条7号)
  • 但し、病気にかかつていることその他条例で定める特別の事情がある場合に、申出があつたときは、明渡期限を延長することができます(公営住宅法29条7項)。この際にもマイナンバーが利用されます。
    • 公営住宅法第二十九条第七項の期限の延長の申出の受理、その申出に係る事実についての審査又はその申出に対する応答に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条9号)
  • 次の場合も、公営住宅の明渡しを請求されることがあります(公営住宅法32条1項)。この際にもマイナンバーが利用されます。
    • 入居者が不正の行為によつて入居したとき。
    • 入居者が家賃を三月以上滞納したとき。
    • 入居者が公営住宅又は共同施設を故意に毀損したとき。
    • 入居者が第二十七条第一項から第五項までの規定に違反したとき。
    • 入居者が第四十八条の規定に基づく条例に違反したとき。
    • 公営住宅の借上げの期間が満了するとき。
      • 公営住宅法第二十九条第一項又は第三十二条第一項の明渡しの請求に関する事務(番号法別表第一の19の項、別表第一主務省令18条7号)

6.あっせん

  • 入居者が三年以上入居して、かつ、基準を超える収入のある場合は、他の適当な住宅に入居することができるようにあつせんする等のことが行われる場合があります(公営住宅法30条1項)。この際にもマイナンバーが利用されます。

7.その他条例事項

8.収入状況の把握

  • 公営住宅法34条に定める場合で必要があるときは、公営住宅の入居者の収入の状況について、入居者、その雇主、その取引先その他の関係人に報告を求めることなどができます(公営住宅法34条)。この際にもマイナンバーが利用されます。

供コ杏瑤箸里笋蠅箸

1.家賃に関連して

2.家賃・敷金の減免に関連して

  • 1と同じ情報を入手する
  • 加えて、都道府県知事等から、公営住宅入居者又は同居者に係る生活保護実施関係情報を入手する(番号法別表第二の31の項、別表第二主務省令22条2号)

3.家賃、敷金等の徴収猶予に関連して

  • 2と同じ情報を入手する(番号法別表第二の31の項、別表第二主務省令22条3号)

4.入居申込みに関連して

  • 2と同じ情報を入手する(番号法別表第二の31の項、別表第二主務省令22条4号)

5.同居者の変更・入居者死亡又は退去後の居住申請に関連して

  • 2と同じ情報を入手する(番号法別表第二の31の項、別表第二主務省令22条5号)

6.明渡しに関連して

  • 1と同じ情報を入手する(番号法別表第二の31の項、別表第二主務省令22条6号)

7.明渡期限の延長に関連して

8.他の住居のあっせんに関連して

  • 1と同じ情報を入手する(番号法別表第二の31の項、別表第二主務省令22条8号)

9.不正入居等による明渡、条例事項に関連して


上記の通り、基本的には今自治体で行われている公営住宅の業務の中で、情報管理の一項目としてマイナンバーを使います。これによって、同姓同名者の間違いなどを防ぐことができます。またマイナンバーでさまざまな情報を外部から入手できるわけではなく、情報提供・情報入手できる場合は、番号法上限定されています。

なお、今でも公営住宅に入居申請する際には、さまざまな添付書類が必要です。情報提供ネットワークシステムが稼働し(平成29年目途)、庁内連携条例が整備されれば、添付書類の数を削減することができます。もっとも婚約誓約書のようなものは、マイナンバー制度ができても、ご本人から取得しなくてはいけませんので、添付書類が一切なくなるということは難しいです。

添付書類の例ですが、例えば、自治体ごとに異なりますが、HPによると以下のような感じです。

  • 金沢市
    • 住民票
    • 所得証明書
    • 婚姻誓約書(婚姻予定の方が入居可能日に属する月の翌月末までに婚姻届を提出することを誓約する書類です(親又は仲人の印鑑登録証明書が必要))
    • 退職予定証明書(婚姻予定の方等、入居可能日の前日までに退職(定時収入が無くなる)することを証明する書類です)
    • 調査同意書(市町村税の課税及び納税状況の調査と暴力団員の該当性調査に同意する書類です)
    • 給与証明書(前年から現在までの間に勤務先が変わった方、又は新卒者等前年の所得証明書(源泉徴収票含む)で1年間の所得が確認できない方が現在の所得状況を証明する書類です)
    • 在職証明書
  • 甲府市
  • 宇都宮市
    • 課税所得)証明書(入居予定家族で16歳以上(就学者を除く)の方は全員必要)
    • 完納証明書(納税証明書)
    • 世帯全員の住民票(入居予定者の世帯全員の本籍・続柄の記載のもの)
    • 健康保険被保険者証(入居予定の世帯全員分)
    • 上記書類以外に別途、個別に必要な書類があります
  • つくば市
    • 収入を証明する書類(課税証明書等)
    • 無収入を証明する書類(非課税証明書等)
    • 未納の税額がないことを証明する市町村税納税証明書
    • 住民票
    • 暴力団員でないことの申立書
    • 保険証の写し
    • 片親世帯及び単身で申込む場合は,戸籍謄本
    • 婚約中で申込む場合は,婚約証明書
    • 退職予定で申込む場合は,退職予定証明書
    • 住宅に困窮していることを証明する書類(賃貸契約書の写し・立退き証明書)
    • 生活保護を受けている方は,生活保護受給者証明書
    • 裁量世帯であることを証明する書類(身体障害者手帳の写し等)
    • 市外居住者で市内に勤務場所を有する方は,在職証明書
    • 単身で申込む場合は,自活状況申立書
    • 外国人の方は,「在留カード」または「特別永住者証明書」
    • その他,市が必要とする書類

自治体職員の方などで、上記説明に関して世帯主情報の取得・生活保護情報の取得・障害者情報の取得などの理由がお分かりになる方、また上記説明に関して補足がある方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントをお寄せいただければと思います。

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