記念日の公演

3月8日は国際女性デーとして知られます。国際女性デーとは、女性の政治的自由と平等を求める記念日。奇しくも同日に授賞式の行われた米アカデミー賞において監督賞をはじめて女性(キャサリン・ビグロー)が受賞するというニュースが話題に。わが国のダンス関連でも現代ダンスの先駆者であり「女性の解放」を訴えてきたイサドラ・ダンカン(1878〜1927)の作品の公演が横浜で行われました。残念ながら足を運べなかったのですが貴重な催しであり、観られた方は幸運だったのではないでしょうか。
そして、翌日の9日はというと・・・暗黒舞踏創始者土方巽(1928〜1986年)の誕生日に当たります。例年なにかしらの記念イベントが行われますが、今年は土方の遺したテクスト「病める舞姫」を秋田弁で朗読するという催しが行われました。土方の故郷・秋田の風景が現実と幻想の交錯する不思議な文体で浮き上がってくる「病める舞姫」を慶應義塾大学の学生と秋田出身の山谷初男らプロの俳優が秋田弁で朗読。テクストの朗読の合間合間に土方の誕生から死までの主な出来事が年代順に語られました。舞踏神というよりも人間・土方、東北人としての土方の実相にせまるようでもあり刺激的でした。会場はザムザ阿佐谷。阿佐ヶ谷という町は、かつて土方が雌伏の時代に1年ほど過ごした所であり、因縁浅からぬ場所です。また、この日は夕方から雨が雪に変わり、公演が終わって外に出ると、雪がうっすらと積もっていました。雪国・秋田の深深と雪降る夜を想起したのは私だけではないでしょう。感慨深い一夕でした。
記念日というもののおかげで先人たちの業績をあらためて振り返るとともに現在、そして未来を考える契機が生まれます。特別な思いがあって特別な公演が行われるのは素敵なこと。そういった機会を大切にしていきたいものです。


魂の燃ゆるままに―イサドラ・ダンカン自伝

魂の燃ゆるままに―イサドラ・ダンカン自伝