Google Androidの登場で日は沈む

db4o2007-11-15

Googleのケータイ用オープンプラットフォーム、AndroidSDKが先日12日にリリースされたが、じんわりと本物の衝撃が走りだしてきた。Androidの発表があってから、無意味にさわいでいる人たちを尻目に、結構クールな批判が相次ぎ、そしてそれらも裏切ってすごいの出してくれ、みたいな変な期待感であふれていた。

Androidの発表後、ケータイの開発コストが10%程度下がるという説明があったが、そんな簡単に行く訳がない、そう思った人は多いはずだ。ところが、SDKの中身をよく見てみると、あながち嘘ではないことが分かった。

AndroidApacheライセンスを採用している。これはAndroiの発表の時点で既に分かっていたことだ。しかし同時に、これまでの経緯を考えると、どうもJavaがのってくるぞ、という可能性がかなりあった。となるとライセンスの問題をどうクリアするのか、そこも大きな注目の材料だった。

そして12日、AndroidSDKは完全にJavaだった。独自のCLDCみたいに考えていい。クラスライブラリ自体はApache Harmonyのライブラリを使用している。しかし実行される仮想マシンは、Google独自のDalvikというVMで、バイトコードも独自フォーマットになっている。

そしてこれが直ちに意味することは?そう、ケータイメーカーがJ2MEのVMライセンスを払わなくていいということだ。端末あたり数ドルだとしても、これによって得られる業界全体のメリットはもっと大きい。それは同時に、SunがJ2MEによって得てきた座布団を山田君に全部取り上げられるかもしれないということを意味する。

JavaによってSunは十分な収益を上げていないし、それほどの伸びも期待できていない。さらにJ2MEが最大のJavaによる収入源でありながら、サーバー事業に力を裂かれて力を入れることができないでいる。

来年から、NTTのNGNサービス開始を皮切りに、自動車やケータイ、家電などのホームコンピューティングが日本でも動き出す。ユビキタス時代の主役はPCやサーバーではなく、そういったデバイス達なのだ。そしてそれらはOSGiという仕様に基づいて動いており、それはJavaベースなのだ。

Googleは、Androidデジタル家電などにも提供していきたいと話しており、Androidによって、次世代OSの覇権を一気に握りに動き出したのだろう。

しかし、そう簡単に行くか?例えばドコモの貴重な資産になっているJavaアプリは動くのか?Googleは全てを無償で提供しているが、その莫大なコストをどう正当化して継続していくのか?

Googleの立てる波はとんでもなくでかかったが、日(Sun)が沈んで、新しい夜明けに向かうのか・・・。

参考:Dalvik: how Google routed around Sun's IP-based licensing restrictions on Java ME