数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)
前作よりも「自明」が減り丁寧に式の展開がされているため、納得しながらの読み進めやすさは今作の方がはるかに易しい。扱う内容が素数やピタゴラス数など中学生時の数学でなじみ深いものだったおかげもあるかもしれない。
前作の展開についていけなかった人(私も)は前作はザッと登場人物だけ把握して、数学を楽しむ場合はこちらから読み始めてもらいたい。正直10章のは難しくてついていけなかったが。
ところでこの本を読み進めていくうちに数学とプログラミングには多くの共通点があるなと考えた。
「数学って、何かの役に立つのかしら……」と母がため息をついた。
(P.328より)
数学ってのは一般人からは公式、定理(What)そのものが評価され課程は評価されない。いや公式すら評価されないことが多数か。フェルマーの最終定理そのものだってなんのビジネス的価値もない(と思う)。
でも最も楽しいのは公式を導くまでの課程(How)。さらにその証明を人と共有し人それぞれのやり方(Why)を比較し検討するのがなにより楽しい。より明確に、より簡潔に、よりエレガントに。
プログラミングについても同じ。結果だけみれば、「要は仕様通り動けばいい」という点ではどんな設計をしてもどんな言語を選択しても得られる結果は同じ。でもプログラム好きの多くは過程(プログラミング)を楽しみ他人との実装の違いを楽しむ。悪く言えば過程ばかり楽しんで金に頓着のない研究家ばかりという点も共通するかも。
そして一番の共通点は「読んだだけではわかったつもりなだけ、自らの手を動かさなければなにも得られない。」ということ。
「違うよ。さっきの証明を丸暗記しても意味はない。自分でノートを広げて、シャープペンを持って、もう一度自力で証明しよう」
「うん……えっと、自力で?」
「そう。自力で。でも、たいてい上手くいかないものだから、証明できなくてもがっくりこないようにね。どこかで行き詰まっちゃうんだ。自分ではわかったつもりでいても、なかなか証明は完成できないものだよ。...(略)」
(P.99より)
この夏休みJava言語で学ぶデザインパターン入門を写経する予定だったが、そういえばこれも結城さんの本。2008年の夏は結城さんに捧げるか。
数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2008/07/30
- メディア: 単行本
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次に読む。
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
- 作者: サイモンシン,Simon Singh,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 単行本
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