ガムテープの発光

今回は蛍石よりさらに暗く、そして動的な現象。
ガムテープの粘着面を互いに貼り付け、これを勢い良く引き剥がすと青白く発光するのです。
lumi1


lumi2


これは、粘着テープ中の高分子鎖が応力で変形し、これが開放される時の静電気による発光だとされています。
詳しい分子構造はよくわかりません。メーカーも教えてくれないでしょう。
こういうのをトリボルミネッセンス(摩擦発光)といいます。
確か琉球大に詳しい先生がいたはずです。
この日記はなぜかアカデミックな読者が多く、北は北大から南は琉球大まで読者がいます。
琉球大の読者さん、ちょっと聞いてみてくださいヨ。


いろいろ試してみるとわかるのですが、よく光るガムテープ、そうでないガムテープがあります。
今回のはあまり光らない、性能の悪いガムテープでした。
いいのをゲットしたらもう一回チャレンジします。
いわゆる布テープで、粘着面が茶色のものに当たりがあります。


これは自分の目で見たほうがわかりやすいので、部屋を真っ暗にして試してください。
ベリベリと勢い良く引き剥がすのが肝要です。
なお、これは何度か反復することができるのですが、粘着力低下に伴い発光量は減少します。


「なんでがむてーぷしんでしまうん?」


(メモ)これは撮影が異常に難しいです。
動的な現象ですので、シャッタースピードが遅いとぶれます。
シャッタースピードが速いと光量がまったく足りません。
レンズが明るいと、被写界深度が浅く、ピンボケします。
しかもガムテープを引き剥がすのは両手でないと無理です。
三脚立てて、Nikkor-O 55mm F1.2 開放。D3 は増感して H2.0 まで上げていますが、ざらざら。
シャッター速度は 1/40 sec です。
よく光るガムテープでタイミングよく剥がせば ISO 3200 相当でもいけるでしょう。


逆に言えば、指先も見えないような暗闇でも、オシロニッコールとD3 の組み合わせでは像が写るということです。

白神山地:ブナ20本に刃物で文字刻む 環境省など調査へ

http://mainichi.jp/select/today/news/m20080930k0000e040045000c.html

 青森、秋田両県にまたがるブナの原生林の一部が世界自然遺産に登録されている白神山地で、ブナ約20本に刃物を使って文字が刻まれ傷を付けられる被害が出ていることが30日、明らかになった。環境省林野庁は1日、現地に入り詳しく調べる。


 環境省東北地方環境事務所仙台市)によると、傷つけられたのは、青森県西目屋(にしめや)村川原平の大川国有林のブナ林。


マタギ林業関係者は、大昔から木に印を付けてるんですが。
世界遺産ってのは偉いんだな。
ついでに言うと、クマも木に傷付けるね。
林業関係者がしていることが常に正しいとは考えていませんけど。


さて、東日本、特に群馬−新潟−栃木北部には十二様信仰というのがありまして、山の忌み日があります。
十二の付く日に山に入ってはいけない、というものです。
特に十二月十二日、これは山の神様(十二様。森林や山の神様*1)が木を数え、きりのいいところで二本の木を撚り合わせて目印にするのです。
ここに人がもしいたら、木と勘違いされて一緒に捻られてしまうので危ないのです。
たぶん十二様も地元の年寄りも、環境庁の役人には嫌われるでしょうね。
何百年も前から同じことをしているのに*2


世界遺産がブームになり、白神に多くの人が訪れているそうです。
あの深いブナ林は確かに価値があります。
地質、歴史、地誌、民俗、風土気候、森林・遺伝子資源を全部ひっくるめて白神や屋久島の森は価値があるのです。
じゃあ他はどうなのよ、と聞きたいです。
上野村の立派なシオジ林を見に来る人が年に何人いるでしょうか?
あなたの地元に残った原生林をみんなが見守ってくれたら、それはあなたの世界遺産


そこらへんが理解できないと、きっと森を楽しめないでしょうね。

*1:十二様は女の神様。男が好きで、山での失せ物探しなどは男の一物を見せると喜んで探してくれるそうです。私も山でガマを探すときは、まず立小便するところからはじめます。これは山のルールなのです(笑)。私はそんなことを中学時代−高校時代から山の年寄りに聞かされ、育ちました。私はそのころからザックを担いで奥山で石を掘っていました。

*2:木にナタで傷つけただけでニュースになるぐらいなら、大規模開発はもちろん一族郎党市中引き回しの上打ち首獄門ですよね。知床や北軽の森を切ったのは誰でしたっけ?