休符だらけの音楽装置@秋葉錬成中屋上。

オープニング・ライブ。出演は大友良英、伊東篤宏、梅田哲也、Sachiko M、堀尾寛太、毛利悠子、山川冬樹。4時半開演ということで、明るいうちから始まるので一昨日よく見えなかった展示の全貌が、老眼が多少入ってきたオッサンの目にも明らかに。


まず屋上に上って感じたのは、昨日の新宿ロフトの厳重な管理体制とは全く正反対の、ものすごくゆる〜い雰囲気だった。オレが会場(屋上)に入った時にはすでに大友くんがギターを演奏しており、ほとんどの観客がその周りに集まっていたのだが、地べたに胡座をかいてギターを弾くその姿はまるで、天気のいい夕暮れがなかなか心地良いのでギターでも持って屋上に上がって外の雑音と一緒にまぁ近所迷惑にならない程度に弾いてみるか。なオッサンの風情。ミュージシャン・オーラ、ゼロ(笑)。この感じが約2時間、終始いたるところで発生しているわけ。
各々のミュージシャン(というか、展示物を作った人々)が、いたるところで、大きな音、小さな音、変な音、たまに「楽音」、を鳴らす。スケボーに乗ったり(これは山川さん)、自転車に乗ったり(大友及び梅田くん)、巨大な脚立の上に上がったり(Sachiko Mや毛利)。もう、わけがわからない。ただ、わけがわからないながらも、オレがこんなに楽しめてしまうのは、音楽に期待して今回の展示を観に行っていないからでしょう。だから音楽を期待されて行かれた方にはちょっと不満だったかも知れないね。


でも、観客もみんな楽しそうだったなあ。多分それは、ライブハウスの「何時開場:何時開演、ステージには上がらない、写真を撮っちゃダメ、録音しちゃダメ、本日は2セットの演奏になります、とってつけたようなアンコール、演奏終了後は速やかにお帰りください」的な、ライブハウス側からの、もしくは自主規制によるライブの決めごとを一切取っ払っちゃった楽しさなんじゃないんかなーと思った。もちろん暗黙のルールとして演奏者の邪魔をしちゃダメだし、展示物にも触っちゃダメです。でも、あれやっちゃダメ、これやっちゃダメという指示は開催側からは一切なし。演奏者も、観客も、大人の楽しみ方をしましょうよ、という観客のの判断任せの心地良い緊張感が、より楽しさに拍車をかけていた気もする。オレはそういう展示とか音楽のあり方とか接し方が、本当に大好きなんですよ。


芸術とか、特にアートなんて言い方、スノッブを気取ってクソ忌々しく発せられるその言葉に嫌悪を覚える私ですが、本来は今日のような展示や音楽の提示の仕方、演奏家と観客の関係性が基本だと思うわけですよ。その基本に立ち戻ったというか、根源的にそれを開示したというか、そのようなコンセプトは私が大友良英に最も共感し、感心するとことなのです。彼は観客に全てを投げ出し、感情を委任する。これを心地良く感じるか、逆に全ての感じ方を予め決められた方が心地良く感じるかによって、今日のライブの面白さが変わってくるでしょう。


ああ、楽しかった。


夜もまだ浅いし、大谷能生に「せっかく横浜から来たんだから上野御徒町辺りで呑みましょうよ」と誘われ、大谷夫妻と私の配偶者と私の4人で上野で呑んで、ひとしきり本日の感想を言い合ったり、オッサンとは何かという話になったり(それによると、最後は必ず政治の話になるのがオッサンだ、ということだったが、ミゴトに我々はそうなりました・泣)、4人で盛り上がり、さて時間も早いし、もう一件行きますか、と言ったところでタイミング悪く(良く?)毛利から電話。秋葉で打ち上げをやっているから来いと。
4人で秋葉に向かったのであった。ヘロヘロでした。