不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

休日に読んだ2冊

 西加奈子『ふくわらい』(朝日新聞社。初西加奈子。以前から読んでみたかったのだが、本書がプロレスを扱っていると聞き、読んでみる事にした。編集者が主人公で、物語は浮世離れというより突拍子のない事を日常の一つとしてポン、ポンと置いていき、さらにそれが普通に思えてくるから不思議といえば不思議。丁寧に書かれているし、オフビートなところがおもしろくもあるが、ラストの展開は俺はよくわからじ。何なのこれ、と疑問にすら思う。プロレスについては、それほど大きく扱ってはいないけど、結構本質を見抜いている気がした。著者自身は好きなのかな。最後の、レスラー守口のマイクパフォーマンスはグッとくるものがあった。もう一つの『レスラー』のランディの姿とするのは、言い過ぎかな。

ふくわらい

ふくわらい

 清水勲四コマ漫画北斎から「萌え」まで』(岩波新書。副題通り、「北斎から『萌え』まで」の約190年間にわたる日本の四コマ漫画の歴史を振り返っている。論考ではなくあくまで歴史の紹介だが、北斎が四コマの始まりだとか、手塚治虫も四コマがデビューだったとか、萌え四コマは昭和27年からあったとか、たいへんに興味深い内容。そして現四コマ界の大御所、植田まさしいしいひさいちがいかに偉大で、彼ら以降の四コマ界がいかに密度が異常に濃くなっていったのかよくわかる。この辺を分析した論考を読んでみたいが、誰か書いていないかなぁ。俺が読んだ中では、『文藝別冊 [総特集]いしいひさいち』(河出書房新社)に掲載されていた、いしいひさいち本人によるでっち上げインタビューが一番四コマを分析していたな。だから、まず書くべきは(しつこいようだが)植田まさし論だと思う。
四コマ漫画―北斎から「萌え」まで (岩波新書)

四コマ漫画―北斎から「萌え」まで (岩波新書)