『リンダ リンダ リンダ』を観た(@シネセゾン渋谷)

客は30人ぐらい。意外にも40代50代ぐらいの人が結構いた(しかもウケてた)。逆に若い子は皆無。


映画の詳細は以前の日記を参照。


バンド映画かと思って観に行ったら、文化祭映画で部活映画だった。毎年、日本のどこかで起こっているであろうありふれた文化祭の一コマを描いた青春映画。韓国の留学生をボーカルに据えた女の子4人による即席バンドが、学校中を巻き込んでの一大イベントを巻き起こす!なんてことには全くならず、体育館でライブを観てた観客にしても、「誰かブルーハーツやってたね」ぐらいの記憶しか残ってないだろう。ぶっちゃけると「リンダリンダ」だからみんな盛り上がってくれたんだ。でもね、ステージに立った女の子4人にとっては、この三日間、高校最後の年の一番充実した想い出になったはず(この後に控えてる行事といえば受験ぐらいだからね)。今回の出来事が本人達のその後の生活に影響を与えるかって言うとそんなことも全くないだろうし(ソンちゃんはちょっと影響するかな…)、卒業したら結構忘れちゃうと思う(笑)。でも何かの折りに文化祭の話が出れば真っ先に思い出すんじゃないかな。「あのとき大変だったよねえ」「よく三日でやろうとか思ったよ」「この子いきなりソンちゃんに声かけちゃうし」「寝坊しちゃうし」「でも結構盛り上がったよねー(にんまり)」みたいな(笑)。学校行事って、いつもと学校の雰囲気が変わるじゃない? それぞれの人が異なる時間の流れで動くでしょ。やってることもバラバラだし、普段あまり行かない場所に出入りしたり。部活やってる子はクラスの出し物以外にも行かなきゃいけないとこやらなきゃいけないことがあって、バラバラなんだけど、学校中が文化祭っていう同じ目標に向かって行動してるという変な一体感がある。そこらへんの空気感が誇張無く再現されていて、スクリーン上で流れてる時間がね、自分の高校時代と同じなんだな。遠くで聞こえる校内のざわめき、バンド練習の音、うららかでのんびりとした空気の全てに懐かしい記憶が甦る。でも先生、夜中にバンド練習はやっぱまずいっすよ。あの部室、全然防音してないし、近所から苦情がくる。うちの顧問の先生は元気にしてるかなあ。。。


今回も他人様の家庭を描く際に山下監督のリアリズム主義が遺憾なく発揮されてた。ベースの望ちゃん(関根史織)家とか(あんだけ弟がいれば、そりゃあしっかりもんになるわ)、ドラムの響子ちゃん(前田亜季)が家で見せる弛緩しまくったくつろぎルックとか。女の子も適度に化粧っけない。ペ・ドゥナブルーハーツって最初があまりに下手くそで心配になったけど、ライブは凄かったねえ。泣いた。ボーカル向きの性格だよ。でも、萌ちゃん(湯川潮音)の「リンダリンダ」も聴いてみたかったり(想像つかない…笑)。恵ちゃん(香椎由宇)の性格が高校の時の友達そっくりで振り回された想い出が走馬燈のように…(といっても私も望ちゃんタイプだったのでそこはそれなりに)。香椎由宇ってさ、ドラマ『ウォーターボーイズ』の時、どうしようもないぐらいに大根だったんだよ。見違えたねえ。ほんと見違えた。


ちなみに私は「リンダリンダ」より「TRAIN-TRAIN 」派だけどね*1。そしてできることなら、次は誰か、“文化祭で劇を披露することになったクラスのひきこもごもを描いた映画”を作ってほしい。うちは高校二年の時は喫茶店だったけど、一年と三年は劇だったんだよ。喫茶店のときの想い出ってほとんどないけど、劇はいろいろあったからなあ。かならず途中でケンカになったし。でも最後はやって良かったなって思ったもん。高校生にもなってクラスでケンカするって文化祭ぐらいしかないからさ。やっぱり学校行事ってあった方がいいよ。楽しんだ方がいい。



渋谷シネセゾンでのロードショー上映は9/16(金)まで。(追記:9/17(土)以降は渋谷シネ・アミューズにてレイトショー。初日9/17(土)は21:10の回上映前に山下敦弘監督&香椎由宇を迎えてのトークショーを予定(当日朝10:00より整理券配布)。


*1:あんな強面の風貌になっても、いまだに山口祥行“くん”と呼んでしまうのは『ハイスクール落書き』のせい。

「春の底」「阿佐ヶ谷ベルボーイズ」を観た(@アップリンクX)

2本立てでした。


春の底
20分ぐらいの短編。脚本が無く、与えられた設定だけをたよりに役者の即興芝居で生み出された作品らしい。設定って、人物設定だけってことだろうか? ころころとシーンが変わるけど、どうやって撮ってるんだろう。主人公の男と恋人のやりとりは良かったけど、男の心に変化を与える老年男性とのやりとりがダイジェストっぽくなっちゃってるのが惜しい。もう少し尺長くして、じっくりと心情を描いても良かったんじゃないかと(設定から容易に想像はできるんだけど、こっちとしてはやっぱり画で観たいじゃん)。


阿佐ヶ谷ベルボーイズ
『ある朝スウプは』を手がけた映像ユニット・群青いろの中編映画(監督・主演:広末哲万、脚本:高橋泉)。あいかわらず痛いとこをついてくる。普通の人が普通に持ってる、でも、あまり突っ込んでは欲しくない部分を白日の下に晒すのが彼らの作風なんだろうか。本作でも、人の心と行動の間にある複雑な関係がありのままに描かれていて、とてつもなくリアル。PFFで準グランプリを獲った『さよなら さようなら』も観たくなった。


上映は9/9(金)まで


『怪談新耳袋 劇場版(第二弾) 幽霊マンション』を観た(@渋谷シネ・ラ・セット)

映画の詳細は以前の日記を参照。


人がタイムリミットに向かって全力疾走する様って素敵だね。スリルとサスペンスと感動がいっぺんに味わえたよ。それ以外のことについては、脚本から演出から全部ノーコメントでいいですか? もう、あまりにアレだったので、原作本買った。原作はめちゃめちゃ怖いじゃん(北野誠のローカル番組って『トゥナイト2』?)。読み終わった瞬間、女幽霊の名前を速攻「みさえ」にすり替えたよ(だってまだ風呂入ってないんだもん。頭洗ってる時に思い出したら困る)。なんというか、なんでこの話を吉田監督に任したんだろ。作風違うじゃん。せっかく第一弾の出来が良かったのに…。第三弾「ノブヒロさん」に全てを託す。


上映は9/9(金)まで