バニラスカイ

バニラ・スカイ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
Vanilla Sky
2001・アメリ
主な出演者:トム・クルーズペネロペ・クルスキャメロン・ディアス  監督:キャメロン・クロウ

親の遺産で何不自由なく暮らすデヴィッド(クルーズ)は、ある日運命の女性ソフィア(クルス)と出会う。
忘れられない一夜を過ごしたデヴィッドの前に突如現れたガールフレンドのジュリー(ディアス)は、デヴィッドを自分の車に乗せ、道路から飛び出して死亡。デヴィッドも瀕死の重傷を負い、顔は崩れ、ソフィアも失ってしまう…

97年のスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」のリメイク。
オリジナルでもペネロペさんが同じ役柄で出演していたそうですが、トム氏は映画のリメイク権とともに主演女優も手に入れたってわけですね。←ゴシップ誌的切り口。


ちょっと狙いすぎた感があります。ここまで複雑にせんでもええのに、って。
やたらと説教クサイのもアレでね。「コレは精神の革命だ!」とか言われてもさァ。デヴィッドの親友が繰り返し言う、「人間はニガさを味わってこそ、甘さが分かる」なんていう、至極当たり前のことが、この物語のテーマなんでしょ? 浅いよ…。


ようは金持ちのボンボンが奈落の底に突き落とされて、引きこもり&妄想の世界に入ったと。そゆことでしょ。それならそれで、不遇に陥った人間の孤独とかさ、そういうのをもっと掘り下げて欲しかったわ。それを浮き彫りにせんがための、前半のデヴィッドの底抜けのリッチ&プレイボーイであるべきなのに…。


ところどころ、本筋とは関わりなく笑えたところは多かったです。
ジャズの大御所コルトレーン氏のホログラムとか。無意味に思えたけど、あれも「過去の記憶」って意味でちゃんとした伏線だったのかもね。
ジュリーが連発する、「一晩に2回はグッド、3回はベリー・グッド、4回は…」ってのも良かった。セックスの回数が、すなわち愛の深さ、お互いの結びつきの深さを表すのですね。何て即物的


あと一番笑えたのは、カート・ラッセル演じる精神科医
一番の被害者ではないでしょうか、この物語の中で。必死こいてんのに、報われないラスト(^^)。


それと、ジュリーがCDデビューするってことで、その歌が作中で流れるのですが、なんと音痴で有名なキャミー自身の声で、サントラにもしっかり「ジュリー」名義で収録されてました。「あたしなら、このCDを買うわ」とか何とか言ってましたっけ。
ちなみに私も(サントラを)買っちゃいましたけど。
っていうか、この映画、サントラ自体の出来はとても良いのですが、作品の中で音楽流しすぎ!! アホみたいにコロコロBGMが替わりますもん。監督の趣味なんだろうけど。落ち着かないよなー。
デヴィッドが苦悩の果てに○○するシーンだけで、3曲もBGMが流れてたよ。


ところで、タイトルの「バニラスカイ」とは、何を表していたんでしょうかねえ。語句自体は、夜明けの薄暮の空の色をバニラにたとえて表現したものみたいですが。
作中、デヴィッドの部屋に飾られているモネの油絵、その空の色がまさにバニラ色。
さらに、ある重要な場面でも、ビルの谷間の向こうに広がる空の色は、バニラ色。
映画のエンドロールとともに流れる、ポール・マッカートニーの歌(その名も「バニラスカイ」)では、日常の平穏が消えていく様子を、「あなたはバニラスカイの中へ高く飛び立つ」と表現しています。


この映画見て以来、単なる夕焼け空を「バニラスカイ」と呼んで喜ぶ私。
どうも精神の革命が必要みたい…。

アクシデンタル・スパイ

アクシデンタル・スパイ [DVD]
The Accidental Spy / 特務迷城
2001・香港
主な出演者:ジャッキー・チェンビビアン・スー、キム・ミン、ウー・シングォ  監督:テディ・チャン

香港でセールスマンをしているユエン(チェン)は、直感とカンフーだけが自慢の冴えない男。ところがそれを活かして銀行強盗を取り押さえ、一躍スター扱いになる。
そのユエンの前に現れた謎の探偵リウ(エリック・ツァン)。リウに導かれるようにして、ユエンは自分の出生の謎を求め、韓国に旅立つ。
しかし事態は二転三転、ユエンは生物兵器の争奪戦に巻き込まれていく…

2002年のサッカーワールドカップ開催をにらんでの、韓国市場向けの戦略が見受けられます。相変わらずジャッキーの商才には、恐れ入ります。
他にもトルコロケあり。市場や風呂場(トルコ風呂)を全裸で駆け抜けてマス(-_-;。
…そういや「ラッシュアワー2」でもストリーキングしてたけど…ジャッキー、ここへきて露出狂の癖が…?


オープニングで、いろんなフィットネス機器のデモンストレーションをするセールスマン・ユエンですが、昔のジャッキー映画だったら、さしずめ木人相手の組み手ですな、このシーンは。時代に合わせて工夫しとるなー。でも今あえて木人が欲しいね、フィットネス用品として。
ジャパネットタカタとかで売ってくれんかなー(絶対無理)。


しかし、エレベーター内の狭い空間でのバトルなど、工夫は認めるけど、やっぱ全体的にジャッキーの動きも小さくまとまってはりますねえ…。ちょと悲しい。
BMWの変なバイクに乗ってのカー・チェイスや、「『スピード』かよ!」と突っ込みたくなるよな、ブレーキの壊れた暴走トラックの場面、意外とシリアスな演技も似合うビビアン・スー、韓国の新星キム・ミンさんなどなど、今回も見所盛りだくさんではありますが…ややムリヤリという感もしなくはないね。


新しかったのは、エンディングで(いつもどおり)NG集が流れた後、本編の後日談が語られたこと。ホンモノのスパイとなって活躍している、5年後のユエンの姿が描かれるのですが…どー考えてもイタリー人の変装は、無理がありありやろ(^^;。