日本の未来は明るい!

Lilac さんが、日本ではなぜクリエイティブな新興企業が生まれにくいのか考察する。

日本や欧州にシリコンバレーが出来ない理由とその対策 (1/2) - My Life in MIT Sloan

ポール・グレアムは私も大好きで、彼の書いたものはたくさん読んだ。このエントリの中で、ポール・グレアムが言っていることはどれもいちいちもっとも。「日本人にシリコンバレーを作らせたら、無意識に日本人だけにするだろう」とかグサッときますね。

私は以前こんなエントリを書いた。

日本にシリコンバレーを作る方法 - Rails で行こう!

私はソフトウェアエンジニアとして、業界の重層下請構造の末端で、過酷な日本的現実を見すぎたせいで、どこか夢を見られなくなってしまっているのかもしれない。それで、つい「日本どうなるのかな〜。やばいよね〜」という暗いエントリを書いてしまう。

Lilac さんの年齢はわからないけど、私よりずっと年下だろう。私は今年40歳になるのだけど、そんな若い人たちが、虚心に日本の現実にぶつかって行ってくれるなら、日本にも希望がある、と思う。私は、そういう人たちのじゃまだけは絶対したくない。たとえ、自分の経験から「無理かなあ」と思っても、そうとは言いたくない。もし、私が日本に対して否定的なエントリを書くことが、若い人たちの希望を失わせているなら、真剣に反省したい。日本は、他のすべての国がそうであるように、問題はかかえているけれども、未来永劫解決できないわけじゃないからね。一人一人の努力が、すぐにではなくても、いつか必ず実を結ぶ。

これは自分自身に対して言っているんだけど、年寄りというのは、経験があって知恵があると同時に、過去を知りすぎているんだよね。一人の人間が過去の記憶を整理することで、現在の問題に集中できるように、年寄りが死んでいくことにより、人類は過去の記憶を捨てることができる。たとえば、人種差別意識とか、人類が過去を忘れる事によってしか解決できない問題は多い。私が、自分の記憶のせいで、若い人に説教をはじめるとしたら、それは完全に老害だ。「老兵は死なず、ただ消え行くのみ」。そうなったら口をつぐんで、どこかへ消え去りたい。

できない理由をあげるのは、簡単だ。けれども、私は、できない理由を10個考える間に、自分のできることを1つ成し遂げたい。時勢という大きな流れの中で、たとえ負けることが運命だとしても、最後まで戦って敗れたい。

私は、できれば外国に住みつづけたいと思っているけど、それでも、生まれ育った国の動静は気になる。外国人の地位というのは、その母国の国際的地位と正比例する。海外にいる日本人も、日本とは無関係ではいられない、ということもある。自分自身・家族・友人を守りながら、かつ、日本の外から日本に貢献できる方法ってきっとあるはずだ。それをこれからもずっと探し続けたい。

魯迅の言葉を引用したい。

希望とは、もともとあるものだとも言えないし、ないものだとも言えない。
それは地上の道のようなものである。地上にはもともと道はない。
歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。

魯迅清朝末期から中華民国初期にかけて活躍した中国の文学者である。彼の時代の中国は、列強によって多くの利権を蚕食される半植民地状態であった。そういう状況に陥りながらもなお中国人は一つにまとまれず、政治闘争を繰り返していた。当時の中国の知識人たちは、内心忸怩たるものがあっただろう。しかし、魯迅はそれでも希望を見いだそうとした。

日本はしばらく苦しい道のりを歩まなければならないかもしれないが、決して希望がないわけではない。今日の私たち一人一人の小さな努力は決してムダではない。目先のことだけでなく、たまには遠い未来に目を向けてみよう。きっと日本の未来は明るいはずだ。