ENDING ENDLESS 雑記帖

文芸・音楽系文筆業=円堂都司昭のブログ

建石修志展

虹の獄、桜の獄

虹の獄、桜の獄

個展の案内状には〔本に微睡む 或いは 紙に浮かぶ夢〕とあった。本の装画を多く手がけてきた画家にふさわしい誘い文句。竹本:文、建石:画『虹の獄 桜の獄』が刊行された直後の個展なので、この本に収められた作品を中心にした内容だった。
油彩とテンペラの混合技法による絵は、印刷で見るよりはるかに立体的に迫ってくる。硬質な幻想絵画である。洋館の白い外壁と少年の頬が、あえて同種の鉱物的な滑らかさで描かれていることが、非現実的な印象を醸し出すのだろうか。
対象の“肌合い”をめぐる建石の鋭敏な感覚は、鉛筆画でよけい際立つ。特に、羊皮に鉛筆で画いた作品は、近くで見ると強く芯を押し付けた部分がへこんでおり、傷跡を思い出させる。まるで、かさぶたがとれたばかりのまだ引きつった皮膚。生々しい。それでいて鉛筆の黒はメタリックにも感じられるのだから、目の前に立つとなんとも不安な心持ちになる。この羊皮の作品を見られただけでも、行ってよかった。
(銀座 青木画廊で10月29日までhttp://cherubim-tateishi.site.ne.jp/news/05aokiex.html

クリームとクイーンとフリー

山野楽器銀座本店7Fイベントスペースにて、クイーン+ポール・ロジャース《リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ》CD、DVD発売ASIN:B000BGIE6A、来日記念のヴィデオ・コンサートを見る。フレディ・マーキュリー在籍時の編集映像10分、ブライアン・メイロジャー・テイラー、ポール・ロジャースのインタビュー、そしてメインの最新ツアーのダイジェスト、合計で60分ほど(この催しは明日も行われる。11時スタートから19時スタートまでの計7回)。


2Fの洋楽売場に下りると、クイーンだけでなくローリング・ストーンズポール・マッカートニーの新譜、ジョン・レノンのベストなんかも平積みになっている。いったい今何年だよ? 再結成クリームのCD、DVDも目立つ位置に置かれていた。

ROのレヴューにも少し書いたが、再結成クリームのDVDで〈クロスロード〉が演奏される場面では、客席にいるブライアン・メイが一瞬映る。映像編集者は有名人だから映しただけだと思うけど、クリームと〈クロスロード〉は、ブライアンとけっこう縁がある。
ブライアンがカレッジ時代、掲示板で「ジンジャー・ベイカー(クリーム)、ミッチ・ミッチェルみたいなドラマー求む」と募集したら、やって来たのがロジャー・テイラーで、そうして始めたトリオ・バンド=スマイルのヴォーカルがフレディに交代してクイーンに発展した。――わりと知られたバンド・ヒストリーである。
一方、フレディ・マーキュリーのボックス・セットのライナーにも記されていた一件がある。フレディが、まだ本名バルサラでアイベックスというバンドをやっていた69年9月。アイベックスのステージのアンコールに、ブライアンとロジャーが参加した。それが、3人一緒に人前で演奏した最初だったという。その時、演奏された1曲が〈クロスロード〉だった。
そして、クリームが十八番にしたことで知られるブルースの古典〈クロスロード〉は、かつてフリーがライヴでよく演奏した曲でもあった。そのフリーで歌っていたポール・ロジャースが今、クイーン残党と組んでいる。これも、なにかの因縁だろう。
(関連雑記http://d.hatena.ne.jp/ending/20051012#p1

――とか書いてると、まるで僕がロック・クラシックばっかり聞いてるみたいである。そんなことはない。新人バンドのルースターだって堪能しているASIN:B000B63EOC。いいバンドである。……そういえば、ここの若いギタリストは尊敬するプレイヤーとして、フリーの故ポール・コゾフを上げていたな……。

  • 17日夜の献立
    • 中途半端におでん(ちくわ、はんぺん、こんにゃく、大根、にんじん、ごぼう、こぶ。味噌、だし、めんつゆ、酒、粗糖)
    • 白菜に粉末だしと酒まぶしてレンジでチン。そこに昆布ポン酢
    • わかめともやしのスープ(洋風だし)
    • 白米1:玄米1のごはん(解凍)−−微妙に投げやりな食卓だった。