スティル・ライフ/池澤夏樹

WEB時間つぶしで目に留まって読んだ本。

なぜ目に留まったか憶えていないが読んだ感想は今後も思い出したいと思える小説でした。

話はどこかでありそうな設定でいて、どこかSFっぽいところがある。まあ物理学とか語られているんでSFぽく感じたかもしれない。

読んでいて高揚感とか盛り上がりとか無縁のどこまでも淡々と進んで行く、そんな話を魅力的なものにしているのは、登場人物に語らせている作者の視点でした。

「なるべくものを考えない。意味を追ってはいけない。山の形には何の意味もない。意味のない単なる形だから、僕はこういう写真を見るんだ。意味ではなく形だけ」

写真の見方にについて語った所だが、とても写真だけに当てはめているとは思えない。まあその深読みが意味を追っていることになり、意図していることにはならないでしょうね。
そんな素敵な語りが短い文章の中に散りばめられています。

スティル・ライフ (中公文庫)

スティル・ライフ (中公文庫)