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投資の消費性について RSSフィード Twitter

2017-07-21

フィンテック風サービス雑感

ここのところフィンテック風というか、取引サービスのようなものがポツポツ出てきて、どれも使ったことはないのですが、勘で徒然に書いてみようかなと。間違っていたら、教えて下さい。


VALU | だれでも、株式会社のように、あなたの価値をトレード。

https://valu.is/

株式会社のように、などと言われた瞬間にゲーと思ってしまうのは、どうしたってロクでもない場面ばかり思い浮かぶからですが、実際のところ何を売買するサービスなのかよくわからず、スパイスとしてのビットコインをまぶしつつ、むしろ「俺たちは雰囲気で」を地で行ってる感じにシビれます。無をトレードしますみたいなパロディ*1の方が、むしろ構造を浮き彫りにする素敵さを備えている気もしますが、試行錯誤の過程なのか、最近は「優待」と称して、何らかのサービスを提示する発行者も出てきているようです。とはいえ、やりとりを最初から仕組みベースで提供されていないと、どうしても金融的には、悪貨に駆逐されてしまう未来もチラつきます。蛇足ながら、構造的に詐欺的なアクションが比較的容易なサービスにもかかわらず、リリースやらニュースの中で金融庁にまで言及されることには正直ビビるのは、歴史を振り返るまでもなく役所の名前を騙る連中は常に詐欺の一大勢力で、消費者庁を含む当局だって、常にそのことは気にしています。


CASH|目の前のアイテムが 一瞬でキャッシュに変わる

https://cash.jp/

現在は稼働していないようですが、写真を撮るだけ簡単査定のオンライン質屋のようなサービスに見えます。ところが、よく見ると薄い字で、カネを返す場合には15%/2月を取りますみたいな(手数料と称した)豪快な金利が書いてあってシビれます。これだけの数字なら、一見担保に見えるモノと写真については、やってる感のためのダミーあるいは連絡パイプ確保のための手段と言ってもおかしくはなさそうで、実際のところ何の写真を送っても、カテゴリに応じて決まった金額を返してくるらしいことを確認する遊びまで流行っていたようです。グレーゾーンというか、屁理屈的に法体系脆弱性を突くことは、もちろん未来に向けて整備を喚起するアクションとしては強力なのでしょうが、もうちょっと日陰っぽくやらないと、最近は消費者庁の活躍も目覚ましいわけで、なんというか正直ビビります。


日本円に対して為替が安定した仮想通貨を志向した デジタルトークン社会実験において「Zen」の発行を開始 | BCCC - ブロックチェーン推進協会

http://bccc.global/ja/articles/20170705.html

箱の区分所有権を売却すると同時に、資産として円の短期金融資産を買い持つ仕組みのようですが、だとすれば要するにMRFの再発明にはなりませんか。金融規制の歴史が示すように、こういった仕組みから脆弱性を取り除いて洗練させるのは大変で、いっそのことMRFクローンからスタートした方がスピードがあるようにも思われました。現在はゼロに近い金利も、日本を除く先進諸国では既に見直しが始まっているところですが、そうなれば資産側も当然のことながら、金利分だけ増えていくわけです。当初100Zen=100円だったものが、いつからか100Zen=101円のように、だんだんと見にくい単位になってしまうところは残念ですが、保有するZenの方を増やす連続的な分割もまた面倒です。思い切ってポイントカード的に、最初から購入額相当を保証した方が、決済通貨としての使い勝手はずっとスッキリしそうですが、そうなればクオカードやスイカと見分けがつかなくなってしまい先端感も減るジレンマでしょうか。


Timebank(タイムバンク

http://timebank.jp/

例えばコンビニのアルバイトも時給なわけですが、さほど珍しくない「時間を売る」アクションの柔軟性を高める内容のように見えます。買う側から見たときに、では有名人の10秒を保有することの嬉しさは、例えばバフェットとのランチを想起すればよいのかもしれませんが、何を話したらよいのか正直戸惑うところです。どちらかといえば、この仕組みが例えばフリーランスのマッチングを広げるのなら、そちらの方が素敵なことなのかもしれません。とはいえ時給の制約のようなものが、ここでも結局のところ効いてくるように思えるのは、そもそも時間の価値は使い方次第であって、その内容をあらかじめ約束しようと思えば、VALUの「優待」やら他の既存サービスにも近づくのかもしれません。あるいは、より内容ネイティブな形の仕組みなりサービスの姿が、何らか存在する*2はずです。マーケィング的には力強い「時間銀行」という言葉の幻影は利用しつつも、人間の営みにかかる取引の姿を探り、それらを直接的に扱えるように、我々も頭を体操したいものです。


こうして見ると、より値段に着目した*3取引サービスの出現に最近の特徴を感じられますが、これらに先駆けて登場した、二択の賭けを取引する我が http://chopsticks.trade/ の直球加減に、手前味噌ながら一層のコクを感じるところでもあります。諸事情ありまして、ここのところ元気に営業できていませんが、今年の後半から来年にかけて頑張っていきたい所存です。また、その発展に力を貸していただけるという方、一杯ビール*4おごりますよ。

*1https://nilu-is.appspot.com/user/t9pHHvxFwvOQnzuJGNsFDmFfExl1

*2:東インド会社かもしれません

*3:あるいは巧妙に回避した

*4http://beerbalance.net/

2017-07-15

ロボアドバイザー確認リスト

米SECのつくった、ロボアドバイザー確認リストが素晴らしいので、箇条書き部分の冒頭のみ、抜粋して紹介しよう。そこらのフィンテック提灯記事とは、ひと味もふた味も違うぜ。


SEC.gov | Investor Bulletin: Robo-Advisers

https://www.sec.gov/oiea/investor-alerts-bulletins/ib_robo-advisers.html


  • How much human interaction is important to you?
  • What is your level of financial literacy, especially when it comes to investing?
  • As with a traditional adviser, you may be interested in how often you will have contact with the robo-adviser.

  • Would you use the robo-adviser for a specific financial goal (for example, retirement, buying a home, or investing for your children’s education), or to meet your overall financial needs more broadly?
  • Does the robo-adviser’s recommendation take into account relevant personal financial information, given your goal?
  • How does the robo-adviser take into account your tolerance for risk?

  • Does the robo-adviser offer a limited range of investment products, such as only ETFs?
  • Does the robo-adviser only offer certain limited portfolios within those investment products?
  • What type of accounts does the robo-adviser manage?
  • How does the robo-adviser handle volatility?
  • How often is your account rebalanced?

  • What fees would you be charged directly by the robo-adviser?
  • How is the robo-adviser compensated?
  • Are there penalties or fees if you want to withdraw your investment, or transfer or close your account?
  • Does the amount you are charged depend on how much money you invest?
  • Can the costs and fees change over time?
  • Does the robo-adviser pay a referral or marketing fee, or other incentives for finding new clients?

報酬にかかる点も多いが、提供側から見ても儲かる商売とは言えず、継続性やメンテナンスについても気になるところだ。要するにさ、こんなものに期待するより、勘でいこうぜ勘で。

2017-07-08

パッシブ投資のパラドックス

皆と同じようなことをやるのがパッシブ投資だ。

世界を見渡せば、多くの皆はアクティブ投資をしている。

つまりパッシブ投資は、アクティブ投資を含む。

2017-06-21

金融に未来はあるか - Other People's Money

まず日本語版への序文から引用しよう。

スチュワードシップ、つまり企業が適切なコーポレート・ガバナンス(企業統治)、有効な後継者育成計画、そして事業を展開している市場や経済圏にぴったりの戦略を整えられるよう見守ることは、もはや、投資に伴う付随的な役割ではなくなった。投資を行うということは、一義的にスチュワードシップなのだ。英国は過去20年にわたり、諸外国に先駆けてスチュワードシップを開拓し、体系化を進めてきた。これには切迫した、独自の事情もあった。英国は主要国の中で、株式保有のパターンが最も多様なのだ。続いて日本を含め、諸外国も英国に倣った。私の仕事である「ケイ・レビュー」が、日本におけるスチュワードシップ・コードの導入に影響を与えた要因の一つであると知って、光栄に思っている。どの国であれ重要なのは、単にチェックシート方式で形式的なガバナンス手順を確認することが、スチュワードシップであると考えてはいけないということだ。そうではなくて、投資決定と企業戦略の策定に、スチュワードシップを完全に組み込んでしまうことが大切なのだ。日本のスチュワードシップがどのように進展したか、教えていただく日を心待ちにしている。われわれは皆、国際的な経験から大いに学ぶものだから。


序章 なぜ、金融機関は儲かっているように見えるのか

第I部 金融化――異世界のはじまり

 第1章 金融化に至る短い歴史

 第2章 リスクと「金融のイノベーション」なるもの

 第3章 頼りない金融仲介機能

 第4章 投資銀行のおぼつかない利益

第II部 遷ろいゆく金融の機能

 第5章 世界の余剰資金は、どのように配分されているか

 第6章 預金は、どうすれば守れるのか

 第7章 資産運用会社が中心となるべきだ

第III部 金融システムをどう直すか

 第8章 改革にどうしても必要なもの

終章 金融の未来はどこに


そして、訳者あとがきから引用だ。

世界金融危機の総括本もほぼ出尽くした中にあって、ジョン・ケイ教授*1が放った本書(原題 Other People's Money)は、際立った独自性とスケールで欧米メディアや識者の絶賛を浴びた。何より新鮮だったのは、金融業界に精通した大家が、業界内の思考回路から離れ、まっさらな目で本質に切り込んだことだ。ケイ教授はホームページなどで「イデオロギーに依らず、物事を多元的に見る」「経済学を実社会に応用する」という信条を披露しており、象牙の塔にこもらない教授の視野と洞察力が、本書にはいかんなく発揮されている。


なぜ引用ばかりかと言えば、もちろん、まだ僕も全部読めていないからです。

2017-06-17

議決権を流動的に

議決権取引を、極端に容易にしてみよう。面倒なので、そもそも株式と一緒に配ることをやめてしまおう。株式を買って議決権を売った状態は、最初から実現されていて便利だ。議決権が欲しい株主は、カネを出して追加的に買えばよい。


議決権は、会社が広く一般に向けて販売している。株主総会が終わると、来期の議決権の販売を始める。売ったカネは、結局のところ株主の手元に入るので、特に矛盾していない。会社にモノを言いたいひとが、カネを出して議決権を買う。理由はさまざまだろう。


さて議決権の価格は、どのように決まるだろうか。おそらく、その議決に対して期待するリターンを、リスクで割り引いた水準だ。買い手が株主でない場合には、利益は株主から買い手に流出することになるのだろう。もちろん対価として、既に議決権代は支払われている。


この仕組みに、ものすごくおかしいところは指摘しにくい。しかし取引の公正と透明を担保するのは、現時点では難しそうだ。ただ、株主による統治が現状から大きな変化を遂げなければ、いずれ似たような状況は避けられない。


いずれにせよ資本主義は、時間をかけて進化するのだろう。