D.Gray-man / Little Barrie / Dead Man

星野桂の「D.Gray-man」を読みました。AKUMAといわれる人間兵器を、主人公のアレン少年をはじめとするエクソシストたちが、イノセンスと呼ばれる特殊な物質を元にした武器で倒していく。果たしてアレンたちは、AKUMAによって人類に終末をもたらそうとしている千年伯爵を倒すことが出来るのか…という話です。自分の父親をAKUMAにしてしまった過去を持つ主人公アレンが、傷を抱えながらも成長していく、それも大事な気持ち(ただの破壊者ではなく、絶えず人間的であろうとすること)を守ったままで、というところが、この漫画のとても優れたところなのでした。危ういバランスを保ち続ける。あくまで、一つ場所に、罪や傷と健全さを同居させながら。さすが少年誌の主人公なのです。

D.Gray-man (1)    ジャンプコミックス

D.Gray-man (1) ジャンプコミックス

健全すぎる主人公と、まったく健全ではない人々の配置の中で、敢えてバランスを崩すことで少年漫画の概念を残酷に破壊し尽くす「HUNTER×HUNTER」と比べて、どちらの方が「少年誌の可能性」をになっているのかは、読み手の「少年漫画」への期待の仕方によって異なるのでしょう。一つの共有された正しい成長の仕方を重視し、それにあわせて敵も強くしていくのか、敵も味方もない登場人物たちの、まったくバラバラな形での様々な成長を等価に示していくか。成長することで、現実を一つ一つ乗り越えていくか、成長によって現実に対処しながらも、現実はあまりにも残酷な事態へと繋がっていってしまうのか…。

Hunter X Hunter 1

Hunter X Hunter 1

BGM : リトル・バーリーLittle Barrie)「we are little barrie

どちらかというと、「HUNTER×HUNTER」よりも「D.Gray-man」に近い感触の、良質な音楽です。ブルースでロックです。しかし、個人的にはやはり、ギターはもっと不穏さを秘めている方が好きです。ニール・ヤングの「Dead Man」のサントラに切り替えました。この作品の中のブラッド・ピットも、一種の成長をしますよね。「デッドマン」では、成長は単一のものしか在りませんが、胸に開いた穴が、成長を同時に死にも近づけていくのです。そうした「どうにもならない現実」が、ノイズとなって、音楽に現れるのでした。ああ、そうそう、ジョン・カサヴェテスの「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」)も好きですね。

WE ARE LITTLE BARRIE

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デッドマン(サントラ)

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ジム・ジャームッシュ作品集 DVD-BOX 1989-1999

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チャイニーズ・ブッキーを殺した男 [DVD]

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