ウサギの子宮疾患


今日はウサギの子宮内膜増殖症の症例紹介です。
雌のウサギさんは4歳を越えると高確率で子宮疾患に羅患し、そのため、雄より平均寿命が短く、平均で5-6歳、長寿で7-8歳と言われています。
しかし、2歳未満で予防的避妊手術を受けると、その心配はなくなります。

テティスちゃんは5歳のネザーランドドワーフの女の子で、2ヶ月前に他院で膀胱結石の摘出手術を受けたばかりでした。
夜、飼主さんが帰宅されて見たら小屋の中でじっとして動こうとしないとの主訴で、夜間救急で来院されました。
身体検査にて腹腔内に腫瘤が触知されたため、精査のため超音波検査とレントゲン検査を実施しました。



下腹部にレントゲン不透過性腫瘤と超音波にてその腫瘤内に液体貯留および増殖性病変が認められました。
子宮の異常が第一に疑われたため、翌日、試験開腹手術を実施することになりました。
鎮痛・鎮静剤による前処置後、注射麻酔にて導入し、ブラインド法にて2.5Frのカフなし気管チューブを挿管、ガス麻酔にて維持し、卵巣・腫大子宮全摘出手術を行いました。


子宮角は左右ともに腫大、内腔には透明な子宮分泌液が貯留し、子宮壁は嚢胞状に増殖していました。
病理組織学的検査の結果、子宮内膜増殖症で癌化はしていませんでした。

覚醒は拮抗薬のある鎮静剤を使用したため、速やかで翌日退院となり、自宅にて引き続き2週間抗生物質の投薬をしてもらいました。
術翌日には、排便・排尿も認められ、数日で食欲も戻り経過も順調でした。

ウサギさんの開腹手術時は、吸収糸で埋没縫合にて皮膚を閉鎖します。
そのため傷口をなめても問題とならずエリザベスカラーも必要なく、通常通りの生活が送れ、抜糸も必要ありません。

テティスちゃんは5歳にして2回も数ヶ月の間に手術を受けることになってしまいましたが、飼主さんの一大決心によりどちらの病気も治り、今も楽しい生活を送ることができています。


ファミリー動物病院付属
エキゾチックペット診療室
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