JAL内紛劇

eyama2006-03-01

日本航空JAL)が内紛騒動で揺れている。結局は新町社長は退陣要求を拒否しきれず、代表権のない会長に退き、同じく退任を求められた副社長と専務も退任。一方、40代の若手幹部らの署名を受けて退陣要求をした子会社の取締役4人のうち3人も退任ということになりそうだ。まさに高杉良の小説の世界だ(正確に言えば高杉良がこうした社内の内紛劇をリアルに小説化したのだが)。しかしやはり喧嘩両成敗というか、こうした行動を起こした側も起こされた側も何らかの血を流さないでは収束しないものなのだなと改めて感じる。紛争を収めた後の会社をどうまとめていくかを考えれば、双方が痛み分けでないと一方に禍根が残り、抗争の根を残してしまうからだ。それはそれで組織をまとめていく上での古くからの知恵なのだろうが、社会というものの複雑さというのはハリウッドのヒーロー映画のように一方的なハッピーエンドでは終わらせない。
今回の内紛は、外部から見ると、いわゆるお家騒動にしか見えないわけで、一般利用者の立場からすれば冷ややかに受け止められていると思う。しかし当事者からすれば生き死にに匹敵する大事件で、JALの社員たちはそれぞれに深い思いを持って事態の推移を注視してきたことだろう。マスコミなどが新社長の西松氏は中立で今回の騒動のどちらにも属さなかったことから白羽の矢がたった、とか、財務出身の西松氏は原油高騰などで悪化した財務の立て直しに取り組むとか、いろいろ書いてる。しかし内部の事情を知る社員たちから言わせれば「そんな簡単な話じゃないんだよ」と言いたいところだろう。自分の経験から考えても人事というのはそうそう簡単ではないし、ましてやこうした非常時のしかもトップ人事ともなると実に様々な要因がからみあった結果の今回の収束案と見るべきだ。だが、実際にはそこまで正確な取材をメディアがこのタイミングでできるとは思えない。月刊誌などがしばらくたってから証言なりインサイドリポートで明らかにでもしないかぎり、真相は一部の関係者の胸の内にとどまることになるだろう。
同じサラリーマンとして、深い感慨を持って今回の人事抗争を注視している。

きょうもぐずついた天気、雨。