ロビン・クック元英外相死去

fenestrae2005-08-07


今朝チェックしたニュースで一番に目に飛び込んできたのがこれ。
フランスではル・モンド-AFPの
L'ancien chef de la diplomatie britannique, Robin Cook, est mort LEMONDE.FR | 07.08.05 | 08h09
日曜のためか各紙のサイトの反応は鈍い。

2003年3月17日、イラク戦争開戦に反対して下院院内総務を辞任したときの演説のビデオがBBCサイトで全編、文字おこしされたものとともにまだ見られる。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/2859431.stm
もう一度聞き返してみても名演説。11分ちょっと。

冒頭で

This is the first time for 20 years that I have addressed the House from the back benches. I must confess that I had forgotten how much better the view is from here.

というユーモアで場をやわらげた後、早々に

I have chosen to address the House first on why I cannot support a war without international agreement or domestic support.

と論点を切り出す。そして、自らの政治陣営への配慮を綱渡り的にこなしながら、そのwhyの内容を次々と積み上げた後、

I intend to join those tomorrow night who will vote against military action now.

と、戦争を支持しない立場とそれから具体的にもたらされるアクションの内容を第一の結論として確認。さらにそこから導かれるさらに重大な第二の決定を端的に述べて結ぶ

It is for that reason, and for that reason alone, and with a heavy heart, that I resign from the government.

フランス人の演説を聞きなれている耳には、熱がありながらも淡々と結論に向かうその様子が、テキストの上でも音声の上でもクールだ。

演説の内容は今になっていっそうその適切さがわかる。当時は大量破壊兵器に関するプロパガンダが幅をきかせていた。

世界が自らの理想とする方向からどんどんと離れていくのを、政治的意思決定の中枢からも離れた場所から見ているその気持ちはどんなものだったろうか。プライベートでも波瀾のあった人だが、早すぎた晩年は現在の奥さんと幸福だったことを祈る。

核兵器反対のサムライ by アルジャジラ

フランスのあるブログから見つけた、アルジャジラのミニアニメ (↓ start on photo click)。

原爆を投下されたあと、核兵器反対を、刀をふりかざしながら叫ぶ日本人の姿を戯画化している。アニメの批判のポイントは日本人にではなく、この後出てくる、核保有国の偽善に向けられているが、やはり日本もその偽善者の一員として描かれていることになる。

フランスのマスコミの論調では、原爆投下60周年にあたっての日本に対する批判的視点は、過去の戦争責任の清算という点にあり、自衛隊イラク派遣に対するものは、私の気づくかぎり見当たらない。フランスはイラク戦争には反対したが、これに関する日本に態度には最小限の理解が一般的にあるといっていい。

日本がイラクに軍隊を出している現状でアラブ諸国での中長期的な日本観にどんな影響があるかということについては、いろいろな見方がある。たいしたことはないという意見もあって、私もそう願いたい。アルジャジラのこの漫画は単純といえば単純だが、逆にこんな単純なものがなんらかの大きな趨勢の象徴になっているのかもと考えると気になる。