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2016-08-23

2016年08月23日の呟板

2016-08-22 台風9号

fookpaktsuen2016-08-22

農暦七月二十日。未明に目覚めると台風は三宅島沖で首都圏直撃といふ。テレビは延々とリオ五輪の感動のまとめ番組ばかり。日本選手の活躍もあるがコーチ監督にかなりスポットあたり「感謝の心」。これがどれだけ国民の道徳教育となつてゐるか。自然とその感動と教訓が受け入れるのも、テレビはどのチャンネルもそれだから。いくら民放の数があつても、まるで管制の、政財界が求める番組が垂れ流されるのだから世界の自由度ランキングで低下も当然。雨と大風のなか新宿駅。東京以西の被害がすでに出てをり小田急のロマンスカーはすでに運休もあり。常磐線も正常運行といふので東京駅へ。一緒に来るはずだつた家人今日はあきらめ東京に残る。特割で買つたJR特急指定席券は運休しなければ払ひ戻しできぬが復路の切符もあつたことで今後の運休前提で本日中に戻れぬといふ判断で往路も払ひ戻り対象に。中央線東京駅。静岡の雨がひどいが新幹線は全線運行されてをり朝からすごい人混み。小一時間ありカフェは朝食客もゐて満席グランスタのはせがわ酒店で朝酒。ホームに出ると強い雨風。品川から朝一番早く出るひたち7号。「台風の影響でこのあと後続の特急運転見合せとなります」とアナウンス。ぎりぎり。滿洲から間一髪引き揚げの如し。東京を離れると千葉では雨脚も弱くなるが台風は追つてくるはず。水戸。母の出迎へ受け路線バス市街でも西の外れ上水戸にあるうなぎの品川屋へ。鰻重。昼酒。路線バスで水戸駅に戻りビックカメラで買ひ物してゐると先に陋宅に戻つた母から傘もさせぬ暴雨と電話あり。旅行の際はいつもポンチョ持参が幸ひ。傘などさしたら危ない……が相変はらず強風の中でも傘をさす人多い。自宅に戻ると雨風強まりNHKのテレビは台風情報だけとなり1時間に80mmの雨、秒速30mほどの風だといふ。リオ五輪閉会式映像……電通の創る日本。晋三まで登場で恥ずかしいかぎり。スーパーマリオに扮して渋谷から地球を貫きリオに土管を通して登場の晋三だが、今イチ笑顔見えないのは「なぜ自分がこんなことを」といふ恥ずかしさか、またこんなことしてると「晋三はまったく……」と叩かれることの危惧か。ロンドン五輪でのエリザベス女王サプライズ登場の真似で、だが電通演出もB級なら英国女王と晋三では役者が違ひすぎ。4年後は東京で、と誓ふが何も準備できてをらぬ。デーブ=スペクター曰く「最大の問題は日本の題材に多さ」。和太鼓、アニメ、ゴジラチャンバラ歌舞伎、ロボット、忍者……「日本っていいでしょ」と押し付けるやうな、金を使つた大袈裟で長く重い開会式は白ける、贅澤な悩みだが何を入れるかより何を落とすか決断力と抑制力が求められる、と。木更津だかで上陸の台風は栃木から福島に抜ける。この半年で実家に届いてゐた通販での買ひ物を整理。母がビデオに撮つてあつた、と一緒に忌野清志郎の武道館での復活ライブを見る。晩も二更には台風の雨風も和らぐ。窓を開けると気温は摂氏25度ほどで台風の風も心地良し。虫語を聞く。

f:id:fookpaktsuen:20160823071206j:image:h170 f:id:fookpaktsuen:20160823071207j:image:h170 f:id:fookpaktsuen:20160823071208j:image:h170 f:id:fookpaktsuen:20160823071209j:image:h170

▼水戸で乗つた路線バス、母はICカード利用で、これがSuicaとかと連動せぬ単独カードバス車内でも増置できるさうで残高少ない母のカード運転手信号待ちで「入金できますか?」と尋ねたら「チャージチャージならできますよ」と言い返された。なぜ入金できますか?に「はい」ぢゃないのかしら。

▼東日本大震災から五年、霞が関で脱原発運動拠点だつたテントが裁判所による司法判断で強制撤去。政財界的には「忌々しい」連中も言論の自由では強制的除去できぬのは香港では法輪功運動等それだがあまり話題にもならぬなか(マスコミも敢へてあまり触れぬなか)排除できるのだから日本の言論の自由のランキング下がるのも当然か。

▼文楽の人形遣ひ・吉田文雀さん逝去享年八十八。老いてからの高評価と聞く。昭和の終はり頃、原宿ラフォーレの原宿文楽が私の初見

▼横手の週刊新聞「たいまつ」発行してきたジャーナリストむのたけじ逝去享年百一。戦時中、朝日新聞記者として従軍、「臣民」の名で戦争責任の曖昧さ、終戦直前、薬入手困難ななか幼い娘が疫痢で死去したが病状悪化しても、その日、出征する医師の壮行会で地域の医師全員が留守で娘亡くしたことが反戦活動原動力といふ。

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顔本:引用するには内容の深い記事等はこちらの顔本に無断転用で掲載しております。

富柏村の呟板

富柏村サイト(2004年以前の日記、過去の雑誌出稿記事)

富柏村写真 at Flickr

2016-08-21 二十数年ぶりの横浜

fookpaktsuen2016-08-21

農暦七月十九日。朝餉かはりに新橋田村町新正堂切腹最中雨模様のなか家人と新宿駅から湘南新宿ラインで横浜。かなり早い列車に驚くばかり、半時間で横浜。二十数年ぶり。横浜駅の崎陽軒売店で焼賣買ひ立ち食ひ。東横線が地下化されてゐて「みなとみらい線」なる地下鉄と直結で日本大通り駅。橋を渡り赤レンガ倉庫。ミッフィ展。私にとつては石井桃子訳の「ちいさなうさこちゃん」。グッズかなり食肆動く。赤レンガ倉庫内のフードコートで崎陽軒の出店で上手くもない冷やし中華1,300円也。炎天下歩いて日清食品の安藤百福追善のカップヌードルミュージアム。よく出来てゐる。まさに日清のチャルメラとカップヌードルで育つた世代の私。参観に来る老若男女、海外から旅行者もいかに日清のラーメンと同時代に生きてゐるか、が楽しそうな表情でわかる。トイレがおそろしくきれい。埋立地からかつては赤レンガ倉庫と根岸線結んでゐた鉄道跡の鉄道道を渡り桜木町。「ここに来てオリジナルのカップヌードル作らないで帰る人なんてゐるのかしら」と家族連れの母。すみません、それは私です。家人と別れ大岡川沿ひに弁天橋、野毛を漫ろ歩き昔を偲び掃部山。横浜能楽堂。伝説の能面といふ企画舞台の第3回で和泉流の狂言「蝉」シテ(蝉の精)野村万蔵、ワキ(旅僧)野村萬と宝生流の能「熊野」はシテ(熊野)宝生和英ら。久が原T君に切符手配いたゞいたが会場でT君に、この能楽堂の舞台が原節子が(映画晩春」で)見てゐた駒込の染井能楽堂で、それも元々は前田家の自邸にあつた能舞台なので舞台は松だけでなく梅の枝が、と聞く。T君と路線バスで横浜駅。東海道線の電車で新橋。ハマでは弁天橋抜けたのでこちらでは土橋抜け昔語りしながら銀座。平成になり東京で「俺のナントカ」と看板掲げる飲食店多いがお多幸始めおでんで名店多い銀座で「俺のだし」といふおでん屋あり。俺の出汁はちょっと……。夏野で携帯用の箸と橋ケース贖ふ。エコロジーでmyお箸持ち歩く人は少なくないがアタシの場合は粗悪な割り箸の多さもあるが、それ以上に困るのがエコロジーで割り箸使はない食肆が出すツルツルのプラスチック箸が使ひにくいから。T君の名刺誂へご用で伊東屋別館。銀座線で見附乗り換へで新宿。西口エルタワーの鮨いしかわに往くと年中無休のはずがエルタワーが八月の全館保守点検かで閉鎖でお休み。新宿の地下道実検しつゝ角筈を東に抜けほてい屋(伊勢丹)。とらやで夏の羊羹贖ふ。丸物ビルメンズ館)も流してから楼上の寿司廬山。かなりの食欲で寿司をつまむ。道路渡り路地で昔は青線だつたねぇ……の通称赤門」で飲む。さぁこれから、の時間だが台風接近だとかで仲ノ町も人出まばらで今晩はアウディではなく歩いてT君と角筈から御大典広場を抜け新宿南口に出て別れホテルに戻る。

f:id:fookpaktsuen:20160822224811j:image:h230 f:id:fookpaktsuen:20160822224558j:image:h230 f:id:fookpaktsuen:20160822224600j:image:h230 f:id:fookpaktsuen:20160822224601j:image:h230

2016-08-20 東都二日目

fookpaktsuen2016-08-20

農暦七月十八日。雨。関東一円にかなり降るなかうまい具合で雨を避けつ麻布から大門経由で京成線乗り入れで佐倉。家人両親の隠居処に伺ふ。リオ五輪の陸上男子400mリレーで日本が銀の生中継。京都に住む甥に銃数年ぶりに再会。昼に佐倉城下のおかやま食堂。とんかつ。肉厚のロースでまぁ柔らかくて美味。ご両親と甥にお別れして家人と佐倉の町中歩き京成佐倉。特急で西日暮里。家人と別れ山手線で池袋。西武池袋線の中村橋。乗り換へアプリで成る程と思つたが、池袋で西武池袋線ではなく有楽町線で練馬迄行き西武線に乗り換へと指示あり。そんな面倒な、と思ひ直で西武線に乗らうと思つたらJRから西武線への距離が長く有楽町線の方が乗り換へが楽……成る程。f:id:fookpaktsuen:20160822214249j:image:w240:left中村橋で練馬区立美術館。上智のK君と待ち合はせ。しりあがり寿の現代美術「回転展」見る。1980年代中庸の『エレキの春』やナゴムレコオドで有頂天カセットマガジンの挿入漫画から朝日新聞の『地球防衛家の人々』から311シリーズの原画などじっくりと見せてから「何故か」今回のテーマである〈回転〉となる。すべて回転。なぜか回転。いゝ悪い、好き嫌ひではなく〈回転〉……草間彌生の水玉へのカウンターカルチャーか。新宿に行くのに池袋に出て……と思つたら西武池袋線で「元町・中華街行」は練馬の先から西武有楽町線といふ地下鉄道に入り小竹向原から営団の副都心線で新宿三丁目。matchbacoといふ画廊(こちら)で井原信次(こちら)個展。週刊読書人で「誰も見てゐないから」といふ連載がこゝ数ヶ月続いてゐる。精緻な画風で今回は博多山笠男衆テーマに。山笠といへば締込みに水法被だが久が原T君に、この水法被は「締め込み一本だと余りに野卑」と取り締まりかけた当局に掛け合つた頭山満の発案と聞きくが「この法被着たほうがよっぽど……」と。御意。つな八で早めの夕餉。バーVからバーQで終はりにしようと思つたのは不安定な天気で田無迄帰るK君の電車を気にしたからだがK君は赤坂にある祖父母H先生のマンションが、f:id:fookpaktsuen:20160822214250j:image:w300:rightご夫妻は信濃追分で避暑中とのことで、今晩はそこに泊まるといふ。それぢゃもう一杯といふことでバーRで赤葡萄酒一本空け深更に至る。K君から中江丑吉日記読んでゐると聞き、丑吉と鈴木言一との交換書簡集、橘樸著作集を譲る約束。今晩から二泊、泊りは新宿の小田急のサザンタワーで旅荷は朝のうち宅急便の関東当日便で送つておいたが、新宿でも靖国通りから南新宿迄歩くには酔ひもあり円タク拾つたら助手席から出てきた人が扉空けてくれ何事!と驚いたら左ハンドルAudiA6を用ゐた個人タクシー。本革のシートに沈む。

2016-08-19 夏の東都

fookpaktsuen2016-08-19

農暦七月十七日。朝、最近は朝イチの出発ばかりだが家人と空港。ラウンジで朝食。CX548便で一路、羽田。B777-300のプレミアムYだが斜め窮屈Cよりは座り心地良し。午後の東京は快晴。気温も摂氏30度くらゐで暑くない。モノレールで浜松町。タクシーで麻布鳥居坂の国際文化会館。下榻。早晩に家人と麻布十番。香雅堂で白檀のお香贖ひ居酒屋山忠。二度満席で入れず今晩は予約。東麻布の魚屋が始めた居酒屋で良い魚を手頃な価格で供す。奥麻布のバーHの口開け。マティーニのあと「これを飲んでみてください」といたゞいたのがマティーニ&ロッシの白のベルモットで、ご亭主曰く当時でもビンテージ物を10数年前に仕入れ他の保存用のブランデー等に紛れたまゝで最近この存在に気づいたら茶濁に変色してをり「こりゃダメだ」と思つて抜栓したら、これがまぁ風味円やかなお酒になつてゐたといふ。暗闇の麻布の路地で虫語を聞く。

f:id:fookpaktsuen:20160822093212j:image:h180 f:id:fookpaktsuen:20160822093211j:image:h180

永六輔逝去矢崎泰久氏の追悼がない、と思つてゐたら週間読書8月5日号にあつた。f:id:fookpaktsuen:20160819125558j:image:w150:right

遊び心を忘れずに楽しくやるのが私たちモットーでもあった。しかし目標とするものは反権力反体制、反権威だった。(略)永六輔昭和ヒトケタの星でもあった。やがて誰もいなくなる。二度と戦争を許してはならないと誓いあった仲間たちがポツリポツリと去って行く。今の日本の現実を見れば永さんの死がどれほど重いものであるかをわかっていただけると思う。

この号に『薔薇刑』の第4次新刊にあたり細江英公、浅葉克己、松本徹の鼎談掲載あり。三島の写真といへば細江英公のこの写真集だが撮影されたのは三島自決の8年前で市ヶ谷のあの日、細江英公は香港に仕事で来ていたさうな。

この号の論調(8月)大野光明より抜粋

いま、日本社会ではマスメディアに中立性や公平性を求める空気が強くなっている。だが現政権マスメディア圧力をかけ自主規制が行われているという単純な話ではない。問題は日本社会のありようそのものだ。「偏っている」という表現が地域社会、学校、職場などで日々使われているように読者や視聴者である私たち一人一人が中立性や公平性必要性内面化し欲している。

中立性がそもそもご誤解されてゐる、として挙げるのが国連の派遣で4月に来日したデイビッドケイ発言。中立性は賛否両論をバランスよく扱う姿勢ではなくジャーナリストが国家や資本から独立・自立しなければならないという理念」だとして、これがジャーナリズムの戦争加担の反省に基づくもの、その歴史じたい忘れ去られやうとしてゐる。このやうな状況のなかにあるのは特定対象に対するバッシングリンチのやうな報道ポルノ化だ、と。

2016-08-18

fookpaktsuen2016-08-18

農暦七月十六日。朝は大雨。昼ころ少し晴れたら蜻蛉がたくさん飛んできて交尾も盛ん。農暦で七月も中日すぎれば、そりゃ秋も近い。

▼昨日が中共老人・前総書記江沢民九十歳大壽。香港のアジアテレビで一度、死亡と報道されてから、もう何年か。

朝日新聞の「笑いにのせて」という連載が、大衆文化の人々の反骨精神で、昨日の五木寛之もさうだが面白い今日ピーコ

NHK追悼番組に出て「永さんは戦争が嫌だって思っている。戦争はしちゃいけないと。世の中がそっちのほうに向かっているので、それを言いたいんでしょうね」と言ったら、そこがばっさり抜かれていた。放送を見て力が抜けちゃって……。永さんが言いたいことを伝えられないふがいなさがありますね。付き合い始めのころ、こう言われたの。「ピーコおすぎ炭鉱カナリアになりなさい」って。

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▼8月8日の玉音放送について、おそらく最も優れた「批評」ではないか……三谷太一郎東京大学名誉教授分析朝日新聞、全文はこちら)。宮内庁参与(20062015年)として天皇家相談役を務めたさうで、さすがに戦後象徴天皇制とは何か、今上様が何を考へてゐるか、についての洞察は見事。

深く印象づけられたのは「行動者」としての象徴天皇というか、象徴天皇能動性が強く出ていたことです。天皇国旗のような単に静的な国の象徴ではなく、動的な「国民統合象徴」でもある、ということに力点が置かれている。ただ存在するだけの消極的存在ではなく、国民統合象徴であることを、日々の行動によって実証しなければならない、という緊張感、責任感が感じられました。

もちろん憲法上の制約があることは踏まえた上で、天皇自由意思責任主体である、という自覚が「お言葉」には強く出ていると思います。天皇自身人間尊厳の表明と言ってよいかもしれません。

これを読んで思い出したのは1946(昭和21)年1月1日昭和天皇天皇神格否定などを織り込んで出した詔書です。「人間宣言」と呼ばれるこの詔書と今回の「お言葉」には共通性がある。字句の上でもそうです」

人間宣言」では、天皇と国民との間の紐帯は「終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ」とされていました。

「お言葉」では「天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした」とある。全く同じ字句「信頼と敬愛」が使われています。今回の意思表明は、戦後の出発点となった昭和天皇の「人間宣言」を承継していると感じました。

憲法上の規定はありますが、象徴天皇はこういう存在でなければならない、という自明イメージがあるわけではない。天皇に就いた人が、自ら形成していかねばならない側面があります。天皇自身が、憲法の枠内で、自由意思を持つ者として、どうしたら国民統合象徴の務めを果たせるのか、考えていかねばならないのです。

象徴天皇は、非行動的な存在と受けとられているかもしれませんが、旧憲法下の天皇よりも強い能動性を持ちうる可能性がある。今の天皇は、その可能性を積極的に開いていこうとされている。それが、『日本国の象徴』というより、『日本国民統合象徴』に力点を置かれている理由ではないか、と先ほどお話ししたことの意味です。積極的象徴天皇像をお持ちだという印象を、私が接した限りでも受けてはいましたが、今回、そのお考えが非常にはっきり表れたと思います。

天皇存在するだけで尊いとする保守意見もある、という問いに対して)それは、旧憲法下の大日本帝国天皇イメージが残っているからではないでしょうか。「神聖不可侵」とされた天皇非行動者としての天皇です。行動すれば神聖不可侵を保つことはできません。非行動者が本来天皇の姿であり、それを踏み越えるのは、行きすぎだと考えているのかもしれません。

……なるほど、こういうわけで今上天皇の考えが晋三や日本会議には受け入れられないか。大正天皇精神疾患といふ扱ひになつたのも、同じやうな近代日本の権力による「國體護持」に大正さんの思想が逸脱してゐたから、の面もあらう。

2016-08-17 盂蘭盆會

fookpaktsuen2016-08-17

農暦七月十五日。盂蘭盆會。鬼が出るのは盂蘭盆本来陰暦の七月十五日なのだが暦で昨日の陰暦七月十四日とされるのをかねがね不思議に思つてゐたが、これは陰暦陽暦の時差のやうなもの陰暦では子の刻(23〜25時)つまり三更が日の始まりだが新暦では24時からが翌日。これで陰暦では本来七月十五日になつた半夜に邪鬼が現れるのを新暦に置き換へると前日の晩23時といふことになり、それじゃ前日だといふことで陰暦でも七月十四日が盂蘭盆會になつてしまつたのださうな。だが正確には七月十四日の晩11時から、が正解。連日の不安定な天気に雨が続くが突然、シグナル1発令され何かと思へば香港の近くで大型の熱帯性低気圧発生し海南島の方へ向かふさうだが、この影響で雨さらにひどくなりシグナル3も発令される。

▼「意図せぬ円高99円台」「遠のく物価2%」と日経。国立黒田銀行がマイナス金利導入半年で、これ。物価は上がるどころか下落傾向、高利貸しの貸し出しも増へず。日経は「日銀は焦りを深めている」と嘯くが、それどころかアベノミクスの失敗。その晋三は今夏3度目の休暇でゴルフ三昧。森首相がえひめ丸沈没でもゴルフしてゐたと叱られたが首相の責任問題としてはそれ以上でしょ。

▼六輔、巨泉、野坂……とこの世を去る中で同じ世代の五木寛之曰く(こちら

当時、大学を出てテレビやラジオに行くのはアウトサイダー感覚です。歌謡曲ジャズ低俗大衆文化とされて、知識人言及することはなかった時代です。永さんや大橋さんは、そういう低いジャンルとみられていたものを表に引っ張り出してきた。(略)今やサブカルチャーが社会から承認されメインカルチャーになってしまいましたが、本来メインカルチャーに対する異議申し立てだった。その担い手たちの根本には、敗戦体験と左翼運動挫折があった。彼らの仕事は、そういう広い日本の戦後思想史の中で語られるべきです。そういう彼らが晩年になって、それぞれ反戦の思いを語った。「どうせこの世は冗談」をスピリットにしていた人たちが、冗談を言っている余裕がなくなった時代になって、最後本音がぽろっと出た。僕はそんな気がしています。

2016-08-16

fookpaktsuen2016-08-16

農暦七月十四日。毎日不安定な天気続く。驟雨と呼べず。大雨が幾度も降つては歇み降つては歇み。

ワシントンポスト紙(15日)が報じた……といふことで晋三が米国に対して「オバマの核兵器先制不使用に反対の意向伝達」と今日の夕刊で東京新聞は晋三のこれに「広島・長崎から憤りの声」といふ報道一面トップ、朝日毎日は控へ目に。大嫌ひな晋三の肩を持つわけじゃないが、この記事こちら)のその部分

Japan, in particular, believes that if Obama declares a “no first use” policy, deterrence against countries such as North Korea will suffer and the risks of conflict will rise. Japanese Prime Minister Shinzo Abe personally conveyed that message recently to Adm. Harry Harris Jr., the head of U.S. Pacific Command, according to two government officials.

を読んだ限りでは、米国が先制否定なんて主張することは「北朝鮮のような国に対する抑止力低下につながるのではないか」といふ、晋三の米軍司令官に語つた個人的感想にすぎない。しかも、同紙の外交国防担当するコラムニストによるオピニオン欄の主張の中に触れられた程度。晋三が首相として堂々と求めた政策に非ず。

2016-08-15 終戦記念日。

fookpaktsuen2016-08-15

農暦七月十三日。終戦記念日。戦没者追悼式での陛下のお言葉。今年は「深い反省」の前に昨年の「さきの大戦に対する」の語句がなかつたが、これは陛下の国民の象徴としての立場深い反省が「最早さきの大戦だけではなくなつてしまつたから」かも。東京新聞歌人岡野弘彦さんが昭和入江相政侍従長についての回想を綴つてゐる。歌御会始の選者から御用掛になる頃の相政さん通した天皇とのやりとりなど興味深い内容。f:id:fookpaktsuen:20160815222548j:image:w320:left

▼SMAPは年末だが今日でSEALDsが解散こちら)。結成から1年。画期的な国会議事堂前での若者のアッピールだつたが共産党主導だとか隠れ民青だとか。7月の参院選では自民党を追ひこむことはなかつたが少なくても野党共闘は彼ら若者の力。民主党(民進党)から共産党まで野党の代表を国会前の壇上に並べただけでもすごい。このまゝ運動を続けても左翼にありがちな分裂は確実で、最初からゴールを決めて歩き(走らない)、そのゴールに到達すれば結果の良し悪しは別に解散。これでまた次に何かあれば同じメンバーなり新しい若い世代が出てくればよい。佐藤卓己教授は「安保や憲法問題は無関心層に響かなかった」といふが民度低き民草にはどんな運動形態であれ響かない。所詮、晋三レベルのポピュリズムが合ふ。

▼公明党の山口代表が「憲法9条の下で厳しさを増す安全保障環境対応するために平和安全法制をつくった。これを自ら否定するような議論をするつもりはない」と9条改憲について(断固否定までしないが)政権への牽制朝日新聞)。単に自民党のサポーターではない、といふ同党の主張がこれか。

▼一昨年の秋の雨傘運動に関はつた学生運動リーダー三人に対する裁判で第一審(地区裁判所)は違法集会の画策や扇動といふ罪状について学生らの行動は自由平等、民主といつた強い信念によるもの判決は公民権を制限、萎縮させるものではない」として判決は「自己利益ではなく純粋政治的訴へといふ動機考慮し、1人に禁固3週間・執行猶予1年、もう2人に対して社会奉仕数十時間を言ひ渡し。さすがに無罪にはできず司法としてはぎりぎりの良識判断か。これ以上「香港独立」といつた本土派の勢力拡大防ぐためにも……もありや、なしや。

2016-08-14

fookpaktsuen2016-08-14

農暦七月十二日。晩にFMInterFMのピーターバラカンのあとNHK-FMビートルズ来日50周年の特別番組、3時間40分に亘る放送聴くビートルズ来日は半世紀といはれるとそんな昔か、と思ふが自分の年齢で考へると「幼いころ」。司会の小林克也は御年75だが滑舌は衰へず。“Sex”といふ言葉を「言ってもいゝのかな?」と迷ひ「エスイーエックス」と呼んだのが昭和的。

▼香港の日本人居住者人口は多いときで2万人、今は1万人でアタシは勝手に香港のハンセン指数=邦人人口なんて嘯いてゐたが昨日のSCMPf:id:fookpaktsuen:20160816134153j:image:w360:leftこちら)によればイミグレの発表で日本人は5,854人で昨年同期より4.3%現象だといふ。人口5千人の村って過疎地。それにしても少ない数字。香港の日本総領事館が出してゐる在留届に基づく数字は26,607人(2014年)で5年前に比べ25%増(ちなみにマカオは539人)。これはイミグレで就労ビザ発給数の国籍別か。これに同伴家族を加へ、また永住権をもつてゐたり配偶者や親が香港籍の場合これに含まれない、と思へば総領事館の数字に近くかも。

▼SCMPといへば今日の日曜版に英国の在港軍艦HMS Tamarの記事あり。1862年に就航のとても美しい軍艦第一線退いた後は駐香港海軍代表の記念艇となり、香港の停泊地がTamrと呼ばれてゐたことは1997年の香港返還式典がここで挙行されたことで名前が知れ渡り今では香港政府創部が此処に。このHMS Tamarが日本の生麦事件発端とした英国の薩摩征伐に赴いてゐたとは今日知つた。

▼キューバのカストロ元大統領卒寿。キューバの共産党機関紙“Granma”に掲載された誕生日メッセージでオバマ米国大統領の広島訪問での発言につき苦言(こちら)。

Los medios técnicos modernos han permitido escrutar el universo. Grandes potencias como China y Rusia no pueden ser sometidas a las amenazas de imponerles el empleo de las armas nucleares. Son pueblos de gran valor e inteligencia. Considero que le faltó altura al discurso del Presidente de Estados Unidos cuando visitó Japón, y le faltaron palabras para excusarse por la matanza de cientos de miles de personas en Hiroshima, a pesar de que conocía los efectos de la bomba. Fue igualmente criminal el ataque a Nagasaki, ciudad que los dueños de la vida escogieron al azar. Es por eso que hay que martillar sobre la necesidad de preservar la paz, y que ninguna potencia se tome el derecho de matar a millones de seres humanos.*1

*1:The Modern Technical means have scrutinized by the universe. Great powers like China and Russia may not be subjected to threats of imposing the use of nuclear weapons. Are people of great courage and intelligence. I believe that he lacked height to the speech of the president of the United States when he visited Japan, and lacked words to apologise for the killing of hundreds of thousands of people in Hiroshima, despite the fact that he knew the effects of the bomb. It was also the criminal attack on Nagasaki, a city that the owners of the life they picked at random. That's why there's that hammering on the need to preserve the peace, and that no power will take the right to kill millions of human beings.

2016-08-13

fookpaktsuen2016-08-13

農暦七月十一日。天気不安定。幾度かの驟雨。リオ五輪に全く興味もないが新聞やテレビであれだけ報道されては目に入る。女子の体操で日本が51年ぶりにメダル、といふ騒ぎに「そんな昔からメダルをとってゐない?」と驚くが、それが東京オリンピックの時と聞くと「なんだ、その程度か」と思つてしまふのが老人。早晩に久々に深水埗の電気街へ。旅行の際、f:id:fookpaktsuen:20160814114600j:image:w300:leftノートブックに須磨帆、iPad等々持参するものが増へ難儀するのが電源供給ホテルテーブルタップを借りられるが日本と台湾用に100Vのもの、240Vは中国のプラグタイプ(O)と日本と同じ(A)の3種類のテーブルタップがあれば事足りる。ただ問題テーブルタップソケットの並びが直列(画像左上)だとAppleACアダプターだと順番に挿せない。そこでソケットが横に並ぶもの写真左下)だと問題ないのだが、それがない場合のためアダプターから延長の電源コードがあると便利。で、その電源コードを入手。これでまた旅行荷物が一つ増えるのだが。帰宅して枝豆とビール。枝豆の美味しい茹で方(白ごはん.com、こちら)。枝豆の殻入れを適当に手元のチラシで作つたら来春の香港芸術祭で完璧なデザインのが出来てしまつた。大根おろしと韮の鍋で豚肉のしゃぶしゃぶ。ビデオニュースドットコムで御厨先生を招いての天皇人権についてを見る。リベラル左派の天皇に対する権力者たちのジレンマ。これまで天皇の憲法遵守発言国旗国歌強制への懐疑などは無視してきたが天皇退位については無視もできず粛々と

東京新聞特集「憲法9条の未来」(東京新聞)で石破茂センセイ「不戦のため改憲必要」。石破センセイの指摘するところ自衛隊存在矛盾等わかる点もあるが、この人の思ひ込みの度合ひはやはりカルト的。

「憲法を守れ」と主張される方に「9条を暗唱してください」と言っても暗唱できる方はあまりおられません。9条を一生懸命大事だ」と言っていれば戦争はない、というのは一種信仰世界です。(略)

国の独立を守るのが軍隊。国民の生活財産公の秩序を守るのが警察。(略)この違いを説明できる人はあまり多くありません。

……って、9条くらゐf:id:fookpaktsuen:20160814114601j:image:w250:right

日本国民は、正義と秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し、陸海空軍その他の戦力は、これを保持せず。 国の交戦権は、これを否認することを宣言する。 第二項 前掲の目的を達する為め、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

といふ、アタシですらほぼ暗唱できるし、軍隊と警察の違ひも高校生くらゐで判別できるのではないかしら。かうしたことを「国民はわかってゐない」といふ思ひ上がりが政治家にあるのが怖い。日経特集戦後71年の夏に」で山田太一氏の指摘(こちら)が素晴らしい。

近所にいるようなおじさんやおばさんがね、戦争になると突然変わるんです。あの小説ではそういう様子を描いたんですが、実際に僕の周りもそうでした。たとえば隣組の班長になっただけでものすごく威張っちゃう。キヲツケーって号令かけて。日本人はがらりと変わっちゃうんですね。

戦後はまた逆方向にがらりと変わるんですが、その「がらり」は昭和天皇が亡くなったときの社会の空気にも現れていたし、東日本大震災のあとも感じました。変わり方がとても激しくて、怖い。もし、また日本が戦争をやったらそれが噴き出すでしょう。夢中になっちゃうんです、日本人は。戦争は絶対にやってはいけないという僕の思いは、そんな「がらり」への不安も大きい。

一種のヒステリーでしょうか、いろいろな面で、日本人もタガが外れてきたようです。最近日本人はここがすごいとか素晴らしいとか、こんな場所だって暮らしているぞとか、テレビ番組などでやたら褒めていますね。自分自分のことを素晴らしいだなんて、恥ずかしいですよ。不愉快ですよ。素晴らしければ素晴らしいほど自分では言わないのが日本人感受性だったのにね。

きれいな言葉も注意したほうがいい。震災後によく使われた『絆』なんて、どうしても実態とずれていく。その渦中では興奮して、センチメンタリズムが動員されますが、だんだんウソになっちゃうんです。

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常無常人常無常人 2016/08/14 23:44 同調圧力やアホな上司やバカ、じゃなかった部下から逃げてくればBKや通信会社などなどと小さな行き違いにテクニカル・ターム除いて広東話200語くらいで済まそうという自分にとっての大問題。お気楽生活羨む旧友からザマミロで語られる海外生活だけど、こっちは生涯賃金棒にふったんだから文句があるか。地獄の同調圧力も大変なんだろうなあ、どこでどのように生きるのも?難しいものだと本日のNスぺ、満蒙開拓団に村民送り込んで戦争直後自死した村長の話見ていてぼんやり思いました。

2016-08-12 TPPを世界記憶遺産に!

fookpaktsuen2016-08-12

農暦七月初十。早晩に上環も東華三院よりの外れ。Hollywood Rdから西にかけて今では小さな画廊やカフェなど点在。水街にあるGiant Year Galleryで陶芸家・今野朋子さんの個展が明日からでオープニングの末席汚す。廿年程前に香港在住の旧知で元々、文化女子大学でファッション専攻され芸術の才ある方だが「湾仔の陶芸教室に通ひ始めた」と言つてゐて自宅マンションで自分で焼いた陶器を用ゐてご馳走になつたりしたが帰国後、本格的に常滑で開窯。陶器を焼いてゐたが出産を機に陶器から自分インスピレーションで好きな造形を焼くといふ芸風に開眼され、その後は夫妻でバリ移住、そこでの有機的な作品が今では世界各地で展示され受賞も数々。敬服の至り。香港では珍しい陶芸専門のギャラリーでお祝ひに香檳を持参したが、このギャラリーからの香檳をお振る舞ひでご馳走になる。家人と久々にSammy’s Kitchenで夕餉。最初は煲仔飯の坤記に行つたのだが「予約で爆満だよ!」と剣もほろゝに断られた。

f:id:fookpaktsuen:20160814110510j:image:h200 f:id:fookpaktsuen:20160814110509j:image:h200

クリントン氏「TPP反対」経済政策演説で明言(日経こちら)。

「TPP」 詩: A.A

母さん、僕のあのTPP、どうしたんでせうね?

えゝ、夏、永田町からか霞が関へゆくみちで、

谷底へ落としたあのTPPですよ。

母さん、あれは好きなTPPでしたよ、

僕はあのときずいぶんくやしかつた、

だけど、いきなり変な風が吹いてきたもんだから

母さん、あのとき、向かふから若い学生たちが来ましたつけね、

安倍政治を許さないなんてプラカードを持つた。

そしてTPPまで拾へないやうに、ずいぶんと邪魔をされましたね。

それで、たふたふ目だつた、

なにしろアメリカまで、それに民主党まで

TPP反対なんて次の大統領が言ふんですもの

母さん、ほんとにあのTPPどうなつたでせう?

そのとき傍らに咲いてゐた増税の花も

もうとうに枯れちやつたでせうね、そして、

秋には、改憲の霧が霞が関をこめ、

あのTPPの下で毎晩ながた虫が啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、

あの谷間に、静かに雪がつもつてゐるでせう、

昔、つやつや光った、あのアメリカ製のTPPと、

その裏に僕が書いた

H.A といふ頭文字

埋めるように、静かに、寂しく。

毎日新聞論点)「憲法と民主主義」(こちら)。東京新聞は一面トップで「9条は幣原首相が提案」マッカーサー書簡に明記「押しつけ憲法」否定の新史料と(こちら)。

2016-08-11

fookpaktsuen2016-08-11

農暦七月初九。朝に大雨。毎朝通るところなのだが、日本でも田舎の県道沿ひ、畑のなかに無人の売店があつて野菜とか売つてたりするが香港の市街地で無人新聞売りスタンドといふのは不思議な光景。それもお代は台の上に並べて置いてください、なのが凄い。午後晴れる。夕刊が来ない、来ないと思つたら日本は今日は「山の日」なる休日。早晩にFCCでW君と飲む。W君は9月に日本に移住でいきなり起業の由。しかも全く初めての分野で。日本的にはビジネス経験が大切、いきなり未知の分野で起業といふのは……てな感じもするがビジネスをすることが前提で、それでどの分野が今、最適なのか……と考へると華人社会では珍しくもない発想ではある。いずれにせよ30そこ/\で地元の香港ではなく日本で、といふW君の意思の強さに敬服。Louis Latourのブルゴーニュ・シャルドネ2013年とChevalier de Lascombesの2014年。酔つた勢ひで湾仔のバーMにW君お連れしてマティーニとLongrow Peatedのハイボール飲む。

2016-08-10

fookpaktsuen2016-08-10

農暦七月初八。未明から豪雨、雷鳴。赤色警報。マラッカの旅より戻り香港の市街の混雑に辟易

▼バチカン、中国と雪解けといふ報道司教の任命についてバチカンと中共合意と香港教会枢機卿の弁(公教報、f:id:fookpaktsuen:20160811145331j:image:w260:leftこちら)。司教任命権をバチカンが持つことで傘下の教会は非合法とされ中共別に政府公認中国天主教愛国会組織愛国会と地下教会双方の双方で組織するバチカン公認の新しい司教協議会司教候補者リスト作成しローマ法皇に提出、法皇司教の適任者を選択し任命。中国はバチカンのカソリック支配を認めたくないが地下教会を壊滅はできずバチカンも中国といふ巨大市場に参入したいのはGoogleやFacebookと同感。そこでの手打ち。香港教会は中共とバチカンとの間で微妙立場だつたが前任の香港司教枢機卿だつた陳日君名誉司教反中共的な言動続けたのに対して後任の香港司教・湯漢枢機卿中共との関係改善立場で今回の立ち回り。陳日君はこの動きに不快感示し「まずは中共で囚はれの身にある地下教会神父の釈放を」と訴へる(こちら)が高齢で病身(こちら)。すでに流れは対中共親和に。これも香港の一国両制の政治状況と一緒。

2016-08-09

fookpaktsuen2016-08-09

農暦七月初七。今回宿泊マジェスティックホテルは高級ブティックホテルのはずが本館の裏に増築した宿泊棟は安普請で階上の部屋の足音や隣室の声、水道の音などが気に障る。昨晩は酔ひに任せて早寝したが夜中にどこの部屋からかオバサンと子どもの大声に目が覚めてしまつたら半夜三更。今回の旅で初めて寝汗をかなりかいて起きてしまひ朔日の玉音放送の所感を綴る。未明に寝て起きたら朝七時半とは珍しい。旅荷をまとめ午前11時半に退房。ホテルライブラリー金子光晴『マレー蘭印紀行』を置いてくる。タクシーでセントラルメラカのバスターミナルへ。食堂で昼餉。オンラインで予約と支払ひ済ませたStarmart Expressのリムジンバスで快適にKL国際空港へ。マレーシア人って車内で静か。このバス、セントラルメラカの他にマラッカのメディカルセンター発があり。タクシー運転手のジョハリ氏の話の通り、いかにマラッカの医療機関に治療に訪れる客が多いか、を物語る。2時間で空港に到着。CXカウンターフライト小一時間の遅れといはれる。事前にオンラインでチェックインも済ませてゐたしSMSで遅延のメッセージすら来てゐない、と思つたらチェックイン直後に遅延のお知らせが届く。CXラウンジで二時間半も時間ありロバートAハインライン夏への扉』何十年ぶりの再読。本当はこの本もホテルに置いてくるつもりが読めず持ち帰り。ハインラインが描いた1970年の今と30年後=2000年未来。そのリアリティが凄いがハインラインがこれを書いたのは1956年だと思ふと更に改めて驚愕2016年の今もまだ文化女中機(Hired Girl)といふ家事ロボットはまだ実用化に至つてをらず冷凍人間タイムマシンもまだない(否、米国ではすでに厳格な機密の中、実験も最終段階……w)どころか滑走道路自分の行きたい目的地まで個々を運んでくれる交通システム)もないし、電話帳がまだ存在したり新聞は依然、紙媒体配達はエアシュート気送管)で届いてゐる。インターネットは創造されてゐない。近未来小説として本当に傑作だが、いろいろな発明や開発が現実のものとなつてゐる2016年の今に読むと人間冷凍保存とさらにタイムマシンといふシステムだけが余りに空想的で、その2つが核となつてゐる点では昔読んだ時以上にこのSF小説が娯楽作に思へるところ。同じハインラインでも『月は無慈悲な夜の女王』やアーサーCクラーク宗教的、達観的な境地とは異なるが乱歩でも怪人二十面相シリーズがあるやうに、もう60年以上も前の古典だと思ふとさすがハインライン。ところで、この小説福島正美の訳が1963年っぽくていい。前述の「文化女中機」も凄いが、「お主」「信ずることを肯(がえ)んぜず」「前途遼遠」「有為転変」「奸計」なんて言葉未来小説にあるのだから。全CX724便。何だかフライトアテンダントたちの仕事に余裕がないといふか、あたふたぶりがこちらに見えてしまつて。それだけ航空会社ノウハウも含め質の低下なのか。昔のフライトのほうがアテンダントも「これだけのサービスを心をこめて、させていたゞきます」だつた記憶普段絶対に見ない機内の映画上映だが珍しくっていふか人生で初めて?で『世界から猫が消えたなら』を見る。川村元気原作2013年本屋大賞ださうで、その人気作が佐藤健主演で彼女が宮崎あおいなら、もうそれだけでヒットでせうが「涙なしには見られない愛の物語」はアタシはダメ。このやうな話で「この世から電話がなくなる」f:id:fookpaktsuen:20160806181855j:image:w300:left f:id:fookpaktsuen:20160806181802j:image:w300:left特撮技術なんて使はないでほしいし、而もアナログな函館を舞台にした無印良品みたいなロハスっぽい世界で……。それと突拍子もなく海外ロケシーンを使ふのも(原作にはない?)陳腐だと思ふ。どうせなら、この主人公若者が生き延びる選択として毎日この世から何か一つを消すことが条件なら、どうせなら原発とか核爆弾でも消してくれればいゝのに。それが電話映画時計といふニューミュージック的な世界観が苦手。古びた時計商営む父親役で小林薫がいゝ持ち味出してゐるねぇ……と思つたら奥田瑛二であつた。どうもアタシの中では奥田瑛二は『もう頬づえはつかない』の青年で年をとつてゐなかつたらしい(小林薫のほうが奥田瑛二よりずいぶんと年上だつ思つてゐたが実際には奥田瑛二が1歳年上)。香港到着。帰宅

天皇生前退位について。予想してゐたことだが八日の玉音放送は思し召しぢたいは柔らかなものだが反響は大。中国や香港のメディア平成帝による安倍政権改憲を阻む意図と明らかに報じ(更に皇太子安倍改憲に反対といふ記事まで!)今朝の紐育時報f:id:fookpaktsuen:20160809185516j:image:w300:right

In recent years some have come to see Akihito as a quiet but powerful guardian of Japan's postwar pacifist identity, even as Mr. Abe's conservative government has sought to loosen decades-old legal restrictions on the military.

While Mr. Abe would be hard-pressed to deny him (Akihito) an amendment process could prove awkward for Mr. Abe's government.

と報ずる。晋三は秋の臨時国会から衆参の憲法審査会で改憲議論を進めていく方針のところ「改正テーマは与党内でも意見が一致しておらず」だけでも面倒だつたものに「ここに象徴天皇制問題も加われば国会の議論はかなり長期化する可能性もある」。何より興味深いのは高齢天皇皇太子譲位といふ物理的にはそれだけのことなのに日本会議的には「天皇生前御退位を可とする如き前例を今敢えて作る事は事実上國體崩壊に繋がる」(小堀桂一郎東大名誉教授・日本思想史)的な考へ。200年前までは当たり前のことで1817年の光格帝から仁孝帝への歴史上直近の譲位とて「しきしま大和心を人問はば」の本居宣長(1730〜1801)の後のことで平田神道の篤胤さん(1776〜1843)は、天皇譲位に異を唱へてはゐないわけで、この國體なるものがいかに近代概念で、その國體形成のために近代天皇制なるものが造られ、そこで男系死ぬまで天皇といふフィクション必要となつたか、といふこと。天皇國體崩壊に繋がるやうなことをされることの不愉快。終戦で國體護持も天皇制をいかに存続させるか、は裕仁といふ天皇に在位いたゞきたいのではなく、戦争責任で戦争犯罪人にされるとか退位となることで天皇制といふ近代の日本の國體にとつて中心に据へた装置崩壊危惧。さうしたことを一番ご存知なのは聖上で戦争を越へて生きてきた最後天皇たる自分が、この近代体制について何かできる最後の一人だと感じ入り(とてもこれを戦後生まれの皇太子らには任せられない)そこで放つたのが、晋三のこの安定政権の中でのこの矢。アベノミクスの三本の矢とはワケが違ふ。

また今更ながらこれまで既存事実と受け止められてきた天皇役職につき

といつた危惧もある。いろいろ読むなかで一番印象に残つたのは西村裕一・北海道大学准教授・憲法学のの発言朝日新聞象徴天皇のあり方」(こちら)より引用

日本国憲法4条は「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と定めています。したがって、天皇には国事行為以外を行う「能力」を求めてはいけない、というのが憲法の立場だと解することもできます

にもかかわらず、現天皇積極的に「象徴としての務め」の範囲を広げてきました。とくに先の大戦にまつわる「慰霊の旅」のように、「平成流」に好ましい効果があることはたしかです。しかしそれは、民主的な政治プロセスが果たすべき役割天皇アウトソーシングするものともいえます

仮に天皇に退位の自由を認めるとしても、別の「誰か」の人権が制約されることに変わりはありません。天皇制は一人の人間に非人間的な生を要求するもので、「個人の尊厳」を核とする立憲主義とは原理的に矛盾します。生前退位の可否が論じられるということは、天皇制が抱えるこうした問題が国民に突きつけられる、ということを意味します。

今回の事案が提起したのは、日本国憲法下における天皇制のあり方という国政上の重要事項でした。指摘しておかなければならないのは、その発端が「天皇意向」であったということです。

そもそも「天皇意向」といっても、天皇自身ではなく、「天皇意向」なるもの報道機関に伝えた人物がいるのでしょう。「天皇意向」が皇室典範改正論議の引き金になった以上、当該人物による天皇の政治利用が問題となるだけでなく、この人物が宮内庁に属しているのであれば、天皇発言をコントロールすべき内閣にも政治責任が発生し得ます

にもかかわらず、だれが天皇意向メディアに伝えていたのか、責任を負うべき内閣はどんな判断をしていたのか、全く明らかにされていません。

かういふ指摘、迂生など「聖上に対して、とても畏れ多くて……」と思ふところだが、それができるのはこの憲法学者が「平成育ち」だからかしら。畏れもなく。それでも「こういう子が育ったのは平成から天皇のおかげでもある」と畏友・くにたち姐さんコメント。確かに。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

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常無常人常無常人 2016/08/11 23:31 SFは文学とは認めてもらえないのですが編年体をはじめ過去現在未来を思う文学は限りなくあって、普通はどの時点でも時間と空間を一致させて見ているけれどどちらかをちょっとずらせば時間トラベルの話になるのですから構造上の違いはないと思います。ただ筋書きの(言葉は悪いが)辻褄を合わせることに時間トラベルを使っているのが気になるってことでしょう。失礼ながらアーサー・クラークや未完の「デューン」などの哲学もどきよりよっぽど「夏への扉」は文学、他はソラリスかなあと思います。

fookpaktsuenfookpaktsuen 2016/08/12 09:37 お書きの通り「筋書きの辻褄を合わせることに時間トラベルを使っている」ように思えてしまうのですね、小説として完成しているがゆゑに、とくにそれが気になる。

2016-08-08 平成の玉音放送「立憲主義について」

fookpaktsuen2016-08-08

農暦七月初六。未明コーランで目覚め珍しく朝寝貪り7時に起きる。家人は昨日の買ひ物でシャツや耳飾りの不具合見つけ直しに出かけるなか迂生は在宿。f:id:fookpaktsuen:20160809021212j:image:w180:left客室の掃除の間、ロビーに来て書きものをしてゐたら支配人が通りかゝり「珈琲か何かおもちしますか?」と気を遣はれ朝食堂で顔見知りの給仕が珈琲を運んできて「ブラックですね?」と。素晴らしい……この一日中流れるKenny GBGMを除けば。昼すぎ家人が戻りホテル近くの新美星茶室に昼餉。昼も夜もかなり客が多く繁盛。海南鶏飯。気温摂氏31度でも扇風機だけで暑くないのは風土なのかしら。今日も榴槤を頬張る。ホテルに戻る。聖上の玉音放送はKL時間午後2時からNHKプレミアムでも30分前から放送あり。解説所功教授は当然の人選だが、もう一人が陛下と親交ありでチェリスト堤剛。聖上の玉音は天皇といふ立場現行の皇室制度に具体的に触れることは控へながらとしつゝ「私が個人としてこれまでに考えて来たことを話したい」と。天皇がこれまで「個人として」といふ発言は初めてのはず。自民党の改憲草案v.2で否定された〈個人〉。そして天皇崩御につき「遺される家族は」と皇族家族と呼ぶのも初か。内容は無難ながら象徴天皇役割、責務について。当然わかりきつたやうなことも敢へて念押ししなければ普通普通でなくなる今日日の常識も通じぬ社会。最後に「国民の理解を得られることを切に願っています」と〆たが生前退位につき国民の理解はすでに得られてゐるわけで、つまりはそれを前提にこの天皇判断を心良く思はない人々、f:id:fookpaktsuen:20160809021213j:image:w280:right組織への政治的圧力と思ふのは深読みすぎるかしら。否、結局、天皇のとつた手段は生前退位は自分勝手な思ひではなく(形式的にならどんなヨボヨボになつても天皇で在ることはできる)日本国憲法に定められた国民の象徴としての天皇に求められる職位、公務について老齢化に伴ひ、その遂行が困難となるから退位する、といふ、これはまさに立憲主義。天皇退位につき皇室典範ばかり意識されたが聖上は「憲法に基づけば」と、まさに戦後民主主義の申し子として憲法に生きてゐることを明かしたもの。これが非立憲的なる晋三らの動きへのアンチテーゼであることは確か。天皇は「国政に関与しない」立場でぎりぎりのところで自らの進退といふカードを出したのだ。これまでも実は数年に渡り、この生前退位は検討されてきたが、なぜ今なのか、それは勿論、聖上の高齢化もあるが、それ以上に昭和20年匹敵する平成の分水嶺を聖上が今こそとお感じあそばされたのでせう。おそろしや、おそろしや。夕方日差しも少し弱くなるのを見計らひ家人と出街。日陰縫ふやうにして家人に誘なはれ旧市街のMalaqa Houseなる骨董賣る肆へ。老朽化こそしてゐるが見事な地場建築。陽がさせば中庭が明るく雨が降れば雨の落ちるのを楽しめる……これが羨ましい。

f:id:fookpaktsuen:20160808172016j:image:h200 f:id:fookpaktsuen:20160808171938j:image:h200 f:id:fookpaktsuen:20160808171845j:image:h200 f:id:fookpaktsuen:20160808172100j:image:h200

Light & EZ CAFEへ。盛夏のやうで農暦も七月に入ると空の雲も高く風も随分と清々しくなる。啤酒を二人で小瓶5本飲む。月曜日観光客も少なく閑散とした旧市街漫ろ歩き新云河茶餐室。マラッカの初夜に食した蠔仔餅をもう一度。ホテル近くのニョニャ料理、Bulldogにようやく飰す。土曜の晩は通りがかり日曜日は閉店で今日の昼は月曜だけ昼の営業休み。この食肆、名前雰囲気も気張つてゐるがマラッカでは伝統的なニョニャ料理を供すことで知られてをり味付けもしつかり。ホテルに戻りNHKワールドでNW9の英語吹替版が放送されてをり見てゐるつもりが酔気と睡気で朦朧

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常無常人常無常人 2016/08/09 20:14 涙ぐんで海行かば(と後で知った)小声で口ずさむ母のことを小さい頃何だろうと。雷撃で死んだ弟が靖国に祀られるとき父親と参列した思い出を母から聞いたのはずっと後のこと。話の周囲には美しいとかいう戦前戦中の大家族の話などもあって戦争は身近でした。天皇のお言葉を聞いて思ったことは、戦争を知る人はもうたくさんいない、でした。

2016-08-07 観光開発頓挫を世界記憶遺産に

fookpaktsuen2016-08-07

農暦七月初五。朝未明に起きて日記を書いてゐると市街からコーランの祈りの放送が聞こえてくる。夜中にかなり雨だつたと家人。晴。陽がまだ東にある内に旧市街へ。日曜の朝11時までだといふJln. Hang Lekirの路上骨董市を冷やかす。なるほどこの通りがまだ建物の陰で陽が射さない内だけで昼前には店じまひも道理。北京訛りの観光客が値切つてつまららい古い茶碗など買つてゐる。一昨日も昨日も夕方閉まつてゐた高級な骨董は何もない我楽多屋は新隆商行といひ今朝は早くから開いてゐた。老夫婦経営花柄お盆(RM45)と古いマラッカの半世紀前以上前の観光絵葉書を贖ふ。Jln. Kampung Kuliは150mほどの短い通りだが趣ある古い店が数軒。陳卓添といふ老職人の作る桶や椅子の木製品屋は今は製造販売を止め展示のみと聞いてゐたが狭い路地を入るとよぼよぼの老人が僅かに残る木製の椅子など見せ座れ、座れと自分のことを書いた新聞雑誌の切り抜きを見せる。若い世代はこんな仕事につきたがらない、後継者もゐない、もう自分製造はできない、といふ。狭い路地に残つた木製の低い椅子はお世辞にも職人の作とは思へぬ雑な仕様で、聞けば八十九歳ださうで致し方ない。もう何も作れないし売るものもない、此処に寄つたのも何かの縁で少し金銭を置いていつてくれ、と請はれる。さういふ風になつてゐることは聞いてゐたのでRM20だけお布施家人が寄りたいといつた特昌といふ銀の装飾品の店は閉まつてゐたが奥に人のゐる気配。声をかけると肆を開けてくれる。店番の店主の他に車椅子の老婆が現れ笑顔でやりとりを眺めてゐる。家人がピアスなど選ぶ間に話をきけば母親は95歳といふが意識もはつきりで店主(息子)に「RM10札を2枚、お釣りにあるかい?」と聞かれると傍らの鞄から財布を取り出し数種類の札からRM10札を取り出し私に「息子に渡して」と。矍鑠とした老女将ぶり。昨日からどこの店でも土地柄か何かしらの昔語りを聞く機会多し。ホテルに戻り暑さに少し目眩して午睡。遅めの昼食をホテルの近くにある海南鶏飯屋で。鶏肉を1羽分なら1 Bird、半只なら1/2 Bird、例牌なら1/4 Birdといふ数へ方が可笑しい。

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インド人街の布屋に行く家人と別れホテルに戻り夕方まで寛ぐ。この3日間で今日が一番陽射しが厳しい。午後5時くらゐになるとやつと日が傾き旧市街に行き川沿ひのカフェで5匹の子猫と母猫を昨日に続き目でてゐるとカフェの主人に「1匹やるから連れていっていいよ」といはれる。さすがに香港までは……。昨日のLight & Ez Cafeで啤酒を飲む。常連の仲良しの二人が今日もゐる。昨日は何やら堂々巡り口論してゐたが今日は静か。観光なら17世紀のオランダ統治時代の建物(Stadthuys)を見学したりフランシスコ=ザビエルに纏わる聖ポール教会の丘に上がるべきなのだらうが観光客多く一寸近寄りがたい。メガモールからマコパレードといふマラッカ最大のモールに行きSDメモリのカードリーダー(RM20が半額)贖ふ。旅行に持参のMacBook Airは画像はいつも須磨からは藍牙で飛ばしてゐたが久々にGRのデジカメ持参したらSDカードでMacBook Airにカードリーダーないことに初めて気づいた。GRから須磨帆に飛ばせるのだが画質は劣る。一目マラッカ海峡拝まうと海沿ひまで歩く。観光客も多いのか、と思へば市内から西の方角はマラッカ川の河口が埋め立てられたことでかなり遠くまで行かないとマラッカ海峡に沈む夕日は拝めないやうになりマラッカ川の河口はひっそり。マラッカが世界遺産になつたことで多くの観光客を当て込み、このマラッカ川河口には西欧風の古い市街建築を模した街並みを作りブディックホテルや飲食店などいくつも開くはずが肝心な夕日も遮る殺伐とした埋立地が目の前では……。この観光開発も建物だけ作りテナント入らず頓挫。まだ建てて数年だらうがゴーストタウン化する街並みの空虚さ。またこの市の中心を流れてくる川の河口は大洋に向け観光クルーズ船の波止場を無理やり建造したことで、川の流れを迂回させるため狭い水路を作り、これにより市内の排水制限なく捨てられる川の流れは緩くなり川は余計に水質汚濁がひどくなり悪臭が漂ふことに。クルーズ船の波止場も海水が行き止まりゴミ悪臭が漂ふ。世界遺産になつたことでマラッカの経済復興狙つた計画が見事にすべてマイナスに作用とは。この観光開発の挫折世界文化遺産……といふか記憶遺産にすべき。マラッカも三日目でだいぶ地理にも慣れ裏通り、路地を歩いて市街抜けること覚へる。Jln Munshi AbdullahにあるRestoran Vazhai Elai(Nasi Daun Pisang)といふインド料理やで初めてバナナの葉に盛つたカレーを飰す。皿を用ゐるのと味は何も違はないのだが野趣。歩いて5分ほどでホテルに戻る。

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▼旅をしてゐるといつも永さんがラジオで話した2つのことをいつも思い出す。一つは洗濯物を乾かすことで旅にあれば夜、シャツや肌着を洗面所でささっと洗ったら絞るのが大変だがバスタオルに、あれは必要以上に大きくて勿体ないけど、洗濯物をくるくるっと海苔巻きのやうに巻いて海苔巻きを半分に折つてバスルームに置いて足で踏んでやれば大概の洗濯物の水分はかなりバスタオルに吸はれて、それで干しておけばホテルはとんでもなく乾燥してゐるから翌朝には洗濯物は乾いてゐる、という話。これを聞いたのは中学生の時だつたが、それ以来、旅に出るときちんと毎晩この足踏みをしてゐる。もう一つは普段はオシッコをする時に、男性の話だが、気がつかないがどれだけオシッコが飛んでズボンを汚してゐるか、それは温泉の大浴場で裸になつてからオシッコをすると跳ね返りで足の腿や脛が濡れたことでよくわかつた、と。これはだからどうすればいゝはない話なのだが注意するべきこと。

渋谷パルコ休業。1973年開業だといふ。小学生の頃に母親とだつたかNHK放送センターの見学に連れていつてもらひ渋谷からNHKに向かふ坂(区役所通り)がこんなになつて、と母が驚いてゐた記憶中学生の時にはPARCOのファッションにはまだ幼かつたが『ビックリハウス』愛読し投稿するやうになり渋谷の宇田川町は身近でパルコの中に確かマップハウスといふアート嗜好で世界中の地図を集めた店があり、そこを一通り眺めてリブロ書店最先端写真集など眺め壁の穴でパスタ啜り東急ハンズへ。タワーレコードが出来たのは数年後のことだった。

2016-08-06 マラッカ動物園

fookpaktsuen2016-08-06

農暦七月初四。夜中に雷雨イスラム圏を旅すると早朝の礼拝で五時半くらゐに町中にコーランの祈りが流れ折角の眠りを起こされてゐたが今ではその時間に起きてしまつてゐる。日没が遅く夜は七時半でもまだ宵の口だつたが朝は七時にならないと明るくならない。雷が遠くで鳴る曇天。今回初めてのマラッカ。マラッカの歴史は大航海時代そのものでポルトガルが東洋に現れ、マレー半島とインドネシアのスマトラ島の間のこの海峡の重要性に着目しインドとアジアを結ぶ拠点として、この港町を建設。オランダがそれを襲ひ英国との間でインドネシアはオランダ、マレーは英国といふ領土交換が成立し先の大戦中は日本軍が占領。戦後に英領から独立今日に至るのだがマラッカはマレーシアでもKLやペナン州、ジョホールバルのやうな拠点都市の経済発展からは取り残され昔の異国情緒溢れる港町のまゝで、それが観光化されペナン(ジョージタウン)とともに世界遺産に登録され今では観光が主な産業となつてゐる。それでも昨夕歩いてみると旧市街観光客相手路上に屋台が並び家々はカフェとなり折角の街並みも路上自動車が溢れ家の前には路上駐車がずらり。マカオならポルトガル風の住宅が並び石畳路上駐車の車の列もまるでリスボンのやうで絵になるがマラッカはさういふ感じはしない。ペナンは観光化だけではなく強力な自治州政府の開発主義貿易都市化も進めたがマラッカはさうもいかない。土曜朝はマラッカからでもバラカンさんのWeekend Sunshine聴かうと思つたらリオ五輪開会式の中継の特番。そんなの中波の仕事でしょ、まさか国威発揚で同時中継?、否、今日は8月6日、広島原爆の日ラジオ第1は広島から平和記念式典。さういふことか。それでもラジオ第2もあるのに、だがこちらはこちらで英会話は夏も課題を済ませないといけないらしい。ホテルの朝食は朝7時から。本館二階の食堂は朝七時は案の定で私らだけ。八時半に昨日バスターミナルからホテルまで送つてもらつたタクシー運転手を呼んでゐる。静かなロビーソファで寛いで新聞を読んでゐる運転手のジョハリ氏。ホテルから12kmほど離れた、中央幹線のハイウェイに近いマラッカ動物園へ。旧市街の開発が進まないまゝ市の郊外には高級住宅地や公共施設が点在する。

  • マラッカ市立病院。ジョハリ氏の話によると公立病院は診察料が無料で60歳までの市民は処方薬はRM1を取られるが60歳以上のジョハリ氏は無料で助かるといふ。勿論、救急扱ひ除けば数時間はかゝるが私立の大型病院もあり町中のクリニックでも1回の診療はRM35〜50でけして高くはない。医療機関がマラッカに多いのはインドネシアのスマトラ島からだと大病患つた場合にジャカルタに行くには遠くインドネシアの医療水準が高くないため船で3時間で海峡を渡りマラッカに来た方が高水準の医療が受けられるためで医療産業はマラッカにとつて重要メディカルハブとして注目されてゐる。
  • マレー人が6割、中華系が3割、インド系が1割といふ人口構成だが最近は近隣の各国やバングラディシュなどから労働人口流入が多く市民の嫌がる路上清掃などの職はバングラディシュ人、守衛はネパール人といつた区分けが出来つゝある。

そんな話をジョハリ氏は澱みない英語で理路騒然と話す。観光都市のタクシー運転手の案内とは一味違ふマラッカ紹介は高中の社会科先生の授業のやう。郊外に来ると富裕層の広い邸宅、中間層用の低層マンション、公共住宅が並ぶ住宅地、Aeonなどが入るショッピングモールがあり、その中を4車線以上の広い道路が走り各衛星都市は自動車での移動に交通限定される。これはもはや米国の西海岸から日本、中国まで国を限つたことではない単調な風景。全く同じ住宅地とモール。マラッカの此処が日本と違ふのはバイパス道路に沿つて走つても大型家電店とパチンコ屋がないくらゐ。アタシが話をメモしながら聞くものからジョハリ氏は説明にも熱が入るうちにマラッカ動物園着。朝九時の開園にちょうど間に合ひ入場券売り場のシャッターが上がり口開けの客となる。整備されてゐない、スタッフが怠慢といふ悪評少なからず。だが個人的にはのんびりしてゐて動物の飼育も開放的で好き。事故が起きたら、と普通ならもつと遠くなる動物と参観者の距離がとにかく近い。マレーシア原産の猿類など一応は飼育場所限定されてゐるのだが高い樹木が茂つてゐるので、木々を渡り私らの頭上の、つまり飼育場所の外で遊んでゐる。キリンやダチョウなど管理もないまゝ顔に触れるほど。ぐるりと一周でたつぷり2時間旅行先では動物園があると朝イチで食事が始まり動物も元気なうちにと、それが旅行先での唯一の観光になる時が少なくないのだが、考へてみると動物園に行くのも初めての旅行先が少なくなつたからかもしれないが数年前の台北で北京から贈られたパンダの團仔を見に行つて以来。動物園こそ世界各地の珍しい動物を集め動物園に展示し市民がそれを順路に進み鑑賞する、といふまさに近代の〈まなざし〉のシステムで各国の動物園訪れるとお国柄の違ひ顕著なのが都市人類学的にはとても面白いf:id:fookpaktsuen:20160807153124j:image:h180:left f:id:fookpaktsuen:20160807153125j:image:h180:left昼前に動物園を出て、その頃には入場券売り場に少し行列が出来るほどの人出だつたが動物園前のバス停は路線バスの案内板もなければ観光バスが駐車して道路とは塞がれたまゝで土曜昼の渋滞のなかバスが来る気配は一向にない。小雨。動物園の入り口スタッフは忙しそうで、面倒なのでジョハリ氏が往路で教へてくれた1.5kmほど先のショッピングモールまで歩けば、どうにかなるか、と思つて幹線道路を歩きだすと、これが歩行者など想定もしてゐない道路でとんでもない殺伐さ、荒涼とした風景。歩き初めて失敗した!と思ふ自動車専用道路で、それでも動物園のある丘陵から下つてしまひ戻るに戻れずモールを目指す。世界中のどこの都市にもある出来合ひの郊外モール街で嗤つてしまふくらゐ没個性で嫌ひな空間だが殺伐とした自動車道網の中から此処に足を踏み入れると歩道があつて人が歩いてゐるだけで安堵とは情けない。大型の小売店前にタクシーが数台、暇そうに客待ちしてゐて仕切る運転手が一番ぼーっとしてゐる運転手に「町中までアンタ、行きなよ」と指示してボロボロタクシーに乗る。ジョハリ氏のバジェットタクシーは動物園まで片道RM40だつたが、この運転手は市内までの復路「RM25でいいや」。初老運転手がジョハリさんに比べると学は無ささうだがブロークンな英語でも、これがまた説明好き。途中の衛星都市が、f:id:fookpaktsuen:20160807153127j:image:h170:right f:id:fookpaktsuen:20160807153126j:image:h170:rightここは大学が郊外に移転したことで出来たエリアで学生が多い、このあたりは富裕層住宅地。マレーシアは産油国で元々ガソリンは安かつたが自動車所有は限定されてゐた、それが緩和され自動車が郊外では1人に1台のやうになり道路渋滞と大気汚染がf:id:fookpaktsuen:20160807153128j:image:h190:left ひどく悩みのたね、うちの息子も本当に必要なのか1台調達。このタクシーは18年乗つてゐるが、どうだい?まだ十分に走るだろ、と(確かにポンコツだが走ることは走る)。どこから来たんだい?香港か。昔、エリザベスの頃に一度、行ったな。今は香港は共産主義者統治だ。香港、台湾……懐かしいな。随分と変わっただろうな。……あれこれ話題が変わりながら気がつくと市街。一応最高級の一つのホテルタイヤの外れそうなオンボロタクシーで乗り付けドアマンも苦笑。この運転手氏が「ここは美味くて有名なんだ」と車窓から教へてくれたホテル裏の焼臘屋で昼餉。ホテルに戻り午睡。夕方になつて薄陽のなか出街。路上の榴槤屋で榴槤頬張る。運河に沿つて旧市街まで。風光明媚はいへない気もするが運河は観光名所で観光船が上り下り。この運河を観光名所にすべく両岸に遊歩道は大したやうだが、それ風のゲートの一部が朽ちてゐて「ん?」と見たら発泡スチロールで造形してモルタル塗りとは……禁じ手だろw。曲がりくねる川沿ひ、頭上にはモノレールの線路。建設計画が頓挫したまゝ放置。今更道路網の拡充出来ない旧市街では画期的交通手段だが実用性には限りのある周遊ルート経営母体の資金繰り悪化工事最後最後で狭いマラッカ川を跨ぐ橋梁がかけられず。中国製のモノレールでマラッカの地元の政府系都市開発企業が建設を始めたが「市民の足にならない」といふことで資金の追加融資が受けられず。モノレールの廃線といふのは(これは開通もしていないのだけど)大船〜ドリームランドのやうに物悲しいものあり。

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市街まで来て家人と別れ一軒、ちょっと覗いてみたい古物屋あつたのが閉まつてゐる。そのへんのカフェで啤酒でも飲んでゐようか、と思つたら啤酒飲むにも事欠く小銭しかポケットになく家人との待ち合はせまで小一時間市街を徘徊。路地のLight & Ez Cafeといふ昨夕見たら地元に住み着いた呑んだくれの外国人集まる飾りっ気のないバーがあり、そこの路上テーブルにつき啤酒飲む。若い頃はインド映画ヒーロー役でもf:id:fookpaktsuen:20160807153132j:image:w250:right出来たそうなインド人の店主が「日本人かい?」と声をかけてきて四方山話。この飲み屋を開いて16年になるが自分一人で誰も雇わず出来合いの啤酒など出すだけで店もご覧の通りの素っ気なさ、だから他のこのあたりの観光客相手のカフェなら啤酒一杯RM50なんてとるとこもあるのに自分のところはこの値段(RM11)で出してゐるが昔はRM6だつたのを政府は酒飲みが増えると思つたら増税、増税で税率はタバコより啤酒が高いなんてとんでもない。どっちが身体に悪いかと憤慨する店主。マラッカ生まれで、彼の父が若い頃に叔父貴がこの地で医者をしてをりインドから呼ばれてマラッカで警官をしてゐたのだといふ。それでもこの酒場でも7UpがRM3でTiger Beerの小瓶はRM11とは4倍差。日本の喫茶店でサイダーが300円なら1200円でビールを飲む感覚。これでもマラッカはペナンより酒税は低い。土曜晩で観光客でごった返すJonker街を避け川東のインド人街へ。地元のインド人で賑はふ食堂で夕餉。The Shoreといふホテル近くの楼上に高級マンションとSwiss Garden Hotelのある複合モールに立ち寄り「へぇ」でホテルに戻る。

▼自民党の憲法草案(第二次)につき晋三が「そのまま国民投票に付されることは全くない」と宣ひ「国民的議論の末に収斂されていく」と予言。広島での平和式典では昨年無視した非核三原則言及。着々と「後世に名を残す大宰相」に向け着々か。晋三といへば大臣そしてこの副大臣の認証式で宮中に上がつたが内奏の際に週明けの玉音放送につき事前に聖上より晋三に何かお話あつたのかしら。

2016-08-05 泰山馬六甲に遊ぶ

fookpaktsuen2016-08-05

農暦七月初三。旅の荷造りもあり珍しく半夜三更過ぎ寝たのは午前1時だつたが4時半には目覚めてしまひ朝6時には中環站からエアポートエクスプレスで家人と空港へ。冷房対策ストール忘れたが無印開店は7時まで待てず出境してラウンジ。小さなクロワッサンとエスプレッソ。シャワー設備ありで朝シャンできてw朝酒にほろ酔ひ。CX723便で一路、KLへ。A330-300でregionalのCとPremium Yは乗つてゐるが、通常のCは2012年導入で今回が初めて。それ以前のCはシェル型で好きだつたが、このタイプは一人で成田便で乗つた家人から絶対に勧められない、新聞を広げて読めないくらい(まだ当時は新聞は紙で読むものだつた)シートの幅が狭くて何よりすぐ横の壁面が……と話があり、その年の12月の香港国際競馬でCXスポンサーだつたから競馬場内の馬会会員ロビーにも新型キャビンモデル展示あり坐つてみるとなるほど狭い18.5吋幅。それ以来、普通飛行機乗りならCでも短中距離便仕様のregionalなら「えっ、regionalなの?」で避けるところCXについてはCなら20.2吋幅のregionalを選ぶやうになり19.5幅のPremium Yの導入でCより幅広なら、これを選ぶ方が正解。この世界一座席幅の狭い?Cクラスが「SQに比べたらまったく……」と不評でCXも今年になり新型導入となつたが、それでも20.2吋ではダメでせう。『週間読書人』1ヶ月分ほど読み(夏恒例の文庫本特集豊崎由美といふ書評家が凄い)居眠りのうちに2年余ぶりのマレーシア。着陸してゲートに接岸の前、須磨帆を開くと最初に飛び込んできたニュースはリオ五輪の蹴球予選で日本がナイジェリアに4-5で惜敗。昨晩見てゐたNHKのNW9で現地で試合に向け入念なトレーニング重ねる日本、何より心配は予選相手のナイジェリア隊が試合開始24時間前の今も米国はアトランタの空港にゐて、予定のフライト手続きミスで登場できず選手らは今、空港でゲートイン、これで試合に間に合ふのか、間に合つても体調整へられず大丈夫なのか、とNHK解説者も勝者目線で言ひたい放題だから「これでナイジェリアが勝つたら最高なのに」と言つてゐたら本当にさうなるとは。ナイジェリアチーム、大したもの。ゲートを出ると芸能人の「出待ち」のファン女性たちカメラ構へ五、六名。アタシらのフライトに乗つて来るスター出迎へるため少し早い便で到着してゲートで待機してゐた由。素晴らしいファン根性。到着にしてはやたらと土産物屋の多い十字型のサテライトターミナルから入国審査のある本棟に渡るアエロトレインの中でも、この芸能人の男性と親しげに話をしてもらひながら写真撮りまくり。芸人もファンサービスは大変だが、このワンフのジョーカノたち、香港から来たこの芸人と広東語で話してゐるし香港からだとしたら今日のKL行きのフライトはアタシらのCX便が始発、いつたいだうやつて来たのかしら。下手したら前晩の深夜着便で来てターミナル内で徹夜してゐたのか。大したもの。預けた荷物受け取りバスターミナルから13時発のマラッカ行きバス最後乗客滑り込み。1-2配列で最後尾のシートも椅子がリクライニングフットレストもあり快適。CXのCよりバスの方がシートが楽だなんて。予想はしてゐたが猛烈な冷房。送風口を閉めても冷気が漏れる。最後尾で座席が高い分、余計に冷房が直接当たる。旅の必需品たる養生テープトランクに入れたまゝで預けてしまポストイット、それでは風力に負けバンドエイドまで使つて寒さ対策。マレーシアのどこまでもゴムなどの植林のなかを高速道路が走る単調な風景。KLの空港からマラッカ海峡に沿つて南下できれば直線距離で80kmほどだが、そんなハイウェイどころか幹線道路もなく一旦、KLのほうに向かひマレー半島を縦断する中央幹線を抜けるので空港出てから時間でマラッカ郊外にあるバスターミナル・セントラルマラカに着く。この快適なバスがRM35(約850円)。ターミナル家人が近くのモールにあるタイ薬局に寄りたいといふのでターミナルの食堂で茘枝のジュース飲み日記書き。タクシー市街へ。ターミナル乗り入れバジェットタクシーは定額だといはれ市街までRM20は旅行客相手の上乗せか?と思つたらホテルで尋ねると相場の由。とても良心的な運転手でマレーシアだから英語であれこれ説明も内容が深い。

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The Majestic Malacca(大華旅社)に到着。マラッカでは最高級のブティックホテルだといふが部屋は凝つてゐるやうで想像より設へに難あり。まぁ快適は快適な部類。旅荷を片付け夕方市街漫歩。Jln Laksamana(インド人街)から市中心に入りマラッカ川(といふか運河)を渡り所謂チャイナタウンへ。Jln Hang Jebat(Jonker街)は明るい内から旅行客相手の店々が路上に並び安っぽい土産や食べ物を売り旅行客多し。一軒それなりにセンスの良いエスニック洋装店見つけ寒さ対策ストール一張贖ふ。旅行中はほとんど買ひ物せぬが別な店でコットンのシャツも一枚。路上の屋台の評判の肆で叻沙。夕暮れが美しい。屋台の榴槤売りで猫山王(Musang King)頬張る。1kgがRM45で小ぶりで0.8kgだが他の品種に比べると倍近く高い。深い甘み。Jonker街から一本道を外れると閑静さ漂ふ。運河沿ひの歩道には旅行客相手のカフェが路上椅子を並べ啤酒飲み涼をとる客。チャイナタウン北側のほうは金曜夜も静かなもので新云河茶餐室といふ食堂で評判らしい蠔煎を食し啤酒を飲む。典型的な福建系の打冷。日本人とわかり女将家人に「カワイイ」などとお世辞。何故、中国語を話せるの?の女将。香港から来て家人広東語しかわからない、といふと帳場の傍に坐つてゐた先代の老女将が達者な広東語であれこれ話し始める。二人で旅行してゐるといふと「早く子ども産まないと」と老婆。家人のことをいつたいいくつだと思つてゐるのか、呆けてゐるのか。Jln Bunga Rayaの通りは地場の非観光系の商店街で立派な店もいくつか。路地の屋台も美味そうで、何より呼び込みの人懐こさに親しみがもてる。マラッカ1日目が終はる。

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2016-08-04

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農暦七月初二。今日も雨。小池百合子なる人が都知事選に出て当選して何かずっと「ありゃ何だつたかしら」と思ひ出せなかつたこと。はっと気づくと魔法使ひサリーまさか、あのサリーちゃんが都知事になるなんて。あの選挙戦のなか都民は魔法をかけられたのか。そのサリー都知事が本日、官邸に晋三を訪問。潑刺堂々とした態は見事。それを迎へた晋三、アタシは毎日のやうに晋三の悪口を言つてゐるが今日の晋三、サリーに「当選おめでとうございます」と声をかけ握手のあと開口一番「われわれ自民党は小池さんに きつい一本を取られまして……それが民意なんだろうなと思ひます」と、これは見事。地位が人を作るといふがダメな晋三でも数年も首相をすれば経験が自信につながり国会では野党の執拗攻撃には苛立ち下品野次も口にするが自分のお城たる官邸で気分さへ良ければ、これほど余裕あるウィット含みの一言が発せられやうとは。自分で考へたのか、脚本家がゐるのか知らないが大したもの

▼先月の参院選で公示直前、大分で労組など入る建物の敷地内に県警が無断で監視ビデオカメラ設置。連合大分や社民党の平和運動センターが入るビル大分といへば村山とんちゃんのお膝元。今どき革命目指してゐるわけでもない、たかだか労組に対してのこの監視戦前の社会主義者弾圧より更に厳しく「治安維持」といふ官憲狂気以外の何ものでもなし。警察がこんな低レベルなのも政府に倣へで官房長官菅某は沖縄振興予算は「基地とリンク」で米軍基地問題で沖縄が協力しなければ予算減額に言及。これまで自民党の歴代政権も建前上は基地問題と振興予算は別と否定してきたもの。もう安全保障から治安維持まで戦後維持してきた約束事など全て無視のやりたい放題。残るところは天皇制のみ。

2016-08-03 安倍下僕内閣

fookpaktsuen2016-08-03

農暦七月初一。台風去つても台風一過どころか不安定な天気続く。朝二時に目覚めてしま未明まで机に倚り一時間ほど仮眠で六時起きの日々。NHKラジオ深夜便FMで香港時間朝4時からの「古典の楽しみ」の老人時差ぼけ。未明に風のないなかさーっと落ちる清々しい驟雨あり。松田修(1927〜2004)著『刺青・性・死 逆光の日本美』を読む。著者が45歳、1972年平凡社刊だが今読んでも今年書かれたやうな文化論。

▼晋三の内閣改造。第一次政権では「お友だち」内閣と揶揄されてゐたころが懐かしい。今では晋三といふ帝王の下での下僕内閣。かつての自民党政権だと閣内に派閥領袖をり首相でさへ勝手はできぬバランス感覚あつたが今では麻生漫☆画太郎がせいぜいで他は晋三の顔色窺ふ輩ばかり。「外務大臣?もういいよ」とまで嘯いてゐた岸田君も続投では外務官僚は官邸との蜜月ぶり深めるばかり。閣外に出た石破君の選擇は間違つてはゐないが彼の形相は晋三と総裁選争つた頃に比べ何か憑ゐたやうな形相。これではスマイル晋三の後を襲ふにはポピュリズム的にもウケぬ。今回の組閣でも格別は稲田某女の防衛大臣抜擢。それにしても、このアッと驚き為五郎〜な富士ドレス宮中で恐れ多くも聖上の御前に……何を考へてゐるのか。ダメダメ陛下心中お察しすると言葉もなし。やはり晋三には国政は任せられぬと確信されたか。それより陛下もよくぞ笑ひ堪へられたもの皇后様の美的感覚ではあの富士ドレスはどう映るのかしら。両陛下におかれてはあのドレスのショックがお身体に障らなぬこと祈るばかり。

御製 外国の槍より守る日の本の安倍長くして富士の服立つ

御歌 いつの日か安倍とはなりてわが国を守らむつもりかこの稲の田が

▼蘋果日報社主の黎智英が同紙に「精英,醒過來吧!」投稿こちら)。英国のEU離脱について。

唉,精英呀精英,你們只識用理論解釋世情,一頭栽進理性的死胡同裏,忘記了人民的感受。你們只認識你們用理論解釋的世界,而且用你們權貴的利益牢牢包裹這理論的世界,僵化為厚厚的外殼將自己密封在裏面,聽不到人民的聲音,感覺不到人民的感受,超離地的還以為自己高高在上,平民百姓要俯首聽命:「Yes, Sir! Yes, Sir!」唉,精英,醒過來吧!人民革命在靜靜醞釀着!

我是做生意的,對很多西方政府的政策規條摸不着頭腦。例如美國聯邦儲備局的目標控制通脹,穩定價格,最後是促進就業成功嗎?不知道。你說失業率仍高,他說這是new normal,沒有聯儲局的干預失業率會更高。你要是口才不好是做不成官宦的。

他們是用理論解釋這世界。他們不斷解釋,現實一直變化,他們跟着解釋,兩者糾纏,互相造就,融合成兩位一體。這是真實的世界嗎?精英說,是的,這是我們可以解釋的真相,這是我們認識和感覺到的世界,我們與她同根生,當然是真實世界

新自由主義で勝ち組ばかりが肥える。それがおかしい。松本人志の映画大日本人』で巨人になる主人公人生希望を「年収700万円くらい」と言った、それが上限だ。それ以上の収入分の利益公共財にすべき。百姓万歳

香港の小売業1999年以来のスランプだといふ。歓迎。これで地価が下がり地産獣、ビル賃貸富裕層利益が下がり店舗賃貸料が下がればマシな商売をしたい様々な面白い業種が街に戻つてくる。

常無常人常無常人 2016/08/06 21:18 Jimmy黎にして(だから?)イギリス懐かし、なんでしょうか。ジョルダーノ大陸進出の話思い出します。彼とて資本の論理と無縁ではいられないわけで。他ならぬ大陸が高級品爆買いになっていった一方百姓はジョルダーノ、ユニクロでもH&Mでもなく夜市の10元で充分、私はここでもその程度。小売り業の困難な時代に入りつつあるようです。

fookpaktsuenfookpaktsuen 2016/08/06 22:00 ジミー黎という人は、私の勝手な想像ですが、自分が自由になる=誰の指図も受けたい立場になるためには十分な財力が必要で、その財力を得るためには何のビジネスでも良かったのでは?という気がします。そこで始めたのがアパレルで規格化した製品を大量に売る価格破壊商法。それで自由になったはずが中共は自分の自由を脅かすような存在だった。それで反中共になる……そういう感じでしょうか。

2016-08-02 台風直撃

fookpaktsuen2016-08-02

農暦六月晦日。夜中にかなりの風で陋宅の窓の隙間から風の音とガラスを叩く雨。夜明けの頃はかなりの雨。それも徐々にf:id:fookpaktsuen:20160802061853j:image:w280:leftまり雲も白み空も明るくなる。それでも午前中はシグナル8継続ださうで交通機関も地下鉄除けば動かず。これ幸ひにと新聞などかなり読み書類整理。午後になりシグナル3に。これが午前10時だと昼から始業の会社など多くなるがシグナル8→3になり2時間後に始業が香港で定着してをり、さうなると午後3時からでも始業は小売業サービス業に限られ企業の多くは「急ぎの仕事がある者を除けば」自宅待機のまゝといふ判断今日も昼の通勤パニックにならぬやう微妙判断となつた。アタシは官邸の状況把握のためご出勤。急場の対応だけ済ませ帰宅。台風の日はご定番カレーライス飰す。木下直之著『股間若衆』読む。なぜ男性の裸体像が公衆面前、それも駅前とか広場にあるのか。そして男性の象徴たる陽具の扱ひ対する著者の視点は興味深いが「だから何」と思へなくもないのは興味本位から更に深入りするだけの〈股間性〉が彫刻家の造る男性裸体像にはないからか。不能的。それにしても青木繁と朝倉文夫(画像は「水泳競技を前に)については随分と勉強になつた。

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▼香港で最も信頼できた、いはゆるquality paperたる信報。20年以上愛読してきたが、林行止氏経営独立性が李嘉誠次男のリチャードに買収され林行止専欄は週数日で残るが個性豊かで知性的書き手の多くが去り余り読まなくなつてゐた。林行止が自分引退後に信報主筆とすべく期待かけたのが練乙錚で、練乙錚の記事についてはこの日剩で何度も取り上げた。元々が林行止に見出された逸材で経済学者から信報に加はつたが1998年に香港政府の中央政策組のメンバーに。2003年反政府市民集会に参加したことなど指摘され、この職を辞し海外を旅し大洋をヨットで航海すること数年、信報主筆として迎へ入れられたが2010年に辞任。信報には特約評論員として記事は書きつゝ秋田国際教養大学でも客員教授を務め、CY梁の施政についての論評はCY梁から名指しで言論干渉を受ける。かなり異色の時評家なのだが如何せむ文章が難解で長文すぎ。その練乙錚が「《信報》突停練乙錚專欄 總編輯稱改版」と一昨日の蘋果日報に記事あり(こちら)何事か、と思つてゐたら昨日の信報に練乙錚本人による「別了《信報》 」掲載される。今年になり経営難を理由に稿料半減、で七月廿八日に編集長から新紙面を理由に連載打ち切り告げられたといふ。これについて本日信報に林行止専欄が「香港大氣候人謀不臧 信報小氣候不惜人才」と題して自身がかつて社主主筆であつた同紙が練乙錚の記事掲載絶つたことを避難。これについての記事は「林行止斥《信報》總編有辱斯文」(蘋果日報こちら)。前述の練乙錚と林行止の信報記事富柏村顔本(こちら)に引用あり。それにしても反中共の雑誌焚書扱ひで出版人が拉致され香港独立の本土派の若者は立法会選挙出馬拒まれ練乙錚のやうな多少、本土派の主張すら新聞社が追ひ出す風潮。まさにファッショ。銅羅湾書店事件こそ中共の特務による仕業だが立法会選挙条件だの信報の練乙錚解雇だの中共ではなく香港の自主規制なのが怖い。何度も引用してゐるがChris Patten卿の恐れた “My anxiety is this: not that this community's autonomy would be usurped by Peking, but that it couhd be given away bit by bit by some people in Hong Kong.”なのである。少なくても反中共の立場とる言論人の主張であるとか、ネット上で中共のことを一党独裁専制などと言ふのは「まだ」許容されてゐるが(中共国内なら当然だがネット上でも、いや網上「だからこそ」ご法度ご法度)この拙綴の中共悪口日記日本語だらうが「香港=中国国内で書かれてゐる」なんて理由で潰される日が来るのかしら。

股間若衆―男の裸は芸術か

股間若衆―男の裸は芸術か

2016-08-01 台風接近

fookpaktsuen2016-08-01

農暦六月廿九日。久々に台風が香港直撃ださうで午後三時には警戒シグナル3に。この信号は元々は1から10まであつたがf:id:fookpaktsuen:20160803163049p:image:w200:left複雑といふことで今は1、3、8と10だけに。香港から800km圏で1、400kmで3、直近となると8で学校ばかりか会社から金融取引まで中止とわかりやすいが元々の信号を見ると5〜8は同じ風力でも風の向きの違ひで、これを8にまとめてゐる。今でこそ紛らはしく思ふところだがテレビやネットなどない頃は天文台に掲げられた旗や夜間の信号で台風の具合を知り海上運輸の参考に。それは命や商売にかゝはる大事風向きだつたでせう。風も強くなり始め早晩に外でおち/\晩酌もしてはをれぬ、と早々に帰宅して晩酌。晩九時前にシグナル8となる。

▼「 」用ゐる表現にこゝまで意図意識しなかった。朝日新聞政治部次長面白い指摘(こちら)。「 」に意味を持たせる記事のため引用部分は「 」が使えず《 》となった。

《アベノミクスは、確実に「結果」を生み出しています。しかし、まだ道半ばです。これからも、さらにアベノミクスのエンジンをフル回転させることで、全国の皆さんに景気回復の実感をお届けします》

参院選の投開票日前日、7月9日付朝刊に載った自民党の広告。結果にカギカッコ

政治的責任というもの徹頭徹尾結果責任であります》(丸山真男政治的判断」)

だが結果を「結果」にしてしまえば、あら不思議永遠に留保可能結果責任回避し続けられる。

去る6月1日の首相記者会見もなかなかに奇異だ。話し言葉だと全く気づかないが、官邸ホームページを見ると、リスク危機、悲観、新しい判断、国民の信を問う、などなどにカギカッコがついている。そこに脈絡は、ない。

たかがカギカッコ、されど政治権力に多用させてはいけない。カギカッコでくくられた言葉はゼリー状にゆるみ、批判が刺さらないから。読みも字面もそのままに、意味自在に変えられるから言葉が変われば、強権をふるわずとも、成り行きで世界を変えられるから。だから――。

FT記事May is right about reforming capitalism” by Philip Stephens(こちら)。日経翻訳記事資本主義改革 英首相の覚悟」あり(こちら)。

(要旨)メイ氏は行き過ぎた資本主義を見直すと同時に、格差を解消し既得権益と戦うことを約束した。経済の仕組みを改善する様々な提案。近年の歴代首相が追求してきた都会中心の新自由主義の推進に加担したことはないということ。英国の資本主義が行き過ぎた状況にあることを理解しているのは明らかで、その点について何かをなし遂げようとしている。国民投票はEUのやることへの拒絶であるのと同じくらい、エリートと自由市場経済の仕組みに対する不満の表明だった。欧州全土でポピュリストたちの動きが勢いを増しているのも同じ理由だろう。

2016-07-31 都知事に小池百合子

fookpaktsuen2016-07-31

農暦六月廿八日。快晴。昼に上環で叻沙啜り香港大学図書館。早晩に家人と西營盤で待合せ。皇后大道にしと水街の角にDerby Westといふパブあり其処で一酌のつもりが廃業。近くのバルで¿Una copa de vino tinto de la casa, por favor?となる。久々に光記。口開けの客となつたが直ぐに満席。数ヶ月前に「改装中」で数日休んでゐたが果たしてどこを改装したのか?美味いからいゝが。家人が来たことのあるといふPing Pong 129といふバーに飲む。元々は傾斜地のビル地下にあつた卓球場を改造。一寸いゝインド産のトニックウォーター使つたジントニックが一杯HK$140也。悪所っぽく演出する酒場と、悪所たる卓球場のどちらのほうが魅力的か、というと俄然、後者である。空港からリムジンバス帰宅

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▼都知事選で小池候補当選彼女の見事な政治の「読み」で当然の結果。f:id:fookpaktsuen:20160804215325j:image:w300:right以下、畏友M記者の所感引用。東京都知事は本来は実務のポスト政治家イデオロギー丸出しに国政を云々するところに非ず。反安倍政権、護憲を争点にした鳥越は出る選挙が違うんじゃないのか。増田担いだ与党の自公は都政の責任をどう総括?……と思ふと2人と比べて小池ネガティブな要素が少ない。この新都知事はタカ派と見られてゐるが元々は保守リベラルの日本新党の出自政治家としての勝負のために党派を渡り歩いてきたわけで必ずしも尖鋭なタカ派思想の持ち主に非ず、基本的に担いだ人に迎合。野党も各党派は早いところ新都知事と手打ちして自民党や右翼から小池を剥ぎ取つて組むといふ手もアリ、と。だから結果論だが民進党は小池が自民党の支持蹴つてまで出馬表明した時に「鼻をつまんでも小池」で小池候補を取り込むべきだつたのだ。まだ遅くはないが。今回も共産党の出方次第か。

天皇の生前退位について「陛下のお気持ちの表明が先行しそうな今回の事態」について元政府高官は「皇室と官邸の信頼関係は保たれているのだろうか」と危ぶむ、皇室のあるべき姿にこだわる安倍首相が負担軽減といふ目前の課題に柔軟に対応できるかが問はれている……と朝日新聞。長州閥にとつて皇室など据ゑられた神棚であつて神棚神様勝手に動かれるのはさぞや不愉快なはず。聖上の思し召はこれまでも今後の天皇陵の小規模化や火葬など、いずれも明治以前に倣ひで生前退位もその流れにあると原武史毎日新聞)。明治以降に造られた近代天皇制こそ伝統からみれば異常。

常無常人常無常人 2016/08/03 16:08 新都知事登庁初日の記者会見で、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトじゃありませんが、ダイバーシティ、それは都議会マターなどのお言葉、言葉の理解はともかく聞いて気持ちのいい人が東京に200万人以上もいるってことですね。こういうこと言う人なら化けられるのかもなあ、と。ヒラリー・クリントンの指名受諾演説聞いていたら愛国万歳やらスキャンダル乗り越えた家族愛にあふれていてネトなんとかが泣いて喜びそう、英語だけど。野党の皆さん世の中こんな感じなんでポピュリズム勉強してください。

2016-07-30 深圳で土用丑の鰻

fookpaktsuen2016-07-30

農暦六月廿七日。午後、深圳入り。羅湖の入境で列の前の女性がやたら時間かゝり何事かと思へば韓国旅券の顔写真と本人の人相が合はぬとf:id:fookpaktsuen:20160731114607j:image:w280:left職員が通関に応じず本人は韓国のIDカード免許証など見せて本人であること力説。まるで勧進の読み上げで、職員と本人の問答は冨樫弁慶の如し。で深圳に入り国贸の蕎麦人弁慶に。フランチャイズ展開の蕎麦人だが此処だけ「弁慶」名乗り背景は知らぬ。繁盛してをり二階に通され菊正宗を冷やでコップ酒。茄子煮。あれれ?と思つたらメニュー一新で蕎麦がない。辛うじて「日中麺二色盛り」と称して日本蕎麦と中華麺のもり蕎麦あり。二色蕎麦といふと普通は更科と田舎蕎麦とかだが珍しいので食してみる(M記者より蕎麦といへば、の山形新庄にもこの「盛合ひ」あるといふ)。群馬S氏から姫路駅の「まねきの駅そば」は中華麺をうどん出汁で供すといふ話も。茶人の久が原T君から茶の開祖・村田珠光曰く茶の湯の極意は「和漢の境をまぎらす」……なるほどw。私としては蕎麦屋が在ることは本当にありがたい。だが海外で一番定着しない日本料理が蕎麦か。寿司、天ぷら、鰻からうどんまではいゝが蕎麦の旨さはわかりづらい。天ぷら蕎麦ならいゝが蕎麦だけ啜り蕎麦粉の香りだの喉越しなど六ツかしい。この店も天ぷらや刺身などが主となつてゐる。蕎麦人はネットで見たら近くの粤海酒店にも店があるやうで、そちらは蕎麦が主なのか覗いてみよう、なんて酔つた気分で思つてゐたら外は突然に黒雲が覆ひ地響きのやうな雷が続き土砂降り。雨は歇むのを待つたが弱まつたなか向西路まで歩き按摩。昔ならこんな雨なら市街は水捌け悪く洪水のやうだつたが路上の水たまり避ければ歩くのに難儀せず。湖北から出稼ぎの按摩子に退屈な按摩仕事だがお客さんとこんなに面白可笑しく話せるなんて、と笑はれる。アタシはフーテン寅さんか。雨も歇み傘を閉じて国贸に戻る。広州N氏と南湖路の酒田。鰻の蒲焼。いつも繁盛する肆で早晩から予約で満席だが次から次への客があり外で待ちとなるほど。あとになつて今日土用の丑と気づく。この土用丑には蒲焼を深圳の地元客で知る者も少なからず。それにしても女給たちの愛想、人柄のいゝこと。忙しいのに何か一言感謝がこもる。近くのバーPにボトルが入つてゐたので数杯。羅湖のステーションホテル宿泊のN氏と羅湖まで夜な夜な漫ろ歩き。昼間の雨で少し涼しいf:id:fookpaktsuen:20160731164511j:image:w250:left

▼日銀の追加緩和で総裁黒田某曰く物価2%上昇は「できるだけ早期に実現」。2年の約束が既に3年。出来ぬ理由を石油価格大幅下落や中国の経済成長不透明にする。さういふ外的要因のリスク考慮した上で実現できなければ国策としての経済プランなど無用。このまゝ大規模な金融緩和政策続行では中央銀行による国の借金穴埋め(財政ファイナンス*1)に繋がるリスク懸念されるが黒田某曰く「全くさういふ考へはないし実現のために必要にして十分な金融緩和を行ふといふことに尽きる」。リスクがあるか?と質せば「ない」と断言できるやうな虚言癖、妄想癖のある輩に中央銀行トップ任せるとは。

▼相模原の施設での殺傷事件につき最首悟さん*2曰く、この事件犯行者の異常さ強調が目立つが犯行の手口など「正気」(東京新聞)。被害者家族には謝罪し、本人の倫理としては殺人は認めぬが生産能力のない者は国家や社会の敵であり、さうした障害者を殺すことは正義など見なし誰かが国家のために彼らを始末しなければならない、と考へる確信犯。これに共感する輩もゐるだらう。優生保護の考へだけでなく安楽死や尊厳死も一歩間違へれば怖さ。

事件後、政府は措置入院の見直し検討するという。だが、ある精神科医は「大麻の影響は長く続かず興奮状態になることも珍しい」「性格店員なら薬は効かない」と話す。生きづらさを増す管理の強化。それは再発防止に逆行しかねない。(牧)

この事件の居心地の悪さは障害者に対する偏見自分たちの中にも広くある感情からではないか、と高村薫。障害者が生活から施設隔離され共生の機会が少なく自分にはさうした偏見はないと思つても、それは幻想で誰にでも「怪物」は潜んでゐる、と。筒井康隆のいふ誰にでもある殺人狂気

天皇の生前退位につき官僚中の官僚石原信雄君曰く「天皇制問題は憲法9条などよりもさらに重要問題」。おいおい、と思ふが平和についての理想論の9条に比べ現代日本にもまだ一木一草に宿る天皇制で〈國體〉あり。近代に出来た政治装置に過ぎないはずなのだが。石原君の言ふ通り「天皇制議論を先にすべきだといふ声が出てくると安倍内閣がめざす従来の改憲議論が後回しになる可能性」。7月の参院選が晋三にとつての改憲に向けての分水嶺だと思つてゐたが、まさか選挙後に「聖上のご英断」といふカードがあらうとは。

D 中国共産党のテレビCMが登場。これも電通?w

*1財政ファイナンスは「国債のマネタイゼーション(国債の貨幣化)」とも呼ばれ国(政府)の発行した国債等を中央銀行が直接引き受けること。これは中央銀行が政府に対してマネー資金)をファイナンス供給)することであり政府の厳しい財政状況において財政赤字の拡大や穴埋めの支援策として中央銀行が直接協力することを意味する。iFinance

*2東大教養学部助手のときに東大闘争で助手共闘会議のメンバー。東大助手を27年務め水俣病調査等に加はり和光大で教授に。三女がダウン症。

2016-07-29

fookpaktsuen2016-07-29

農暦六月廿六日。早晩に銅羅湾で散髪。HMVトミカ日産セドリック2000GL(1975年)と懐かしい「いすゞ」のHillman Minxを贖ふ。ヒルマンミンクスにお洒落して乗りたいわ。帰宅して浅蜊のパスタ。AustraliaはClare ValleyのGrossetでSpringvale Watervale Riesling 2014年飲む。ピアノストの中村紘子さんご逝去。陋宅に4冊の随筆あり。本当に素晴らしい文章家でもあつた。『ピアニストという蛮族がいる』でホロヴィッツの言つたといふ「世界ピアニストには三種類しかいない、ユダヤ人ホモと下手クソだ」の言葉の強烈さ。この文庫中古amazon10,092円なのだといふ。この方が可愛らしい少女昭和40年ショパンコンクール入賞(この時の1位がマルタアルゲリッチ)が日本の高度経済斉唱の中で「うちの子にもピアノを習はせやう」にどれだけ影響を与へたか。物故といへばケーズデンキ創業者の加藤馨氏が今年三月に逝去されてゐたと今日まで知らず。私にとつては水戸の下市にあつたカトーデンキ。小1の時にラジオが欲しいと父に強請つたら「ダメだ」と言はれると思つたのに「昔は自分で作ったんだが」と言つてスバル360でカトーデンキに私を連れてゆきSonyの小型トランジスタラジオを買つてくれた。そこで作業ジャンパー着て店番されてゐた社長がこの方。他の地元の感電店がいはゆる白物家電ずらりと並ぶなかステレオや最新型のテレビが並んだディスプレイだつた記憶。そのあと何十年も記憶が飛び水戸のバイパス沿ひにケーズデンキといふ大きな家電店あり「こんな大型店が進出してきたら地元の家電店はたまったものじゃないね」と呟いたら妹に「ケーズってカトーデンキでしょうよ」と教へられ、かなり驚いた。なぜこのK’sやコジマ、ヤマダなど大型家電チェーンが皆、北関東三県なのかしら。

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▼香港の長寿世界一についてSCMPの記事こちら)より。専門家は香港の喫煙対策の早期実施など挙げた上で

“Hong Kong is a city. Japan is a whole country,” he said, explaining that Japanese living in rural areas may have worse nutrition than Hongkongers as well as less accessibility to health care and education – factors in life expectancy. “In general, people in the city have longer lives, and people in Hong Kong have good access to education, clean water and electricity,” he added.

と「おい、おい」な発言。都市は医療福祉など整備されてゐるが辺境は……と。日本なら都会より田舎暮らしのほうが健康的、なのだが。この人の想像する辺境は(中国のやうに)民度が低い、医療福祉は乏しく学校教育すら不十分。それに対して都市たる香港は教育やきれいな水(どこが?)や電化で恩恵を得てゐる、と。この香港の長寿につき劉健威兄は、こんな悪い環境の中で長寿の原因は「風水が良い」とでもしか言ひやうがない、と。あるいは「内地じゃなくて良かった」といふ精神的安定も長寿の一因か。

▼聖上が生前退位につき8月にお気持ち表明の方向で宮内庁が調整の由。平成の玉音放送、ご当今さま乾坤一擲と申すべき御大事と久が原のT君曰く皇室典範と齟齬しない文脈で如何に「お気持ち」を正確に伝へ得るか、現代日本語で最も高度な作文例となりさう。聖上御自らは涼しいお顔で凄いことをサラリとのたまひさうだが平成の一番暑い夏、忸怩たる気分で脂汗は官邸、日本会議神社本庁、竹田宮家くらゐかしら。f:id:fookpaktsuen:20160729195011j:image:h220:left

The Economistの表紙に日の丸を背景に晋三。矢の向きが何とも微妙。Abenomics - What it can teach the world?(こちら)って答へは明確で“Abenomics is a paper tiger”でせう。これまであれだけアベノミクスに期待をかけたThe Economistが“Compared with its own grand promises, Abenomics has indeed been a disappointment”とついに不評をコメントf:id:fookpaktsuen:20160730064022j:image:h220:right

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If companies are determined to spend far less than they earn, some other part of the economy will be forced to do the opposite. In Japan that role has fallen to the government, which has run budget deficits for over 20 years. Mr Abe set out intending to rein in the public finances. But after a rise in a consumption tax in 2014 tipped Japan into recession, he has backed away from raising the tax again.

消費増税による歳入の確保、高齢化と少子化に対して外国人の受け入れなどアベノミクスの成功本来必要政策決定の先送りでは成功があるはずもない。

Abenomics has fallen short of its targets and its overblown rhetoric. That makes it easy to dismiss as a failure. In fact, it has shown that central banks and governments do have the capacity to stir a torpid economy. And in some senses, the hype was needed. Japan’s stagnation had become a self-fulfilling prophecy; Abenomics could succeed only if enough people believed it would. This is a final lesson that Japan’s economic experiment can impart to the rest of the world. Aim high.

と苦言するのは先進国病から脱出には(サッチャーのやうな)強引な妄想のやうな「かうすれば立ち直る」といふ処方箋を信じる思ひ込みも必要。それなのに自分たちで病状の未回復を嘆くばかりで抜本的な治療をしない。今回、晋三が日銀黒田と蒔いた追加緩和といふカネが異次元相場介入でどこまで有効なのか、これが最後の賭け(これも失敗なのだが)。“Aim high”といはれても、ねぇ。結局、アベノミクスは(最初から判つてゐたことだが)失策。それでも欧州など日本に続く経済病の国はこの日本の画期的政策を見習ふべき、と、このへんがThe Economistらしさ。確かに少子高齢化や市場開放など対応比較成功してゐる欧州なら、この経済刺激策は有効だらう。でも「アベノミクス」といふ呼称だけは不愉快なので止めてくれたまへ。

▼もう一つ、The Economistから記事は相模原の殺人行為について。拳銃による殺人が1.26億の人口で昨年1件しか発生してゐない日本(さうなの?)は“Still safe”(こちら)。このやうな殺傷事件の発生で「激増する凶悪犯罪」とメディアは踊り「真相究明に全力をあげる」と晋三が宣つてみせても他の先進国に比べてば市民安全脅かされてはゐない。むしろ危険なのは過剰反応、と。御意。池田小での児童殺傷で学校は校門を閉じ守衛を置き子どもたちは世の中は危険場所と教へられる。読売新聞施設の防犯安全強化を訴へ(てみせ)る。さうしたことをしても

it is hard to protect everyone from the actions of an unstable citizen who is determined to do harm.

と、それが事実。だがそんな当然のことをいふ言論がないのだ、日本には。

ジャーナリスト森健氏の「野党以上に敗れたメディア」(毎日新聞)より。国民の多数が憲法改正について国会の「3分の2」規定をよくわかつてをらず、それでも改憲は「晋三の政権で」には抵抗あつても改憲議論には大方が前向き。国会議員も同様。だがどこをどう変へるか、は曖昧。自民党のトンデモ草案も疑問深まらず。大学生の「憲法をふだん考えておらず、改正には抵抗はない」といふコメントが、これが世間の無関心な空気に近い、と。かうした無関心層をいかに議論に引き入れるかとメディアに求めるが、メディアがさうしたところで無関心層には何も響かず。

2016-07-28

fookpaktsuen2016-07-28

農暦六月廿五日。いくら何がなんでも夜中に目覚めたら2時はつらい。2時半くらゐに眠れず起きて朝の5時すぎに1時間ほど二度寝f:id:fookpaktsuen:20160729131125j:image:w180:leftほんとうに老人生活。老人といへば世界平均寿命発表され香港が男女とも世界一長寿311のあと日本の平均寿命が一瞬下がって1年だけ女性で香港がトップになつたが、また日本を抜く。男性も香港がトップ。日本人男性は酒とタバコで少し低いのか。香港で、こんな生活条件の悪いのになぜ?と思ふが、空気も水も悪いなかで鍛へられるからか。いずれにせよ老人がよく街に繰り出してゐるのも長寿の一因か。それにしても新聞の朝刊を読むにも早すぎる。新聞といへば昔は新聞キオスクコンビニで床から平積みだつたもの。それが今ではフリーペーパーには朝から老人たち長蛇の列でも、有料紙はコンビニで一番売れ筋の蘋果日報、東方日報すら十数部しか仕入れてをらず。人気のない大公報など党紙は部数も少ない上に一番下段に置くとは、けしからん

自転車で転倒して頸髄損傷で交代論強まる自民党の谷垣幹事長。麻布から東大法出の弁護士で宏池会エリートながら民主党政権時代自民党総裁で続投あきらめ晋三に譲り宏池会ながら晋三のファッショ政権支へる幹事長といふ立場。それでこの怪我で政治生命も終はりか。情けない。運も政治家には大切。この人の功績?といへば「加藤の乱」での加藤紘一慰留くらゐ。あれさへなくて加藤紘一が反乱起こしていれば「たられば」だが晋三の非立憲政治など現れたかしら。少なくても保守リベラルがこんな為体にはなつていまい。自民党といへば自主憲法制定を党是と信じてゐるが一橋大の中北浩爾教授政治学)の「自主憲法制定は自民党の党是たりえるか」といふ指摘(こちら)より要旨。

確かに1955年の結党時には「現行憲法自主的改正」は「綱領」の下の「政綱」の最後の一項目。憲法は票にならない。池田勇人高度経済成長では自主憲法は棚上げ。宏池会。河野洋平総裁のでの綱領文書の一つ「新宣言」では「新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民と共に論議を進めていきます」。後藤田は「リベラルとは新しい保守だ」と語り現行憲法自主的改正を「復古主義」と斥ける。

晋三らの巻き返し。これはリベラル色強い民主党の台頭で、対抗上自主憲法の制定が自らのアイデンティティーの中核に。「自主憲法の制定」が不動の党是というのは一種の「創られた伝統」。憲法改正を目指すとしても現行憲法肯定的評価するのか、否定的に捉えるのかは党内でも異論あり。「野党第1党と合意できる憲法改正を目指すべき」は、民主党との差異化を図るあまり復古主義的な改憲案を作成してしまったことへの反省か。

重要なのは「党内の意見多様性を大切にしつつ国民の声に応じて柔軟に変化してきた自民党の歴史を再認識すること」と中北教授。つまり晋三の自民党ではダメといふこと。

池澤夏樹氏の朝日新聞連載(終わりと始まり)で「難民問題を考える」(こちら)より。

今の日本で安楽に暮らして、アイドルやポケモンGOに熱中しているあなたは、自分がなんとしても国を出なければならない事態想像できるか?ジャスミン革命は中近東の多くの国に波及し、たくさんの独裁者が倒れた。しかしその後に安定した政治体制が作られた国はほとんどない。では、どこまでも腐敗する独裁政権と各派が乱れて戦う内戦状態と、どちらがましなのか。英語でなら、betterではなくless worseを問うべき事態。しかもこのシリア的状況はISことイスラム国などを通じて世界中へ浸透している。乱世はすでに始まっている。

日経夕刊で読んだリービ英雄随筆「新宿で買った原稿用紙」(こちら)より。日本の文人気質

紀伊国屋を出て、歌舞伎町に向かおうとする。「日本の現代文学」の場所から官能がうずまく無秩序の、「新宿」の最も新宿らしい領域にちょうど足を運びだしたところに、原稿用紙の売り場があった。

ニューヨークにも似た知性と自由、それにアジアの路地混沌とした感性、その両方を奇蹟的に備えた新宿で、自分体験した「現代」を、母語英語ではなく日本の都市の言葉で、「おまえも書いてみたらどうか」と誘惑しているように、日本にしかない形の白紙がぼくの目に入った。

四百字詰の原稿用紙を二百枚、そこで買った。そして荷物に入れて、太平洋の上を飛んでいった。アメリカ入国した際、税関では見慣れない所持品について、「Japanese manuscript paper」と説明したところ、不思議な顔をされた。

新宿で買った原稿用紙をスタンフォード大学にもって帰った。カリフォルニアの太陽の下で黄ばんだ紙の、その縦の線にすこしずつ、断片的に、日本語文章を書いた。

その文章がやがては「星条旗の聞こえない部屋」という小説になった。その小説紀伊国屋のあの棚に現れたとき、ぼくにとっての一つの「新宿」が完成した。

2016-07-27

fookpaktsuen2016-07-27

農暦六月廿四日。快晴。一昨日、使つてゐない写真機をいじってみてRicoh GRも手軽なカメラなのに、すっかりご無沙汰してゐた。あらためて手にすると、やはり格別なカメラ。晩は陋宅で鯖缶つかつた冷や汁。麦飯。酒は薩摩酒造で明治の正中。食後の記憶ほとんどなし。朝の4時に起きてゐれば、さすがに夜はもたない。

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2016年最低賃金の目安を時給で24年値上げで822円に、と政府与党(日経朝刊1面トップ)。この24円が過去最高なんださうで、低所得者には一律1万円の現金支給。こんなことでアベノミクス失策の誤魔化し。消費増税も延期で税制改革もなく財源も確保できない中でのかうしたばら撒き(それにしてもセコい額)が結局のところ将来の財の前倒しの食ひつぶしであること。日経とて、さうしたことに目を瞑つたまま政府の広報紙の如く景気回復音頭取りが情けない。f:id:fookpaktsuen:20160728112912j:image:w300:left

▼ポケモンGOは話題にするのもウンザリだが、さすが山寨の国・中国では、すでに中国の伝説に出てくる神や妖怪をポケモン同様にゲットする「山海経GO」なるゲームあり。久が原のT君曰く伝奇地誌よりも仏典で「法華経GO」や「華厳経GO」を期待したい、と。普賢菩薩や善財童子を捕獲……恐れ多くもありがたや。確かにポケモンよりご利益ありさう。

▼相模原の施設での殺傷事件。実行者の男が警察から送検される際に自動車の中から何とも気狂ひな笑みを浮かべた写真新聞に。本来容疑者の姿などあらはにせぬべきところ。前代未聞の猟奇的殺人で警察による容疑者曝け出しは私刑的。晋三は「真相究明と再発防止に全力をあげる」と。真相究明って気狂ひの犯行以外の何物でもなく「再発防止」が強い。更なる監視カメラ設置や少しでも異常行動の市民監視警察国家化。麻薬取締りも厳しくなり大麻にとつてはとんだ迷惑のはず。風が吹けば桶屋が儲かるで、この事件でかなり世の中を変へるのだらう。

新聞は何かを知ろうと読むのだが、日本の全国紙で了見の狭さに呆れることも多い。その中では毎日が一番マシではないか、と思ふ。海外特派員リレーエッセイでエルサレム支局の大治朋子特派員がトルコから伝へる「沈黙の代償」(こちら)も良い記事。この方の視点から記者自身人格まで素晴らしいのでは?と思へてしまふのは私だけかしら。

テレビや新聞は、軍人の蜂起に刃向かった市民の「勇気ある抵抗」や、政権ないしエルドアン氏の「決然とした対応」を延々と繰り返す。クーデターの背景を探ったり、政権のありように鋭く斬りこんだりする多様な分析はほとんど見られない。

地元紙記者によると、こうした「沈黙」は3年ほど前からじわじわと拡大している。反政権デモに参加した若者らはその後、逮捕されたり、ソーシャルメディア政権批判を書いただけで拘束されたりして「就職できなくなった人も少なくない」。

トルコの国是は世俗主義。だがエルドアン氏は国家のイスラム主義化を目指しているように見える。そしてナショナリズムの高揚。今のトルコは、そこに違和感を覚える者には実に居心地が悪い。

3年前、治安当局の催涙ガスを浴びながら、政権言論統制批判し続けた若者たちの姿はもうない。若者が萎縮し押し黙る社会は、健全とは言えない。次世代の「沈黙」は、国家の未来の危うさを意味する。いずれ重い代償となって、トルコの未来に跳ね返るのではないか。(エルサレム支局

▼憲法9条につき「自民党では改正すべきと考えている人が大部分」だが「したいと思っているができない、できないことはしない」と自民党で高村総裁。下手に憲法の9条改正で顰蹙かふより「永遠の与党」こそ自民党にとつての夢では。

2016-07-26

fookpaktsuen2016-07-26

農暦六月廿三日。朝、お天気雨からかなりの驟雨、雷。海南島のほうに進む台風の余波で天気不安定。早晩にFCCで数日分の日記まとめる。よくいろ/\覚へてますね、といはれるが覚へてゐるはずがない。すべて手帳に綴つたメモに依る。シャルドネ二杯飲んだところに家人来て公司三文治頬張り市大會堂へ。Arcadi Volodosのピアノリサイタルf:id:fookpaktsuen:20160728040301j:image:w280:left音楽会は昨年11月下旬に深圳での牛牛のピアノリサイタルが聴いた最後で、香港ではその数週間前の香港シンフォニエッタでポッペン指揮でAurélien Pascalのチェロシューマン協奏曲以来。で、市大會堂に着いたら開演10分前なのに開場もされてをらずロビーも活気がない。ん?と思つたら演奏体調不良で来港せず中止の張り紙。20日の決定ださうで、いちいちコンサート直前に文康署のサイトなんて見てもゐないがチケットはUrbtixのネット上で購入してゐるのだら連絡をくれてもいゝものを。ネットで購入したチケットを公演日直前まで発券してゐないと丁寧に電話くれるのだから。窓口で返金。客をホールに入れてから小澤休演告げた水戸芸術館のこと思ひ出す。夏恒例の香港書展閉幕。ついに行かずに終はつてしまつた。192万人だかの入場者ださうで須磨帆とゲームの時代に香港の読書熱は高いが銅羅湾書店事件以来「政治的敏感」な書籍の扱ひに自己規制的な動きあり。

▼相模原の施設で元職員の気狂ひが夜中に忍び込み入居者を大量殺傷。この犯人容疑者)の名前施設に近い住居まで報じられてゐるが精神異常といふことで刑事責任不問となつたらどうするのかしら。施設収容されてゐた被害者は障害者といふことで名前公表せず。これも微妙新聞は(日経だつたか)「社会覆う「憎悪犯罪」の闇」だとか「攻撃の矛先が弱者に」と仰るが憎悪犯罪は昔からあるし(それがなければ南北の芝居などネタがない)、弱者攻撃対象にされやすい。この出来事が「平成以来死者数最多」で「戦後最悪」といふが平成以前にこれ以上の死者数出した大量殺人があつたのか、戦後最悪なら戦前は?……で思ひ出したのは横溝正史の『八つ墓村』のモデルとなつた昭和13年の岡山の津山事件。これは村八分と困窮の恨みからの村人虐殺犯行者も辛い環境にあつたわけで今回の相模原の状況ともちと違ふか。朝日新聞は「容疑者から大麻の薬物反応」と大騒ぎ(こちら)。今年2月に異常言動見られた措置入院時のことださう。これで「大麻危険キャンペーン開始。普通大麻ハイになって大量殺人は思ひつかないと思ふのだが、元々よっぽどヤヴァい患者さんだつたのだらう。でも、そんな事実はどうでもよい。ただ大麻取締り強化にはうってつけ。

▼「スマホで引き出し三菱UFJ導入18年春、大手行で初」と朝日新聞1面トップ(こちら)。Visa payWaveやApple Pay以前の技術。朝刊1面トップにするネタか。須磨帆で銀行口座から現金引き出しで近くのプリンタから印刷できるやうにでもなれば大したもの。そんなことより国のプライマリーバランスが5.5兆円の赤字で依然、黒字達成は困難のほうが深刻で、こんな記事が夕刊の3面にベタ記事扱ひで、どうするのか。新聞の1面トップといへば今晩、FCC男子トイレの小便器並ぶ壁に掲げられた新聞で紐育時報の1面トップから“Hong Kong Graft Buster’s Exit Stirs Fears Over Agency’s Independence”(こちら)と“Mortal to Divine and Back: India’s Transgender Goddesses”(こちら)。この記事の格調の高さは日本の新聞には望めない。

2016-07-25

fookpaktsuen2016-07-25

農暦六月廿二日。晴。早晩、帰宅途中に太古の岡田屋に寄る。菊正宗は昨年末から品薄だつたが改装後の岡田屋には一升瓶で在庫あり有難い。f:id:fookpaktsuen:20160726184204j:image:w170:left写真機収納ケースの乾燥剤も詰め替へ贖ひ帰宅して早酒しつゝ写真機取り出し素振りとホコリとり。写真を撮らないのは甚だカメラに失礼。昨晩から頭痛ひどくGastroenteritisのやう。夕餉は肉骨茶。頭痛薬飲んで早寝。

都新聞に月一で日曜に連載されるキーン先生の回顧談。今回は源氏物語英訳で後世に名を遺すアーサー=ウェイリー先生との交はり。Waleyをウエーリとカナ書きするキーン先生漢語、蒙古語からアイヌ語ユーカラまで解し日本語は平安の言葉に通じても現代日本語は尻間栓、が素敵なウーエリ。いつか、この英訳源氏を読みたいもの

▼都知事選、小池優勢、追ふ増田、鳥越苦戦と朝日新聞。鳥越君選んだのは民進党。今更だがほんと民進党(旧民主党)は政権についた後はロクなことをしない。先の参院選の野党統一候補だつて共産党の先導あつてのこと。この都知事選とて左翼リベラルは宇都宮君で民進党は自主投票とするか、小泉三世らと組んで小池女史を担ぐ選択もあつたはず。小泉君といへば「あれ、なんだよ、オレが小池さん応援したら進次郎を除名するの?、驚くね、自由も民主もないよ」と苦言の宜(山田孝男、風知草より)。さうは言つてもアンタが「自民党をぶっ壊す」と宣つた結果がこれなんだから責任とりなさいよ。