富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

水戸蜀葵

fookpaktsuen2013-03-04

農暦一月廿三日。昼からのミーティングでiPad miniにデータいれてゐたのはいゝがiPad miniから投影機につなげるのアダプタないのに気づき九龍塘の蘋果商店に寄ると平日昼間の空いた時間にオバチャン相手の蘋果入門講座。仲良しのオバチャンたちのまぁ賑やかに「それ、アンタ、違うわよ、操作が!」と楽しそう。みんなi Padに好きなカバーなどつけて、iPadがなかつたらオバチャンたちがこんなに気軽にハイテクにならなかつたと思ふと、やはりスティーブ=ジョブス氏の素晴らしさ。MacBookの電源アダプタの香港仕様のソケットも外で使ふのに一つ足りなかつたので「ある?」と店員に尋ねると商品として売られてをらず、それぢゃ次回、深圳ででも買はうか、と思つたら、すると店員君が店の奥から「これ余ってるからあげますよ」と。なんて親切なのかしら。晩にスープをいれるのに、先日、澳門のスーパーで購つたリプトンの紅茶カップを使つたら、「あら、柄が見えない」と思つたらアタシは右利きで、このカップは左手基本。普段、何もそんなこと気づかずにゐた、といふことは、それだけ右利き社会なのかしら。左利きさんは裏を見ていることが多いのか。もしかすると右利きの人を基準にしてカフェとかで相手とか外に「リプトン」のPRが出来ることを意図したカップ、なの鴨しれぬ。ただお湯の量の「建議」も左利きしか見えないので、やっぱり左利きスタンダード。
▼昨日「水戸蜀葵」について綴り、花草木のことなら村上湛君に尋ねると……と書いたら早速ご返事あり。湛君は茶道・江戸千家の機関紙(孤峰、昨年六月号)に「あふひ」については既に考証されたさうで、その原稿読ませていたゞく。「蜀」字の義については未踏査、としつゝ湛君、白川博士『字通』は蜀字に「孤立する」意を説き、確かに蜀葵は一茎だけ見れば亭々と孤立して咲くもの、と湛君。迂生浅学も少し調べてみたが湛君の指摘が正しく、花は確かに連なつて咲くが一茎、一茎が株から独り立ち茂り、で語義通りで「蜀葵」となる。蜀の国も今の四川で中原から見れば孤立かも。ところで更に興味深いことは湛君の上述「藝能百花撰〜その十三・ふたつの葵」は実に興味深く「葵」について言及があるが結論だけ摘んで綴ると平安の昔から「あふひ」は明確に2つに分別されており①アオイ科の花を愛でる「タチアオイ=蜀葵=唐葵=Alcea=Hollyhock」(写真左)と②ウマノスズクサ科の葉を愛する「フタバアオイ=细辛=Asarum=Wild Ginger」(写真右)とは似て非なるもの。で「徳川御三家の水戸でサッカーチームのロゴが二葉葵から転じた徳川葵を用ゐたのはいゝが、チーム名をホーリーホックとしたのは不正確、と知る。水戸ワイルドジンジャーぢゃ悪役っぽいが。神武東征の八咫烏を旗印にした鹿嶋ナンタラは些か僭上の沙汰ながらマシか、と湛君。ちなみに玉蜀黍はトウキビ=モロコシ=唐黍=蜀黍で、トウモロコシに漢字当てる場合に唐唐黍、蜀蜀黍となつてしまふため玉の字を代替で用ゐたといふ説もあり。
▼都新聞先月二十七日の「本音のコラム」で斉藤美奈子女史が「あれ、おかしいな。安倍首相の選挙スローガンは「日本を取り戻す」じゃなかったけ? これではまるで「日本を差し出す」じゃないの。……と軽妙にTPP批判。最大の成果が「聖域なき関税撤廃が前提でない」といふ言質取り付けたことで「首相の姿勢を評価」(朝日)「TPP参加の国内調整が急務」(読売)、「TPPで早く存在感を」(毎日)、それに日経も産経もTPP歓迎の大政翼賛。それが地方紙では、と斉藤さんは全国紙の宣ふ「成果」に批判が目立つこと指摘し全国紙が異常なのだ、と。御意。その他に原発ゼロ見直しや普天間基地早期移転など国民合意なき事案を他にもホイ/\約束で、日米関係良好なら全て良し、国内の異論はアトで封じる、首相はそれでいゝだろうが重要な案件を手みやげにされた側はたまったもんぢゃない、と。まっとくその通り。