富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

リップヴァンウィンクルの花嫁

fookpaktsuen2016-03-18

農暦二月初十日。気温が少し上がり朝の濃霧は視界ゼロ。早晩に太古城のCityplazaで家人と待ち合はせ王家沙で腹ごしらへして映画館で岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』(こちら)観る。日本での公開は今月二十六日ださうでネタバレになるやうなことは書かない方がいゝが一言でいへば不思議な話が続くけれど結局のところ主人公の七海(黒木華)の余りの優柔不断さ何も考へてゐないバカさに起因する話で、この娘がもう少しマトモだつたら何も起こらなず、でも現実にもさういふバカ娘はゐるから、この映画が非現実的とはいへないはずで、少なくても現実の人々の生活がかなりネットで繋がつてゐるといふ現状や、結婚式で親族を演じる疑似家族の、新婦が重婚を隠してといふ披露宴が終はつた後の、この疑似家族での打ち上げシーンなど印象的で面白い光景。だが、この疑似家族で七海の姉役になつた真白(Coccoが好演)の登場から何だか余りに突飛な展開を見せ、そも/\余り売れてゐないロートルのAV女優が本業の真白がなぜあんな収入と蓄へがあるのか、は現実にあり得ず、話の後半 岩井俊二が物語をまとめきれてゐない感あり。極度の人見知りの七海がネットで知り合つた安室(綾野剛)はその詐欺師のやうで「あ、これは七海がこの安室の所為で不幸になってゆくストーリーなのか」と早合点すると最後まで安室は七海に優しく接し続けるばかり。これは岩井俊二のお手柄で、安室のトリックスター的存在は面白い。しかも安室のシーン毎のファッションコーディネートの変装的な着せ替へだけでも見てゐて楽しい。結局、見終はつてみると七海の人生の再スタートで「で、いったい何なの、つまりは」と思ふ。「リリイ・シュシュのすべて 」も当初の少年期の不安定な世界からネットのヴァーチャルな世界との交差で何だかよくわからないまゝ終はつてゐたが、物語の最初は面白いが後半の展開で散漫になることは文芸作品では少なからずよくあること。真白の母役でりりィが好演、さすがの存在感見せてゐるが、あのシーンの展開はちょっとないでしょ、あまりに。ちなみに下記の予告編は全く意味不明で本編にもないシーンでござい〼
MTR站コンコースのタイル仕様は站毎に基調色が異なり印象的だが殊に壁の局面の面取りのタイルの使ひ方に特徴があり、これが興味深い。それをFacebookに出したら少なからず、この局面の面取り好きがゐることを知つた。
東京新聞夕刊の文化欄が面白い。曼谷から作家の加藤英行の「現実は手ごわい」といふ文章の筆致。大波小波(懐疑派子)の「入試から小説が消える」。そしてちばかおりの「ハイジが生まれた日」といふアニメ「アルプスの少女ハイジ」制作にまつわる1970年代前半のズイヨー映像での高畑勲宮崎駿小田部羊一らの当時の奮発ぶりの連載も面白い。