琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒

三浦しをんさんの直木賞受賞作。
文藝春秋発行という点を除いては、今回の直木賞レースでは、ほとんど無印に近い扱いだったのですが、非常に読みやすい良作だと思います。そういえば、「めった斬り」のなかで、「これはBL(ボーイズラブ)小説なんじゃないか?」という感想が出ていたのですが、
http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/topic/literaryawards/060710_4th/index3.htmlを参照)
僕も正直「いい話」なんだけど、これって、「女性が描く、ちょっと歪んだ男の友情モノ」の典型的なパターンのひとつだよなあ、と感じました。この本には、主要登場人物としては、「感情を持った女性」がほとんど描かれていませんし。多田の「打ち明け話」には、「女って、結婚って怖いよなあ」と思いましたけど。だって、そういう話って、僕たちの周りにもけっこう転がっていますしね。
そして、他人を許せない自分が許せないっていうのも、「そういうのってあるよなあ」と共感してしまいました。
ただ、この場合多田は悪くないよね絶対。それでも、心が動いてしまうことがあるのが人間。

しかし、女同士って「ルームシェア」とかやりますが、男っていうのは基本的に共同生活ってしませんよね。大人の男同士の共同生活って、僕にとってはそれだけですでにファンタジーなんだよなあ。僕は読みながら、ちょっと気恥ずかしかったです。
結局のところ「異性からみた男同士の腐れ縁」って、こんな感じなんでしょうね、たぶん。

高校生の本好き女子とかには、けっこうオススメできると思います。ちょっとオトナの男の世界を垣間見たような、そんな気分になれますぜ。
まあ、こういう「読みやすくて、面白い本」が、直木賞を獲るというのは、悪いことじゃないとは思うんですけどね。

ネガティブ・ブックマーカーを撃て!

「知識が理解を妨げる。」(by「うさたろう日記・はてな版」)
http://d.hatena.ne.jp/usataro/20060729#p2

↑の記事を読んで、僕が考えたことなど。
こうしてWEB上に文章を書いていると、当然ながら、さまざまなリアクションが返ってきます。まあ、実際は「さまざまな」と言えるほどたくさんのリアクションがあることは、めったにないのですが。
それで、そういうリアクションの中には、当然「賞賛」「肯定」もあれば「批判」「非難」「否定」もあるわけです。多くの書き手はどうだかわかりませんが、僕は基本的に小心者で他人の目が気になるものですから、たとえば「はてなブックマーク」で批判的なブックマークコメントを書かれていたら、やっぱり気になるわけです。
それで、気になった挙句に、その人のブックマークには、他にどんなものが取り上げられているのか、見に行ってみたりもします。
しかしながら、そこに並んでいるブックマークの数々が、「これはひどい」というタグのものばかりで、ブックマークしている人の罵倒のコメントがずらっと並んでいたりすると、僕の心は落ち着くのです。
「ああ、この人は、所詮他人を否定することによって、自分を偉く見せようとしているだけの『知ったかぶり君』なのだな」と。
そんな「自分が批判できるものばかり、自分の周りに集めている人」は、全く怖くないのです。その「つまらないものの城」のなかで、どうぞ存分に朽ち果ててくれればいいさ。
「ブックマーク」というのが、「本棚」みたいなものだとすれば、自分が文句を言える本だけを本棚に並べ、他人にそれを見せびらかしながら、「どうだ、この本はつまんないだろ!俺にはそのつまんなさがわかるんだ」とばかり「自慢」している人となんて、誰が友達になりたがるでしょうか?多くの人にとって、「つまらないものを見つけた俺自慢」をのんびりと聞いていられるほど、人生は長くない。
にもかかわらず、WEB上の「ブックマーカー」には、そういうのを世界に公開している人が、けっして少なくないのです。
周りは、「彼(あるいは彼女)が嫌いなもの」はわかるけれども、何が好きかは全然わからない。
いや、「自分が批判できるものが好きな人」なのかもしれませんが。
物陰に隠れて射撃しているつもりで弾を撃てば撃つほど、その人の「居場所」は明らかになっていくのですけど。

逆に、他のエントリは褒めていたり、褒めるべきものは褒め、批判するべきものは批判する、というスタンスの人のブックマークコメントで批判されると、正直ちょっと凹みます。自分が間違っているのかなあ、と悩んでみたりもするのです。
「いつも毒舌」だと言う人にどんな厳しいコメントを書かれていても、「ま、犬ってのは吠えるものだからね」としか思わないけれど、いつもニコニコしている人が急に怒り出したら、自分が悪かったのではないか、と考えこんでしまいますし。

ブックマークしている本人は、「上からの目線」で、あれこれと「辛口に」論評しているつもりでも、それを「○○さんのブックマーク」としてまとめてみると、周囲からは、単なる「偏った考えの人である証拠」にしか見えていない場合というのは、けっこう多いのです。

僕は恋人でも友達でもないあなたの「きらいなもの」になど興味はないので、赤の他人にもオススメしたい衝動にかられるような「誰かに読ませたいもの」「好きなもの」を教えてくれませんか?

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