日本語の作文技術
作者:本多勝一
出版社:朝日新聞出版
発売日:1982/1/20
評価:★★★★★
- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 1982/01/14
- メディア: 文庫
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色々な記事を読んでいると、たまに本当に綺麗な文章を書いている人がいて、とても羨ましく思う。
僕の後輩にもそれはもう美しい文章を書く女の子がいる。
話を聞いたところ、彼女は小さい頃から文章を書くのが大好きで、書き続けていたら段々文章を書くのがうまくなっていったそうだ。
内容を充実させるためには資料を集めればよいが、美しい文章を書くのは一種の才能だと思う。
ただし、美しい文章とわかりやすい文章とで当然意味が異なる。
本書では「美しい文章」を一種の才能とし、「わかりやすい文章」を書くのは才能ではなく技術の問題だとした上で、その「わかりやすい文章」を書くための技術を紹介している。
「わかりやすい文章」を書くコツ
修飾語
- 修飾する言葉と修飾される言葉を近づける。
- 長い修飾語は前に、短い修飾語は後に。
- 大状況から小状況へ、重大なものから重大でないものへ。
- 節を先に、句を後に。
句読点
- 列挙には中点を使う。
- 句読点は字と同じか、それ以上に重要。
- 長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界に点を打つ。
- 点(読点)の基本的な意味は、思想の最小単位。
- 接続語を強調するための読点。
- 「カッコ」と読点は何の関係も無い。
その他
- 一つの文の中で三つ以上のハはなるべく使わない(二つまでとする)。
- 漢字と仮名を併用すると分かりやすいのは、視覚としての言葉の「まとまり」が絵画化されるから。
- 段落のいい加減な文章は欠陥文章。
- 「ように思われる」という言い回しは社説用語であり、真に「ように思われる」とき以外には使わない。
- 鈍感でない文章の終極点はリズムの問題。
- いきなり本論・本舞台という書き出しは最も無難な引きずりこみ。
- 具体的事実を書くということは、大げさな修飾語をやめるということ。
- 取材が十分にできていれば、文章は多少下手でもカバーできる。
以上まとめ。
書いていて自分の文章に変な所が無いかすごく不安になってきた。
一応意識して書いたつもりではある。
今までこういったタイプの本を読んだことが無かったので、すごく参考になった。
僕は書評の記事を書く際に五段階で評価をつけているのだが、初めて最高評価をつけた本である。
文章が上手く書けないと思っている人や、句点や読点の使い方など基本的な日本語の技術を知りたい人には是非読んで欲しい。
作中では島崎藤村・森鴎外・夏目漱石・志賀直哉・井上靖・川端康成などの文豪の文章が紹介されていたのだが、こういった視点で読んでみて改めてその偉大さを実感した。美しい。