電力自由化の狙い。小売から海外へのシフト。自然な流れ。

電力自由化は、大きな市場を持つ東電にとっては、他社から侵食されるだけでメリットはないと思っていたが、それは内需しか考えていない狭い見方であった。

9/3日経「電力大手、海外で稼ぐ」は、電力大手やJパワーが積極的に海外進出を行っていることを報じている(下記の表を参照)。つまり、海外は儲かる。
外需を視野に入れると、電力自由化後の業界見取り図は大きく変わる。

自由化後の国内市場の収益性は次のようになるだろう。
配送電 > 発電 > 小売
配送電は、寡占化が維持されるので今のスマホキャリアーのように超過収益を得られるはずだ。
発電は、規模の経済が効いてくるので大手電力会社に有利である。
小売は、競争が最も激しくなるので低収益になる。

このような見取り図から、凡庸な経営者でも、供給義務の無くなった大手電力会社は小売から撤退して、浮いた経営資源を海外の発電事業に投じることが考えられる。
電力会社は、安定収益の内需型企業から高収益の外需型企業に変身するのである。もしかすると、電力会社株は買いなのかもしれない。じっくり考えても時間の余裕は十分にある。

経産省のお役人はここまでを視野に入れて電力自由化の構想を練っていたのだろう。恐るべしである。

9/3日経「電力大手、海外で稼ぐ」「発電出力(05年から)10年で5倍」「アジア・中東に活路」
記事のデータから作表。ぬけの多い表であるが、今後の大きな発展と高収益であることがわかる。

- 電力会社 15年6月末の発電能力(万kW) 営業利益率(14年度)% 営業利益全体に占める割合(同)%
Jパワー 680 29.0%
中部電力 340
東電 300 29.0 5%を大きく上回る
- 8電力+Jパワー 1,630
- 電力会社 25年度の発電能力(万kW) 営業利益率% 営業利益全体に占める割合%
中部電力+東電 3,000 ?
Jパワー 1,000
九州電力(30年度) 500
- 8電力+Jパワー(30年度) 4,700を上回る