不惑で上京

★不惑で上京

リストラ解雇された後に、東京で再就職したブラック企業を退社した後に、実家に戻らされた田舎者の独り言。

『ボクたちの交換日記』観た。残酷で満足な青春映画。

超大都会の夜景

http://koukan-nikki.jp/
http://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=009920

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130308/1047986/


今年最初の映画館は、内村光良監督第2作目。

本当なら
先週に観る予定だったが、土日とも休日出勤を強いられ断念。
週末に観る予定だったが、天気予報が大荒れと煽っていたので
昨晩
仕事が終わった足でレイトショーへ出かけた。

レイトは、お子ちゃまが居ないので鑑賞環境が改善するし。
(東京は未成年の夜半鑑賞に制限は無かったっけ?)

終電車や終バスを乗り継ぎ、日が変わって帰宅。
そんな綱渡りでも帰宅できる東京は、便利な町・大都会(の辺境)。



ウッチャンは前作「ピーナッツ」と同じく監督・脚本を担当。
本作では主演(出演)は無く、裏方である監督業に専念。

前作は「おじさんへの挽歌」だったので
本作は「若者・若手への賛歌」と思っていたが
各映画サイトで拝読した以上に
残酷な現実を見せ付ける脚本・展開に驚いた。




一応、ネタバレ注意。ダラダラと思いつくまま。



●全体の感想。

ウッチャン、実は千葉県が好きか?
1作目の監督&主演「ピーナッツ」も当初は千葉県を舞台に構想していたし。


幾つかの有益な映画サイトやブロク等を拝読すると「泣ける」とあったが
実際それほどでもなかった。

ケチを付けているのではなく、私自身に「諦める夢」が無いために
物語に没入できなかったの。


夢の有無に年齢は関係ないが、若さは、それだけで才能。
幾らでもやり直しができる。

あとは、夢を追う/諦める彼らを支える女性もね。
ウッチャンの理想で現存しない、神様か仙人のような女性像だったが。


そう考えると私は才能も女性も「何も持ってねぇな」と、帰りのバスで寂しくなった。
持ってないから、持てないんだよ。

でも、観るんじゃなかったとは思わなかった。




ナレーションと字幕(テロップ)でテンポ良く話が進んだ。
解散確定からラストシーンまでは、若干の急加速な展開で戸惑ったけど。


ネタ帳は大学ノートに縦書きなんだ。
話が展開変する時は風が強くなるのは、定番の演出か、偶然か。

「前説」は、売れている他の芸人を目にする屈辱的な仕事らしい。
チャンスを掴むものと思っていた私には、意外な事実。

回想シーンでの学ラン姿は、それだけでコントとして成立する。
プールで泳ぐ二人を天井から撮った画は、並走・交錯のイメージかな。
そして肉体美でファンサービス。


そもそも話だが、舞台は千葉県なの?
電車を乗り降りする場面が多々あったが、富津岬を自宅に戻って調べると
東京(三軒茶屋とか)から気軽に行ける場所ではないと思うが
やたらと出ていて印象的だった。

本作のメインであるコントの、スベる場面は本当に痛々しかった。
ネタだけでなく、誰も聞かない雨天やショーパブなど雰囲気などもね。
ウケるネタは面白かったから、主演から「白鬼」と恐れられた指導の賜物。


日本人の琴線に触れる花・桜が、冒頭からラストシーンまで効果的だった。
ラストライブの公園の山盛り桜と、病院の丘の一本桜が印象的。
撮影期間に対して季節の移ろいが早かったので、どこかの季節はCGかな。


あと
私は余り他人を悪く言いたくないが、甲本のバイト先で「元芸人」と言った奴


死ねばいいのに!と思った。




●音楽(武部聡志

コクリコ坂から』の音楽を担当して知った方。
ピアノ中心の構成で、軽快軽妙なタッチの曲調が多かった感じ。
パンフレットで『ウリナリ』モテないブラザーズの指導をしていたとあった。
へぇ〜知らんかった。
富津岬の「明治百年記念展望塔」で流れる曲が特に良かった。



●キャストを通した感想メモ。

▼田中洋平(伊藤淳史
W主演の片方。
縦書きでは最初に書かれるということは主人公?

田中そのものや、コント場面は「さすが」の一言だったが
チャーハン(←監督の大好物(笑))作りでフライパン(中華鍋?)を振る手つきが
若干、怪しかったのは現実の世界で家庭を持っているからか?

売れない芸人=低収入=貧乏だが
麻衣子と初デートではファミレスでそれなりに食べていたし
同棲してからは、プレミアムモルツも買い置きしたりと
コスト感覚に鋭く、必要な投資は惜しまない堅実家。

コンビの先が「見えた気がする」と思った矢先の解散宣言で
どれだけの失望や怒りを抱いたか、私には解散の経験が無いから分からないが
確かに、あのフェンスを叩く場面は逸品だったので
「今に見ていろ」的なエネルギーを感じた。

17年後に、甲本の娘・サクラを迎えた場面は
マネージャーが帯同し、個室の楽屋(?)を与えられる程に偉くなっていた。
今ならウンナンダウンタウン級の扱いなのかな。

少しずつランクアップする人生。

ラストシーンの「嫌です」は私にも読めたぞ、監督



▼甲本孝志(小出恵介
W主演のもう片方。

いまだに『梅ちゃん先生』の竹夫で生真面目な印象だが
甲本は、確かに雑・ガサツだった。
ガッツある役柄は、竹夫になく新鮮だった。
竹夫も色々と回り道をしたがスマートな社長という印象なのね。

そしてヒモ。
そんなグータラでも久美に好かれる性格・人間性を、私も欲しい(笑)

社会見学で作った数百万円の借金は、引き抜いた形の川野が肩代わりしたのかな?

「写真、撮ってもらえますか?」はベタだが、コンビ芸として面白かった。
白鬼の熱血指導の成果もあろうが、やはり実力派俳優なのだろう。

大舞台でセリフ・ネタが飛ぶ、は
演奏会で楽譜が記憶から飛ぶ、に通じて
(プレッシャー的には天と地ほどの差はあろうが)
その焦りは手に取るように分かったので
観ながら息が詰まった。

お笑いの能力がないというより、運が悪かったと思いたいが
実際は、能力・実力・センスが無いから、大事な大会で二度も失敗したのかな。
そこを気付かせた川野は、ある意味、人生の恩人なのかな。

コンビ解散後のピンの仕事が打ち切りになり
田中の成功を見て
「夢を諦めた」のは、余りにPTA的な脚本・演出で興醒めな所もあったが
奇跡の逆転劇など、早々にあるものではないリアルさはあった。
夢やロマンではメシは食えないからね。

実際、できちゃった結婚したカップル的には、どうなんだろ?

内村作品唯一の”嫌な奴”樋口に対する
「やったことない奴が偉そうなこと言うんじゃねぇ」は圧巻だった。

いや、まあ、現実、他人にケチをつける人は沢山いるが
過去を馬鹿にする奴は、一刻も早く死ねばいい

サクラの言葉からすると、夢だった自分のお店を持てたようで
それなりに成功した人生を歩んだ様子。

主演の最後を病気で処理するのは、少女マンガチックでアレだったが
先が短い(荷物の整理していた)ことを差し引いても
もしかしてパート2があるかな?と思わせる感じに受け取れた名演技だった。


病と闘う車椅子姿は、実家の親父を思い出して、泣いた(笑)



▼新谷久美(長澤まさみ
キャストプロフィールで『コクリコ坂から』を挙げていてくれて
ありがとうと嬉しくなった。

同じショートカット女優でもガッキーでは不可能な、大人の色気。
キャバクラ嬢の演技は、演技と思えない妖艶さ。
(キャバクラ行ったことないけどw)

低収入の甲本に家を提供(同棲)し、お小遣いまであげて甲斐甲斐しく支える。
確かに絶滅危惧種
ってか、もはや存在しないだろ。
こんな男のどこに惹かれたのか、勉強のために聞きたい。
結果的に夫を失う(っぽい)妻なワケだが、幸せな人生だったのかな?

濃厚なベッドシーンもムンムン(笑)だった。
モテキ』もこんな感じだったのかな?

監督!薬局の場面では、ナースルックだろ(笑)

パンフにもあったが「お疲れ様でした」は本作屈指の名演技
泣きはしなかったが、こんな女性と巡り合いたい。
無理だけど。
 ↑
そうか、この出会いを「夢」にして生きればいいのか!
・・・いや、ハナっから諦めているから無理。

次だ、次



▼宇田川麻衣子(木村文乃
ちふれ
影のある可愛さ。
憂いのある優しさ。
梅ちゃん先生」では、小出さんの嫁さんになったが
本作では田中の嫁。

確かにTSUTAYAの制服が似合い、ファミレスの場面は初々しかった。
田中の素性を知っており急速に仲を深めるのは若干
電車男的な素敵な展開か?(実際は知らんけど)

コンビ解散後に”田中夫人”になり夫が大成功。
先見の明がある。
家はボロアパートから豪邸、ディナーはファミレスからナイフとフォーク。
夕餉に時間を費やせる=専業主婦か?

17年後はロングからショートになっていた。
カツラかな。似合う。可愛い。
長年苦悩した夫を「ずっと意地を張ってた」と背中を押す重要な役どころ。



▼甲本サクラ(川口春奈
17年後の娘。
そりゃ父母が美形だもの!と思わせる美少女。
(両親に似てないとか言わないの)

出演時間は短かったがセリフはキャストいち大変だったとか。
テレビ局の田中の部屋での長台詞かな。
今の相方の現実を語る、チョイ役にしては随分とオイシイ役所だった。

ちゃんと演技を見たのは初めてだが、どこに出しても恥ずかしくない娘さん。



ベッキーベッキー
私もファン。
幸運の女神役で本人役。
ほんの少しの出演だが演技というより素のままだった。
友情出演だとか。イッテQつながりの出演かな。

カウントダウンTVネオで「キミ、ウッピーね!」と(演出で)毒づいていた
頃が懐かしい、すっかり売れっ子。



カンニング竹山カンニング竹山
こちらも本人役で友情出演。
ベテラン芸人役。
不幸な形で相方を失っただけに、心中複雑だった?

ウッチャンが監督ということで緊張していたそうだが
芸人=その役に成り切るプロの役者、だから自然な演技だったと思う。



▼紺野(大倉孝二
たぶん『アフリカのツメ』で知った俳優さん。
時々拝見するが余りの懐かしさに目頭が熱くなった。
甲本に残念会を開くなど、良い先輩仲間。

人生は、仲間に恵まれると、辛くても楽しい。
私も、苦難の大阪時代を乗り越えられたのは、仲間・いい先輩後輩が居たから。
東京の友人は、たった一人で、もう半年会っていないが、時々頼りになる有り難い存在。

一人じゃないって、素敵なことね〜♪



▼川野純也(佐々木蔵之介
テレビ業界に、こんなスタイリッシュな人っているのかしら?
田中の才能を見出し、甲本に現実を見るよう仕向ける、仕掛け人。
策士に見えて実は、若者に人生の歩むべき道を示した、いい人に映った。



▼BB・福田(ムロツヨシ
初見と思ったら「ピーナッツ」で共演していたとか。何役?
失踪した相方を捨て田中とコンビを組んで爆発した同じ解散経験者という感じで
それ以外ほとんど印象に残っていないのが残念。



▼その他
入江雅人さんが先生役でご出演。美味しく笑いを掻っ攫った。
遠山景織子さんが役所の受付嬢でご出演。拝見したの笑う犬以来かな。
豪華なチョイ役。

お笑いバトル「笑軍」で無数の無名コンビが出ていたが
見た目のインパクトがデカいニッチェは知ってた。
マセキ芸能者所属のバーターかもしれないが、何等か面白いコンビという印象はある。



●結論?
結局みんな家族を持ち、甲本は病気になったが、ハッピーエンド。
ウッチャンらしい、幸せな人生を送っている人々の空気感がムカついた。


何なんだよ(-_-#)
 ↑
逆恨みです。

人間、一人では生きていけない、仲間っていいな、という
当たり前だが大事なことを、芸人人生を通して描いた、良い作品。
観て良かったよ♪

自分の情けない人生・現実も改めて味わえたし。







結局、嵐になるといわれた土曜日は、午前中は降らなかったじゃん。
雨が降る前にスーパーにお買い物に行った以外は引きこもり。

2週間、働きっ放しだったから、いいお休みになったと前向きに捉えよう。