平成16年(わ)第726号の第八回公判の傍聴の続き。



本日2人目の証人に対する弁護側からの尋問に入る前に一悶着。


弁護側は、「47氏」は今回初めて出てきたので次回も本日2人目に対する尋問を行いたいとした。
検察側は、「47氏」の証拠である甲131-142号証はかなり前から提出していると反対した。
弁護側は、提出されたのはかなり前ではなく、被告人=「47氏」と特定した理由は平成17年1月14日付の意見書で提出されたばかりであると反論した。
公判内ではその理由は先ほど出てきたところですが、すでに意見書として提出されていたようです。
そして、弁護側からの尋問が始まりました。

PCは昭和63年つまり17年前から利用し、インターネットは平成8年から使っている。
IT関連の資格は持っていない。
警察内部でIT関連の講習は教養レベルであったが、その具体的な内容は忘れた。
平成15年9月頃に捜査に加わってからWinnyを知った。
捜査以外でWinnyは使っていない。
京都府警内にWinnyを個人的に使っている人が結構いたということは知らなかった。
Winnyの使い方は、前任者から教わったり、ホームページやネットランナーなどの本を見ることにより習得した。
被告人のホームページでその利用法の説明を見たことはない。
Winnyにヘルプ機能はない。
Winnyについての知識は(?)、自分では素人レベルだと思っている。
Winnyの捜査にはかなりのインターネットの知識が必要である。
今回1人目の証人、第六回公判の1人目の証人は自分よりもインターネットの知識がある。
第三回公判の1人目の証人は自分と同じ程度、平成15年11月27日に被告人宅へ行った巡査は自分よりもインターネットの知識はない。
前回1人目の証人のインターネットの知識は分からない。
幇助事件の捜査では班長を務めている。
具体的な指示は上司の警部から受けており、それ以外からの指示は受けていない。
幇助事件の捜査手法の提案はほとんどが自分がしており、今回1人目の証人は正犯の捜査手法を提案していた。
被告人を逮捕するまでは今とは別の検事が担当しており、警察側の窓口は自分と上司の警部が行っていた。
班の中では主導的な立場にいた。
班は常に本事件に関わっているが、班員は他の事件で抜けたりすることもあり、3〜6人程度で変化していた。
ファイル共有ソフトの勉強をし、拡散型や1対1型などがあることを勉強した。
捜査当時、ファイル共有を肯定、否定するなどの意見は持っていなかった。
Winnyと他のファイル共有ソフトとの違いは、ファイル共有ソフトWinMXWinnyくらいしか知らないのであまりよく分からない。
KaZaANapster(?)は名前だけ知っている。
班員は第三回公判の1人目の証人や平成15年11月27日に被告人宅へ行った巡査であり、第六回公判の2人目の証人は一時期抜けていたときもあるが班員である。
今回1人目の証人は別の班に属している。
Winnyの機能的なところは自分でも勉強するし、班会議でも勉強する。


平成15年11月27日の一斉捜査で、誰がどこへ行くかは、正犯を担当していた警部と自分の2人で決めた。
自分は愛媛の正犯、正犯を担当していた警部は群馬の正犯宅に行った。
京都府警の作業責任者は第六回公判の2人目の証人か誰かである。
トラブル時の連絡体制は決めていなかったが、最終的な判断は当時の室長が決める立場にいた。
第六回公判の1人目の証人が「自分が判断を決める」と言っていたのは、彼が自分に同行していたからだと思う。
送信実験をした時の京都府警の設定は第六回公判の2人目の証人によるものであり、その設定は知らないが、具体的な設定は彼に任せた。
愛媛の設定は第六回公判の1人目の証人が行ったが、群馬の設定は誰がやったのか分からない。
送信実験時、自分は正犯の少年の母親の対応をしていた。
送信実験でファイルサイズの大きなファイルが送信できなかったのは知っている。
小さなファイルで実験するように誰が指示したのかは、分からないのではなく知らない。
どうして送信できなかったかは聞いていない。
その後、送信できなかった理由は誰からも聞いていないし、捜査上重要であるとしていなかった。
先に正犯は現に送信しているので、その日は送信に成功しさえすれば良かった。
キーロストは後から聞いたことで、自分はその表示は見ていない。
本から得た知識では、キーロストとは一般的に相手が切断したときに生じるものだとあった。
自分はWinnyの切断または光などの回線の切断によるものだと考えている
どこかに書いてあったが、Winny tipsページや配布ページではないサイトで、情報の出は明らかではない。
ソースの押収は正犯の裏付けのためと今回1人目の証人、自分、正犯を担当していた警部の班会議で決まり、上司の警部にお伺いを立てた。
自分は検察に相談していないし、上司の警部が検察に相談したかどうかは分からない。
どうしてソースを押収するのかという議論は出なく、正犯の裏付けのためだけに行った。
ソースの解析は五条署長の名で出した。
プログラムソースの解析は3回の報告を受けているが、まだすべては終わっていない
プログラムの解析は正犯の裏付けためであったが、解析を待たずに正犯の事件は終わってしまったことになる。
今回1人目の証人に送信ファイルを渡したのは自分ではないが、誰かが渡した。
基本的には自分か正犯を担当していた警部が検証で行うことを聞くが、(先に聞かずに)個人的に検証を行うこともある。
Winny2のダウンロードサイトが閉鎖されたことについては班会議では出なかった。
今回1人目の証人から事後報告として聞いているが、その時に証拠隠滅の可能性があったのではないかなどの意見は述べていない。
Winnyには他のファイル共有ソフトにはない機能があるなどということは捜査会議では出ていない。
平成15年12月20日頃に上司の警部から幇助の可能性で調べて欲しいと言われた以前には、被告人には著作権法違反や幇助の疑いは無かった。
どの点で幇助かは、正犯2名がいたのでその幇助である。
幇助の要件は、著作権法違反の蔓延を意図としているためである。
捜査会議では幇助の要件について議題に上がっていない。
法的なことは上司の警部や今回1人目や他の人に相談した。
自分は検察に相談していないが、上司の警部が検察に相談したのではないか。
幇助の疑いで捜査すると上司の警部に結論を聞いた後に幇助で動くことにした。
客観的な要件の検討は、自分では客観的な要件を著作権法違反の蔓延を意図とする目的だと思っていたが、これは主観であるかもしれない。
主観と客観の違いは、刑法に疎いため、自分の中ではよく検討できていない。
法学部で大学を出ているが、刑法の授業を取ったかどうか分からない。
WinMXの配布が幇助になるかどうか自分は検討したことがない。
Shareは名前しか知らないが、Shareの配布が幇助になるかどうか自分は検討したことがない。
著作権団体と接した回数は分からないがあまり多くはない。
被告人が作者であることは、自分が捜査に入ったときにはすでに分かっていた。
被告人のWinnyIPアドレスは調べていない、というか分かるはずがない。
配布ページのIPアドレスを調べたかどうかについては、「配布ページのIPアドレス」がよく分からない。


甲35号証について

直接著作権者に確認したのではなく、(すでに報道で出ているので)ACCSに一括して鑑定を依頼した。
正犯の時にはACCSとの窓口は自分と自分か正犯を担当していた警部であった。
GBAのゲームはゲーム画面を出したことはあり、同梱されていたエミュというソフトでやった。
基本的にはGBAの本体ではなくてPC上でやらなければならなく、そのためのソフトがエミュレータである。
市販されているかどうか分からないがフリーではないだろうか。


甲112号証について

Winny2 Web Siteをすべて自分で見て検証した。
「これらのソフトにより違法なファイルをやり取りしないようお願いします」という文を見たことがあるが、この文は形式上のものだと思う。
当時の被告人の本心は分からないが、著作権侵害を意図としているのではないかと考えてはいなかった(?)。


甲119号証について

「4.捜査結果」において、「被疑者が自己の技術力の高さを認識している」と書いているが、もとは「技術を買われて東大に来ている」であり、記載内容をそのまま短くしただけではない。
他何点かも同様に記載内容をそのまま短くしただけではないところがある。


甲120号証について

Winnyに関係するものを探し、共犯がいるかどうかを調べた。
共同して開発しているなどの記載のあるメールはなかった。
ここに書き出した3人以外は(メールのやりとりで)Winnyを知っている人はいない。


甲96号証について

ほとんどがコミックであり、全てのファイルの内容を確認し、全てファイル名と内容が合致した。
ウィルスが同梱されているファイルは多々あった。
Winnyを使ってダウンロードしたと判断した理由は、ファイル名と中身は違うものもあるが、ファイル名の頭に ゲーム 映画 などのクラスタ分けの語句があり、その後にタイトルがあったためである。
一般的には合致しない場合があるが、8割9割は合致する。
添付資料にある画像は、平成15年11月27日に被告人宅へ行った巡査に無作為に選択しろと言って選ばせた結果であり、幼女の裸体が描かれた画像がある。
弁護側は、成人コミックの割合は全体の19.27%(?)であり、選択したファイルがアダルトな内容になる確率は3.7%になると説明した。>


甲149号証について

アダルトファイルが多々あり、その中から無作為に10枚選んだ(?)。
具体的件数はアダルトが39ファイル、全体のファイル数は2069ファイルであった。
幼稚園児が10枚のうち3枚あったが、これは無作為に抽出した結果である(?)
平成15年11月27日に被告人宅へ行った巡査に「無作為に選べ」と言った結果である。
「182個のファイルがニュースやCMなど著作物ではないもの」と記してあるが、これは誤りである。
ニュースやCMが著作物であることは他人から聞いた(?)。
平成16年6月4日以降にも著作権法の本は勉強のために見ていて、それ以前にも読んでいた。
大学で著作権法の勉強をしたかどうかは覚えていない。


甲154号証(?)について

一覧にあるファイルは中身を確認していない。
著作権者が誰であるか、その著作権者に許諾を取っていたかどうかは確認していない。
被参照量はネットや雑誌から得た知識である。
ネットのどこから得たかは覚えておらず、2chはあまり見ていないし、解説サイトかどうか分からない。
雑誌とは、ネットランナーなどの雑誌である。
被告人に被参照量の決定法は聞いていなかったのではないかと思う。
被参照量の値は実験により確認しており、ローカルの中で外には繋がない環境で実験した。
PC5台でLANを組んで、5台でWinnyのネットワークを作って実験した。
ファイルが1回ダウンロードされればファイル1個分、2回ダウンロードされれば2個分のファイルのサイズが表示された。
常にそのように表示されると考えている。
弁護側に近くのノードの中で一番高い被参照量の値を取ってくる仕組みになっていると説明される。>
被参照量は実ダウンロード数よりも高くなる可能性がある。
この仕組みは今知った。


甲156号証について

ダウンロードデータは自分が確認し、種別等は自分の判断によるものである。
5番目のファイルは、ファイル名にいろいろ記載されているファイルだが、複数のウィルスであった。
78番目のファイルは、ファイル名に「個人撮影 援交中学生」などとあったが、児童ポルノかどうかは覚えていない。
確認したものの中に児童ポルノに該当するものがあり、それは著作物だと記載している。
12番目のファイルは、ファイル名に「盗撮」とあるが、内容は覚えていない。
カメラが固定式かどうか分からず、固定式のカメラでずっと写しているだけのものかどうかは覚えていない。
物事を単純に撮影しただけのものは著作物ではないと知っている。
「盗撮」と書かれているファイルの著作物性を確認するためには単純に撮影されたものかどうかを区別する必要があるがそれはしていない。
13番目のファイルは、ファイル名に「無修正」とあるが、どのようなものかは覚えていない。
その時の判断は無修正とし、著作物であると判断した。
無修正画像や児童ポルノも著作物に該当すると思う。
42、43番目のファイルは、情報テキストファイルであったが、内容は覚えていない。
著作物ではないと判断したのは文字の単なる羅列だったからではないだろうか。
確認したものの中に文字の羅列のようなものもあった。
その編集などに創作性があれば著作物であることは知っている。
74番目のファイルは、ファイル名に「鋼の錬金術師」とあるが、中身は確認したところ、実内容は「うしおととら」であり、小学館の著作物としている。
(?)番目のファイルは、ファイル名に「ハッシュ」とあるテキストであったが、情報をまとめたものかどうか分からない。
169番目のファイルは、ファイル名に「合法 写真 コアラ」とある画像ファイルであった。
著作物ではないとしているが、なぜそうしたかは分からなく、今は著作物であると判断する。
著作権法の今の自分の見解では、記載したものと異なるものがいくつもある。
著作物だからといって流通したらすぐに違法になるとは限らない。
192、203番目のファイルは、ファイル名に「韓国の裏ビデオ」とあるが、実際に韓国の裏ビデオかどうかは覚えていない。
配給にもよるが、日本の著作権法の保護を受けるかどうか分からない。
「無修正」とも書いてあり、自分の認識では外国で製造されたものだと考え、保護は受けないと思う。
368番目のファイルは、ファイル名に「合法」と書かれているが、著作物である。
写真なので著作物とし、「合法」と書いてあるだけだと思う。
396、397番目のファイルは、ファイル名に「合法 ポエム」などとあるテキストファイルであり、著作物ではないとした。
内容がポエムだったか覚えていない。
ポエムは著作物であるが、内容を確認して書いているので、記載した内容が間違いかどうかは分からない。


甲159号証について

通し番号1047の下から4行目に、ダウンロードした総数(4XX?)ファイルのうち、解凍できないなどのファイルを除いた有効な369ファイルについてその内訳が記載されている。
映画や音楽などの著作物が274ファイル、児童ポルノなどの非合法ファイルが70あった。
ウィルスが6ファイルあり、これは著作物かどうか分からない。
著作物と認められないファイルが19あった。
著作権者の許諾があったかどうかは分からない。
著作物が送信されると直ちに違法となるわけではない。
通し番号1048の7行目に、公衆送信可能化とならないようにしたという記述がある。
公衆送信可能化にならないように、キャッシュファイルできてからすぐに削除した。
ここでいう公衆とは2つ以上か50くらいなのか分からない。
弁護側に説明されて> アクセスがあったときに送信可能であれば公衆送信可能化にあたるとは知らなかった
以上が2人目の証人に対する尋問でした。

裁判所は、次回は、2月25日は裁判所の都合により取り消し、3月18日に本日2人目の証人と他2名の尋問を行う予定であるとした。
検察側は、甲89、160号証の証拠取調請求と甲13、51号証の添付資料の調書添付請求をし、また、不用意な発言はやめてほしいと弁護側に求めた。
裁判所は、弁護側に対して、正犯の方での弁護姿勢についてのこともあるので今後の弁護については期待すると述べた。
本日はこれで終わりです。


ソースの解析はまだ終わっていないようですが、どこに解析を頼んだのでしょうか。
まだすべての解析結果を受けとっていないということは、京都府警は未だにWinnyの動作の仕組みを分かり切っていないということになるのでしょうかね。
発売日が未定になってしまった Winnyの技術 が出版されない理由がこれに関係あるとすれば、解析を他の所に頼み直して欲しいくらいイヤなのですけど。
甲96号証で、「無作為」に選んだ結果が、3.7%の割合の中の幼女の裸体が描かれた画像だったとはなかなかの運ですな。
甲149号証では、「無作為」に選んだ10枚の中の3枚が幼稚園児の画像なのか、10枚ある幼稚園児の画像のうち3枚が選ばれたのかのどちらかだったと思いますが、全体のファイル数から考えるとどちらであっても驚きです。
本当に「無作為」だったのかどうかが怪しいですので、選択した巡査にその「無作為」さを明確にしてもらいたいですね。
甲159号証のダウンロード実験では、キャッシュがファイルに変換されてからすぐにキャッシュを削除するようにしていたようです。
キャッシュが断片な場合でもそのアップロードは可能であり(?)、そのアップロードに制限をかけていなかったようですので、この実験の際に京都府警のPCからファイルをダウンロードしたというWinnyユーザが少なからずいそうな感じですね。