大学院はてな :: 政府認定「女性にイニシアチブを握られて骨抜きになる男」

 〈診断もの〉には近づかないことにしている。何も好きこのんで「自分探し」をアウトソ−シングする必要を感じない。かといって,〈診断もの〉の存在意義を否定することはしない。外部から「本当のあなたは××なのです」とささやいてもらうことで,精神的充足を得られる人もいるだろうから。
 そんなわけで,私は気に留めてもいなかったのだけれど,政府機関が「適性・適職診断」を提供しており,かつその診断結果に問題があるのではないかという指摘を目にした。

 診断への入口は,次の場所。
http://www.neutra.go.jp/diagnosis/
 担当部局は厚生労働省ではなく内閣府だから,フリーター&ニート対策である。
 さて,私の場合――

仕事
どんな仕事でもきちんと完成するタイプ

 会社の総務、事務、人事など管理部門や公務員。スキルを高めれば金融証券関係のアナリスト、ファイナンシャル・プランナー、公認会計士、税理士なども。学校の先生、塾の教師、ピアノの先生もOK。どんな分野でもリーダータイプの人とチームを組むと、大きな仕事を完成させることができます。
http://www.neutra.go.jp/diagnosis/result03.html

 う〜ん,現実との乖離がないから,これは話題にならない。これでも大学の教員を目指して修行中だし,副業では専門学校で公務員受験講座を担当している。塾講師歴もある。最後の一文,これは婉曲的に「人望が無いからリーダーの素質に欠ける」と言われているのだけれど,これも重々承知しているところ。ここに至る分岐チャートは,それほどおかしくないということだろうか。
 しかし,

恋愛
好きな人がいても、押しの強い異性に負けるタイプ

――うるさい(笑)
 労働法の立場からコメントすると,就労支援施策としては実効性が薄いように思える。診断結果から具体的な行動へと結びつけることをしていないし,提示している未来像が遠すぎる。漠然とした方向性の提示ではなく〈とりあえず〉できそうなことのアドバイスでなければ,ニートNEET)になるのを予防するという目標達成には繋がらないだろう。民営化されたハローワークが,通信教育講座/専門学校/私立大学と提携したり,アフィリエイトでマニュアル本を売りつけたら,いい商売になるかもしれない。
 まぁ,国家事業として職業適性診断に取り組むことについては,正面切って反対しないでおくことにしましょうか。補助金事業などに比べれば,大金がかかっているわけでもないだろうし。他に効果的な対策があるわけでもないし。
 でも,国家が恋愛診断までやるのは,余計なお世話じゃないのかなぁ。少子高齢社会対策ではないのだから(それでも嫌だけれど)。