最近買ったコミックなどなどなど

ヘルシング(8)/平野耕太

HELLSING 8 (ヤングキングコミックス)

HELLSING 8 (ヤングキングコミックス)

ワッシュさんのお薦めのヘルシングの8巻目だ!闘争!破壊!死!ロンドンはもう火の海さ!出てくる人がみんな目がいっちゃってて素敵なマンガだね!死体の出てないページなんかないぐらい殺しまくりだ!マンガの基本は死体!死体の出てこないマンガなんか読めるか!


Y十M 柳生忍法帖(4)/せがわまさき山田風太郎

十兵衛強すぎ!余裕かましまくり!会津七本槍弱すぎ!やられっぱなし!堀一族の後家七人娘は期待通り色気付いてきました!今回ははだかがいっぱいでオジサンちょっと照れちゃうな!


吾妻ひでお作品集成 夜の帳の中で/吾妻ひでお

”純文学作品集”ということだが要するに吾妻のエッチな妄想と煩悩がドロドロビロビロとだだ漏れしまくるマンガばかりだ!以前単行本に収録されていたものが半分ぐらいだが、読んだことが無かったものも多数あり、これはこれで読み応えあり。実はこの妄想ダダ漏れの時期の吾妻の時代が黄金期だと思っている。吾妻は「ギャグマンガ書くよりも楽。こんなの馬鹿でも描ける」などとうそぶいていたけれど、いえいえ、こんな漫画は吾妻さんにしか描けません。どこか胎内感覚のようなヌメヌメとした性的願望がイブ・タンギーの描くシュルレアリズム絵画の情景と合体し、赤塚不二夫ギャグマンガキャラの世界で蠢くのである。ドロドロなのに可愛らしいのだ。今の読者はこれをどう読むのかなあ。


■月館の殺人(上)(下)/佐々木倫子綾辻行人

月館の殺人 上  IKKI COMICS

月館の殺人 上 IKKI COMICS

月館の殺人 (下)??

月館の殺人 (下)??

綾辻行人という方は本格推理とかそういうジャンルの方なのだろうか、あの辺にはまるで興味が無いので佐々木倫子好きのオレとしても食指の湧かなかった一作。推理物というジャンルの、なんか頭で作っちゃってるような有り得ない・現実的でないシチュエーションの中で殺人だの推理だのが行われる、というのがオレはどうもダメで、それは結局出てくる人間が推理のための操り人形でしかないという詰まらなさが物語を読み進める気を殺いじゃうんだよな。だって、誰が殺したかなんて、オレ、どうでもいいもん。
そんな推理嫌いではあったが、この作品では佐々木倫子お得意のボケかましたキャラが物語を捻じ伏せ、徹底的な佐々木倫子ワールドとして仕上がっているのが凄い。結局誰が原作だろうと佐々木倫子佐々木倫子なのだ。


■ニッポン幸福哀歌/水木しげる

水木しげるのニッポン幸福哀歌(エレジー) (角川文庫)

水木しげるのニッポン幸福哀歌(エレジー) (角川文庫)

昭和40年代の創刊間もない『週間漫画アクション』に連載されていたシリーズを1冊にまとめていたもの。基本的には水木流の現代的なファンタジーであるが、描かれるのは高度経済成長期だった当時の日本に生きた名も無い市民達のエレジーである。経済の成長期には誰もが幸福になれたわけではない。遮二無二発展を遂げようとする資本の下で目の前に人参をぶら下げられたロバのように幸福の夢を見させられ、欲望ばかり鼓舞する経済装置の中で引き潰されてゆく人々の姿というのは、今の時代でも共通して存在しているではないか。ここで描かれるのはそんな蜃気楼のような欲望にとりつかれ、または疎外された人々の虚無と絶望である。水木のファンタジーはそれを時として毒々しくあからさまにし、あるいは既存の幸福という概念から逃走しようとさせる。そして水木の描く漫画がどれもそうであるように、どこかとぼけた味わいがあるのは、「こんなものなんでもないんだ」と悟ってしまった水木の現実への達観した視線があるからなのだろう。幸福なんて存在しない。幸福を追い求めるゲームを止める事が、実は真に幸福へ到る道なのだ。そう水木の漫画は言っているような気がする。