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関内関外日記(跡地) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013ねん05がつ05にち

アルバイト・ガール&ヤンキーズ&メロン・ソーダ

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 その地方で一番でかいらしいショッピングモールでおれが買ったのは、なぜか千五百円もする洗濯物入れだけだった。100円ショップのやつはすぐダメになるけど、それはそれで高すぎねえか。まあいい。女はなにかいろいろ買っていた。疲れたおれと女はファミレスに入った。席についたおれはiPhone腕時計指輪をテーブルに並べた。魔除けの儀式みてえに並べるんだ。でも、おれにはそうする癖がある、そんだけの話だ。

 店員を呼びつけるボタンを押したら店員が来た。若い、感じのいい女の子だった。ここのファミレスパフェみてえなのなかったっけって思いながら、おれはティラミスアイスとを注文した。女はなんかチョコアイスみたいなのを注文した。それと、ドリンク・バー二つ。あちらにございます。さいでっか。

 おれが二杯目のコーヒーを飲み終わりそうになったころ、つまりティラミスアイスもなくなりかけていたとき、新しい客の一団が入ってきた。食事時でもないし、そのファミレス湘南で一番でかいショッピングモールの中にあるわけでもなく、対面のビルの中にあってちょっと空いていて、そいつらがどやどや入ってきたのがすげえわかった。さっきの店員の女の子がテーブルとテーブルをくっつけて、どかどかと座った連中、なんつーのか、DQN? つーよりヤンキー? みてえな、おれが高校のころ読んでた漫画でもそのソリコミはねえよみてえな、そんな連中だった。やっぱここらはまだいんのかーって思ったりよ。

 で、おれは、女が自分の飼っているうさぎの話とか(おれが勝手にラヴレンチーと名付けたやつだ)、ゴールデン・ウィークに親戚を中華街接待したらすげえ人混みだったとか、そんな話をすげえ真剣に聴きながら、今どきめずらしいヤンキーくんたちから目が離せなくなったんよ。

 したら、ヤンキーくん、「ピンポンピンポーン!」って声で店員を呼びつけるボタンを再現して、そんでも横通りすぎた男の店員ガン無視で、今度はボタン連打して、さっきのこっちに来た感じのいい女の子がオーダー取りにきたわけ。そんでなんか予想通りにさ、「煙草吸えんのー?」からはじまって、「歳いくつ?」、「18歳です」、「どこ住んでんのー?」、「◯◯です」とか始まって(しか彼女も律儀に答えるもんだよ、ちょっとから表情読み取れないけどさ)、注文の方もやっこさんら金がねえのか「お前がハンバーグ頼むから、そのセットのドリンク・バーおれに売ってよ」とか、その場で小銭のやりとりとかはじめてんの。案外律儀なんか?

 しかしまあよー、あー、やだねーって思ったね。なにって、接客業ってこういうの相手しなきゃいけねえもんな、おっかねえ。おれにはとてもじゃねえが無理だぜって。このうえヤクザとか来たらどうすんだよ、コノヤロー、バカヤローとか言われたりすんだぜ。いや、ヤクザファミレスこねえか。来るでしょ。しっかし注文にすげえ時間かかってんな。え、ハンバーグの添え物のミックス・ベジタブルからグリーンピース抜きなんてできんのかよ。グリーンピース食えよ、おれも嫌いだけどよ。でも、残すよりはマシか。残すなよ。

 そんで注文の品が来た後も、やっぱりヤンキーらしくどやどや、ガシャガシャ、いかにもな音とか出してよ、大声で話して笑って、まあべつにここは安いファミレスだし、おれはおれで魔法陣iPhone馬券のチェックしてるし(土曜は京都新聞杯、今日は新潟大賞典で三連複拾ったし、三連複の時代きてんな。自慢したらここはおれが払うことになった)、女は「中華街のあの店の二階は円卓になってたの初めて知ったけど、すごい忙しいから店員さんの接客も余裕なくって」とか言ってて、まあ、べつになんてこたねえんだよ。

 したら、しばらくして、また次に新しい客が来たの。さっきの女の子が新しいお客、案内してきてさ。それで言ったんだよ。

 「こちらのお席でよろしいでしょうか」って。

 いや、普通台詞だぜ。でも、なんかわかんねーけど、失礼にあたらないレベルギリギリのでけえ声だった。フェリックス・ジェルジンスキーが親戚に体罰害悪手紙に書いてたって話をしてたおれも思わず黙ったし、ざわざわしてたヤンキー連中もスッと静かになった。店内の空気がピシッとしたんだよ。接客業としてどうなんかしらねーけど、見事なもんだったね。おれはそう思ったよ。案内された客は気ィ悪くしたかもしれーけどさ。いや、襟を正したね。あれ、あれだよ、学校教室先生が入ってきたときみてえな静まりかただったな。

 それで、ちょっとしたら、一人で別の空席でケータイ相手になんか話してたヤンキーの一人が「外で話す、外で」って言って、なんかあったんか、連中、ゾロゾロって出てったんだ。出てったあと、テーブルになんでかしらねーけど、すげえ数の飲みかけのメロン・ソーダが残ってて、それが窓から入る光に反射してキラキラしてんの。それで、おれはメロン・ソーダきれいだなって思ったんだ。メロン・ソーダ、きれいだったんだぜ。

 

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