『京都蜂供養』 山田正紀 出版芸術社
「鮫祭礼」
「猫を憎む」
「モアイ」
「鳥のいない鳥篭」
「京都蜂供養」
「転げ落ちる」
「いけにえの空」
「獣の群れ」
「近くて遠い旅」
の9編が収録されたSF・ミステリー短編集。
痴漢冤罪事件ネタの「獣の群れ」が素晴しい!
自分の無実を晴らす執念と
悪のケダモノの美人女子高生との鬩ぎ合いが、
リーガルサスペンスの枠を越えて、
素晴しい結末に着陸!
続きを読む『第四の扉』 ポール・アルテ 早川ポケミス
ツイスト博士シリーズ1作目。
作者はフランス人だが、舞台はイギリスであり、
ジョン・ディクスン・カー を後継する作品である。
最初は主人公の名はギデオン・フェル博士だったが、
著作権の壁を突破出来ずに、
オリキャラとして微修正したそうな。
幽霊が犯人としか思えない密室殺人が連続するが、
見事に説明付けます。
実はメタフィクションだが、
そう書いてもネタばれにならない捻りが、
殺人事件のトリックと犯人を指摘した後に待ち構えてます。
ジョン・ディクスン・カー の後継というよりは、
クレイトン・ロースンではないか?
という突っ込みをしたくなる人もいるかもしれないが、
怪奇趣味はジョン・ディクスン・カー の再来ということで。
続きを読む『失踪者』 ヒラリイ・ウォー 早川ポケミス
捜査官は鑑識官とは違う。
殺人事件の現場に第一に駆け付けても、
現場保存以外は何もせずに、
死体発見者に「何もしないの?」と糾弾されても、
平然と「鑑識がまだ来てない」と切り返す主人公が、
体裁を整える為に仕事してる振りではなくて、
本物のプロの矜持が感じられてデラかっちょええ!
例によって若い美人が被害者だが、
推理の過程で被害者が悪党だった可能性も語られるのが、
美女を無条件に良いものとしない
論理的な本格推理で素晴しい!
続きを読む