「真の近現代史観」最優秀論文を、今年は発表直後に読んだ。

 当ブログでは、アパグループの「真の近現代史観」の最優秀論文を全て紹介し、それらの問題点を指摘してきた(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20081107/1226009194http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20091122/1258875769http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20101229/1293610697http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20120429/1335695589)。しかし毎度毎度、発表からかなり経過してからの批判になってしまっていた。今年は発表直後に読めたので、かなり嬉しい。
 今回の最優秀論文の執筆者は一色正春氏との事(参照→http://www.apa.co.jp/book_ronbun/index.html)。この情報はwikipediaの「一色正春」の項目(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E8%89%B2%E6%AD%A3%E6%98%A5)でも「「真の近現代史観」懸賞論文」の項目(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%80%8C%E7%9C%9F%E3%81%AE%E8%BF%91%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E5%8F%B2%E8%A6%B3%E3%80%8D%E6%87%B8%E8%B3%9E%E8%AB%96%E6%96%87)でも、まだ記述されていなかった(最終閲覧日時はどちらも西暦2012年10月25日19時41分)。少々鼻が高い。
 さて、今回も論文の問題点・疑問点を指摘していく。内容はこのページ(http://www.apa.co.jp/book_ronbun/vol5/2011japan.html)に西暦2012年10月25日19時43分に公開されていたものに基く。
 最初に気になったのは、「論文」であるにも関わらず、故人でもある周恩来訒小平に「氏」という敬称が付けられていた事である。これは最近では珍しい作法である。「対中融和的過ぎやしないか?」と思った。
 次に気になったのは、「これは時の首相であった周恩来氏も認めている。」という部分では、出典が付されていなかった事。説得力が格段に落ちている。
 その後も出典というものは一度も登場しなかった。一々「要出典」と指摘するのも面倒なので、ここで纏めて批判した事にしておく。
 次に気になったのは、「尖閣諸島の日本の領海では中国漁船が違法操業を行っても日本政府は検挙しようとはしない。そのため周りの海では中国や台湾の漁船が自由に漁業活動を行っている一方で、」という部分において、台湾の地位についての混乱が見られる事である。尖閣で中国漁船の検挙を日本がしない事が、何故「台湾の漁船」の自由活動をも保証するのか?台湾もまた広い意味での中国であるというなら、自由に漁業活動をしている漁船を「中国の漁船」と表記すれば良い事になる。逆に両者を別物と見て「中国や台湾の漁船」という表記を守りたいのであれば、日本政府が検挙しない対象についてもそう記すべきであった。
 「そもそも棚上げは、一方だけが履行しても相手が約束を反故にすれば、何の意味もなく、竹島がいい例である。」の部分は、無理に一文にしてしまわず、「そもそも棚上げは、一方だけが履行しても相手が約束を反故にすれば、何の意味もない。竹島がいい例である。」とすべきであっただろう。
 第三の章である「危険な棚上げ論」章で「ソ連(現ロシア)」と書いているのに、それ以前の第二の章である「日本実効支配のまやかし」章ではただ「ソ連」とだけ書いているのには、何か深い理由があっての事なのだろうか?
 以上で主な問題点・疑問点の紹介は終わりである。
 今年は珍しく、批判記事が短くなった。とはいえ「では今回は今までで一番マシだったのか?」と聞かれると、即答は出来ない。色々と過去の事件や数値を紹介しておきながら出典を全く書かないのは、論文としてかなり致命的だからである。