数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

細野真宏さんのロジカルシンキング本です。ロジカルシンキングの入門として良いとされているので読んでみました。

本書は主に以下の5つの項目で構成されています。

  • 分かったつもりの抜け出し方
  • 情報に惑わされない思考法
  • バイアスからの抜け出し方
  • 「情報の本質」の見抜き方
  • 「情報の基盤」の作り方

特に、新聞やテレビなどマスコミが発信するニュースの捉え方は重要だと思います。ここでは紹介しませんが、「総理大臣の辞任論」、「国の説明責任」、「民営化」、「日本の財政破綻」などをどう捉えるのかというのは非常にタイムリーな話題です。みんな、本書に書かれている内容に薄々気づいているから、テレビを見なくなったのではと思ってしまいます。
自分の頭で考える必要性を感じている全ての人にお勧めできる本です。



さて、前回の『超ヤバい経済学』のエントリで『風が吹けば桶屋が儲かる』理論についてちらっと言及しました。そのロジックは本書で解説されていますので、ここで紹介します。

リンク先のwikipediaの記事を見ても分かる通り、『風が吹けば桶屋が儲かる』とは

  1. 風が吹く
  2. 砂ぼこりが舞う
  3. 砂ぼこりが目に入り、目が見えなくなる人が増える
  4. 目が見えない人は(仕事用の)三味線を買うので三味線が多く売れるようになる
  5. 三味線を作るために猫の皮が必要になり、猫が殺される
  6. 猫が減ると、ネズミが増える
  7. ネズミは桶をかじるので、穴があいて使えなくなる桶が増え、新しい桶がどんどん売れるようになる
  8. 桶屋が儲かる

というロジックで成り立ちます。

一見正しそうですね。
しかし、なにかしら違和感を感じる人は多いと思います。ではそのスッキリしない感じはどこから来るのでしょうか?

それは、2→3や3→4、6→7が、つながりが無理のある苦しいロジック展開になっているからです。
砂ぼこりが舞って目に入ると失明してしまう人が増えるというのは可能性は僅かですし、目が見えない人は三味線を弾く仕事をするかといえば、他にも仕事はありますので怪しいです(当時の江戸時代でも、琵琶法師以外に按摩、鍼灸があります)。また、ネズミが増えてもピンポイントで桶をかじるわけではありません。他にもかじるものはたくさんあります。

逆に1→2、5→6は問題ないロジック展開です。
風が吹くと砂ぼこりは舞いますし、猫が減るとネズミは減ります(・・・・書いていて気がつきましたが猫が減るとネズミは本当に減るのでしょうか?)。

著者はこういったロジックのつながりを「思考の骨太さ」と呼んでいます。上記では、前半は骨細で後半が骨太ですね。全てのロジック展開が骨太でないと、結論を導いたとき説得力がないものとなってしまい、屁理屈だと思われかねないということです。

文章を書くとき、プレゼンするとき、人と会話するときなど、「ロジック展開に無理がないか?屁理屈になっていないか?」と常に疑い考えるクセをつければ、自然とロジカルシンキングが身に付くのだと思います。