白澤社ブログ このページをアンテナに追加

2017-01-20

[]白澤という社名の由来〜ぶらり目黒散歩〜

目黒に羅漢寺(通称・五百羅漢寺)というお寺さんがあります。

元禄八年(1695)に黄檗宗の天恩山羅漢寺として現在の江東区大島に開山したそうです。

五百羅漢寺HP

http://www.rakan.or.jp/index.html

このお寺には開基の松雲元慶禅師の彫った釈迦三尊と五百羅漢像が安置されています。その中に本尊の「護法神」として安置されていたという、白澤の像(松雲禅師作)があります。

実は、今から十七年前、私たちが出版社を始める準備をしていたころ、目黒をぶらりと散歩しておりましたところ、この羅漢寺さんで白澤の像に遭遇したのでした。

五百羅漢像を拝観させていただこうと中に入りました。たくさんの羅漢像が安置された羅漢堂を抜け、本堂に参拝し、建物の屋上に登ってみますと、三ツ目で人面獣身の、異彩を放つ像が安置されておりました(当時。今は羅漢堂の入口にあるようです)。

案内板には「獏王(白澤)像」とあり、悪夢を食べる獏と中国の神獣「白澤」は同じものと考えられていたと書かれています。「へぇ〜獏なんだ」と呟いておりますと、連れが「いや白澤というのはのぉ、中国の伝説上の帝王・黄帝があるとき出会った白澤という神獣で、この世の魑魅魍魎を知っていてそれを黄帝に語ったものを書き留めた『白澤図』という書物があったとされておるのじゃ」と教えてくれました。

言葉(名を知ること)によって怪を避け害を除くとはなんと素晴らしい、しかも幻の書物という取り合わせは、活字文化を担う本作りにぴったりのイメージではないか、ということで、社名を「白澤」にしようということが、満場一致で決まったのでした。

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あれから十七年後の今年、白澤社が佐々木聡さんご執筆による『復元 白沢図』を刊行するという夢のようなことが実現したわけです。

それもこれも神獣・白沢の霊力というものなのかもしれません。

2017-01-12

[]佐々木聡『復元 白沢図』刊行

このたび白澤社では、佐々木聡著『復元 白沢図――古代中国妖怪と辟邪文化』を刊行いたしました。

小社社名の由来である幻の奇書『白沢図』と神獣白澤についての初の概説書です。

週明けには主要書店で発売される予定です。

新刊『復元 白沢図』概要

[書 名]復元 白沢

[副書名]古代中国妖怪と辟邪文化

[著 者]佐々木聡 著

[体 裁]四六判上製、176頁

[定 価]2,000円+税

ISBN978-4-7684-7964-3

内容

中国の伝説上の帝王・黄帝は、神獣・白沢の言葉を記録して、あらゆる鬼神を撃退する知識が書かれた書物白沢図』を編んだとされる。

この書物は、禍を避け福を招く辟邪(へきじゃ)呪術を伝えるものとして珍重されたが、今から約一千年前の北宋時代に散佚したと考えられる。

本書では、この幻の奇書を、最新の研究成果をもとに復元。平易な訳文と解説を付した。

現代の妖怪文化の源流の一つである辟邪文化の原像を探る貴重な手がかりがここによみがえる。

目次

第一章 『白沢図』とはなにか──その伝説と成立

一、白沢伝説

二、『白沢図』の成立と鬼の名前を呼ぶ辟邪方法

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三、『白沢図』と『山海経

四、『白沢図』以降の白沢文物

第二章 『白沢図』輯校

白沢図の分類と配列について

・五行(木火土金水)の性格を持つ精魅

山谷の精魅

・場所の精魅

・建物・宅中の精魅

・器物の精魅

・動物の精魅

・気象の精魅

・その他の精魅

・龍の化身

・怪異占として引かれる例

第三章 神獣白沢の姿──辟邪絵としての白沢の図

一、辟邪絵としての「白沢の図」

二、日本の「白沢の図」「白沢避怪図」

三、白沢の姿

補章 「白沢」研究の軌跡

一、神獣白沢とその図像研究

二、『白沢図』の資料研究

附録 『礼緯含文嘉』精魅篇

著者プロフィール

佐々木聡(ささき さとし)

1982年秋田県生まれ。

金沢大学文学部卒、東北大学博士課程後期修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD大阪府立大学)。専攻は、中国古代・中世宗教文化史。主な著作に、東アジア恠異学会編『怪異学入門』(共著、岩田書院)、「『白沢図』をめぐる辟邪文化の受容と展開」(『日本中国学第一回若手シンポジウム論集』)、「『開元占経』の諸抄本と近世以降の伝来について」(『日本中国学会報』六四輯)など。

2017-01-04

[]謹賀新年2017

あけましておめでとうございます。

白澤社は本日より通常通りの営業を始めました。

今年(2017)はとり年。

出版界には厳しい風が吹いていますが、逆風に負けずに飛んでいきたいと思います。

今月は新刊『復元 白沢図』(佐々木聡著)が刊行されます。

小社社名の由来である幻の奇書『白沢図(白澤圖)』と神獣・白沢(白澤)の起源を探る一冊です。

白澤の名を掲げる小社にとって記念すべき本書の刊行を新たな出発点として、今年も意欲的に出版活動に取り組んでまいります。

本年もどうかよろしくお願いいたします。

2016-12-30

[]2016年仕事納め

白澤社は今日が仕事納めです。

明日から年明け1月3日まで、年末年始のお休みとなります。

2017年1月4日から平常通りに営業いたします。

今年は、下記の四点の単行本を刊行いたしました。

『よい教育とはなにか』

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[書名] よい教育とはなにか

[副題] 倫理・政治・民主主義

[著者] ガート・ビースタ /[訳者] 藤井啓之・玉木博章

体裁四六判並製、208頁

[定価]2200円+税

図書新聞などでご紹介いただきました。

現代教育哲学の理論書ですが、ご好評をいただき、10月には重版することができました。

『仕事と就活の教養講座』

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[書名] 仕事と就活の教養講座

[副題] 生きのびるための働き方

[編著者]細谷実(編著)、中西新太郎・小園弥生(著)

体裁四六判並製、256頁

[定価]2200円+税

「ふぇみん」、西日本新聞などでご紹介いただきました。

三木清『人生論ノート』を読む』

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[書 名]三木清『人生論ノート』を読む

[著 者]岸見一郎

体裁四六判並製、224頁

[定価]1800円+税

同著者によるプラトンの訳書『ティマイオス/クリティアス』も息長く動いており、ロングセラーになる予感がしております。

『近代日本公娼制の政治過程』

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[書 名]近代日本公娼制の政治過程

[副書名]「新しい男」をめぐる攻防・佐々城豊寿・岸田俊子山川菊栄

[著 者]関口すみ子

[体 裁]四六判並製、240頁

[定 価]2400円+税

一昨年刊行の『菅野スガ再考』の著者による政治史としての公娼制論です。

出版ニュース」誌などでご紹介いただきました。

よいお年を!

教育哲学、現代社会論、日本思想、ジェンダー史と、人文・社会科学のジャンルで、僭越ながら、今これが大事・今これが面白いと思うテーマに取り組んできたつもりです。

さて来年は、年明け早々、小社社名の由来でもある幻の奇書『白沢図』の復元に挑んだ『復元 白沢図』(佐々木聡著)の刊行を皮切りに、今これが面白いと思う本の出版に精いっぱい取り組んでまいります。

それでは、よいお年をお迎えください。

2016-12-21

[]戸隠・宮本旅館蔵「白澤避怪図」

先週、信州戸隠・宮本旅館にうかがい「白澤避怪図」を見せていただきました

小社社名の「白澤社」は「なんて読むんですか?」とよく尋ねられます。

「はくたくしゃ」と読みますとお答えすると、次に聞かれるのは「白澤ってなんですか?」です。

白澤とは中国の伝説にある神獣の名前で、この白澤の言葉を伝説上の帝王・黄帝の命で記録した『白沢図』という書物があったと伝えられています。

小社の社名はこの神獣に由来しています。

残念ながら『白沢図』は長い歴史の中で散佚し、現代では幻の書となってしまいましたが、神獣・白澤を描いた魔除けの札「白澤避怪図」は各地に残されています。

そのうちの一つが、長野県戸隠の宮本旅館蔵「白澤避怪図」です。

いつか実物を拝んでみたいと願いながら、小社創業から16年目にして、ようやく宮本旅館さんを訪ねることができました。

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この日はとても寒く、長野市に降り立つと小雪がちらついていました。善光寺前からバスに乗って戸隠高原へ。

よい機会なので、戸隠神社奥社まで行ってみようと奥社入口でバスを降りたのですが、あたりは一面の雪景色。

奥社の鳥居の根元は雪に埋もれていました。

これではとても奥社までたどり着けないとバスを待って下山、中社からは何度も足を雪にとられてころびながら目的地・宮本旅館に向かいました。

宮本旅館さんのホームページはこちら↓

http://www.miyamotoryokan.com/

事前に来意を告げてお願いしてあったとはいえ、宮本旅館さんはあたたかく迎えてくださり、ご主人の宮本和好さんから貴重なお話をうかがうことができました。また、お茶うけに出していただいたお漬物もたいへん美味しくいただきました。

この宮本旅館は、もともと修験道の聖地だった戸隠の御師の運営する宿坊の一つであったそうです。

戸隠では明治廃仏毀釈で多くの神仏習合の文物が失われたなか、この「白澤避怪図」だけはほかの道具類のなかにまぎれて廃仏毀釈の嵐の時代を生き延び、戦後、偶然発見されたそうです。

宮本旅館のご主人のお話では、ある日、古道具類を片づけていたら、たまたま板がクルリと裏返って、裏に何かが彫られているのに気付き、調べてみたところ、それが「白澤避怪図」だったとのことです。

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こうして奇跡的に見つかった「白澤避怪図」と版木を、旅館内の御神殿の間で拝観させていただきました。

残念ながら、版木にひびが入っており、版木保存のため「白澤避怪図」を新たに刷ることはできないとのこと。宮本旅館さんでもこの一枚しかないということです。

貴重な文化財を、宮本旅館さんのご許可をいただいて撮影させていただきました。

写真左が、専門家によって刷られた「白澤避怪図」。

その右隣の黒い板が、版木です。

禍を辟け福を招くとされる神獣白澤。

この辟邪文化の源流にあったのが、今では失われて幻の奇書となってしまった『白沢図』でした。

小社では年明けに、この幻の奇書を復元した佐々木聡『復元白沢図―古代中国妖怪と辟邪文化』を刊行いたします。乞うご期待。

なお、戸隠と白澤の関係については、熊澤美弓氏の論考「戸隠御師と白澤」(東アジア恠異学会編『怪異を媒介するもの』勉誠出版)があります。

版元・勉誠出版さんの紹介ページ↓

http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100504

ご興味のある方はこちらもぜひ。